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フリーランス【音楽家、デザイナーなど】がお金の事で絶対に知っておくべき3つのこと。

ビジネスの学び
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こんにちは、岩崎将史です。

今日、ツィッターのタイムラインに流れてきた投稿に下記のコメントしたら、プチリツイート頂きました。

日本ではお金、特に税金のことを一般の人が学ぶ機会はほとんどないです。
フリーランスだと会社と違い、自分一人が基本なので教えてくれる先輩もいません。

そこで、フリーランスであれば絶対に知っておくべき3つのワードを解説します。

ずばり、

  1. 源泉所得税
  2. 販売管理費
  3. 請求書

の3つです。

この3つが理解できていれば、大きく仕事や自分のビジネスの経営の視野が拡がります。
むしろ知らないと貧困まっしぐらです。

僕は音楽業界の人なので音楽業界のフリーランス向けですが、映像やデザインなど他のフリーランスにも当てはまります

フリーランスへ仕事を発注するときのお金の考え方を知ろう

僕ら制作会社がフリーランスに仕事を外注するときに、どういうお金の考え方になっているのかを知っておきましょう。

これを知らないと「自分の報酬が不当に抜かれている!」と勘違いをして発注者と揉めたり、関係がギクシャクしたりする原因になります。

そして自分自身の経営もズサンという事ですので、仕事も上手くまわりません。

フリーランスへ委託する案件の見積り

僕の会社に演奏の依頼が来たとします。
2名で演奏する内容にしようと考え、1名は僕
もう1名をフリーランスAさんに依頼しようとしたとします。

その場合、

楽器演奏料 3万円 × 2名 = 計6万円

という見積をクライアントに伝えます。

1名につき3万円のギャラが必要

という意味です。

ここで書いた「3万円」というのは、説明するために仮に決めた金額です。
ビジネスは売る側が自由に値段を決めれます。
購入者がそれに納得して初めて売買契約が成立します。

源泉所得税。フリーランスへの報酬は必ず引かれる。

じゃあ、この3万円を丸っとフリーランスの方に支払えるのかと言うと、そうはいきません。
最初のツィートのとおり源泉所得税を引きます

いくら引くかと言うと、基本的には10.21%を引きます。(2019年現在)
税率の詳細は国税庁のリンク貼っておきますので参考にしてください。

徴収は事業者の義務となっています。
僕のアドバイスを無視して源泉所得税を引かなかったために、1年後に督促が来て悲惨な目にあった友人もいます。

引かれたギャラは確定申告で取り戻そう

引かれた源泉所得税は、僕や会社が搾取しているわけではありません
丸っと全額を税務署に振り込みます。
フリーランスの場合は、「確定申告」で経費相殺分が戻って来ます。

ですのでフリーランスは確定申告をしっかりとやって、できるだけ取り戻してください

たまに納得しないフリーランスがいる

稀にですが最初にあげたツィートのように、源泉所得税が引かれることに納得できない人がいます
そういう場合、僕は揉めるのは嫌なので3万円を支払い二度と仕事は依頼しません

その時の2人のギャラの配分はこうなります。

岩崎将史 演奏料 ¥26,937
フリーランスAさん 演奏料 ¥3,3063
=======================
合計 ¥60,000

僕のギャラを10.21%引いて、その分をAさんに上乗せしています。
そうするとAさんは、10.21%を引いた金額、¥30,000を手取りとしてもらえます。

僕は10.21%を引いた金額である¥24,441が手取りになります。
その差は6千円近くになりますから大きいです。

クライアント企業のほとんどは業務委託契約書には「源泉所得税の必ず御社の責任で収めること」という内容も入ってます。
税金は正しく処理しないと、後日大変なことになりますので仕方ありません。

たちの悪い人になると「これで3万円づつで平等ですね」って言っちゃうフリーランスもいます。マジです。全員、正しい知識を身につけて欲しい…。

フリーランスAさんは、きちんと確定申告をすれば会社が税務署に支払っている「¥3,063」も取り戻せるのですが、ちゃんと処理してますかね?

3万円の所得ではなく、¥33,063の所得で申告しないと脱税ですよ

販売管理費。人が動けばお金がいる。

源泉所得税の次に理解すべきは販売管理費
会社は必ずこの販売管理費を取ります。

3万円をクライアントから頂き、3万円を支払っていては会社には1円もお金が残りません。
残らないどころか、仕事をすればするだけお金が減ってしまいます。

この減るお金が管理費です。

管理費その1|フリーランスへの振込み

フリーランスAさんに3万円の報酬を振り込む場合、振込作業には、銀行の振込手数料が必要です。

僕は振込作業は事務員にお願いしているので詳細な数字は覚えていませんが、¥500〜¥700円くらいです。
銀行間によっても金額は変わります。

この振込手数料だけでなく、振込作業をしている事務員の時給も会社が支払っています。

そのお金は、誰が出すのか?
それも僕のギャラから引いたら、さらに差が開いていきます。
2名分ですので千円以上も僕のギャラを削らなければいけません。

なんで同じ仕事して、僕はAさんの半分くらいしかギャラがないの?」となります。
むしろ宣伝、営業、交渉も僕がやっているのに、と。

これらの費用は管理費として見積りに計上して置かなければいけません。

振込手数料として数百円を引いた金額をフリーランスの口座へ振り込む企業もあります。
僕は会社負担であるべきと考えていますが、世の中的には半分半分くらいでどちらもあります。

管理費その2|税務署への振込む

フリーランスへ振り込むだけではありません。

源泉所得税分の「¥3,063」これを税務署に振り込まなければなりません
そこでも振込手数料が必要ですし、計算をする事務員のコストも必要です。

管理費その3|労務費用も必要

すでにフリーランスの人はご存知と思いますが、確定申告の時には支払調書が必要で仕事をもらった会社から1年に1度、送られてきます。

発行するためには、マイナンバーを教えてもらい必要な書類を作成し、労務士さんに報酬を支払って依頼します。

それらも僕のギャラから引いていたら完全になくなってしまいます。

管理費その3|諸経費

言うまでもないですが、こうした作業をしてくれる事務員も時給だけでなく様々な経費が必要です。

人がいれば水道も電気も場所も使いますし、労務士さんや税務署とやりとりするのに紙もペンも切手も電話も使います。

もし貴方が事務仕事で「時給は出すけど消耗品や経費は自己負担ね?」と言われたら、この会社頭おかしいとしか思わないですよね。

販売管理費|広告、宣伝、営業、上げたらキリのないコスト

管理費は報酬の支払いや税金など、労務管理系の費用がメイン。

仕事を取るために、ホームページを作ったり広告を出稿したり、クライアントに売り込みにいくのも人件費、交通費など販売促進、宣伝、営業のための費用も必要です。

これももしあたなが雇われた会社で「営業の時間は時給なしで経費も個人持ちで」と言われたら辞めますよね。

会社はこのコストもしっかりと見なければいけません。

販売管理費の扱い方は2種類

会社は販売管理費を取らないとやっていけないのは分かってもらえたと思います。

たまに同業者に、
すごい仕事増えたのにで経費ばっか増えて利益や自分の報酬は減った
みたいな愚痴を聞かされることがあります。

音楽やデザインなどのアート系だと、好きから始めた人が多いので、こうした雑務でも会社の根本業務のコストを値段設定に加えずに初めてしまう人は多いです。

重要な販売管理費ですが、会社によって扱い方が大きく2つに分かれます。

見積上の人件費から引く会社

販管費分を報酬から引く会社です。

この場合は、見積に販売管理費分を上乗せしておく必要があります。
仮に販売管理費を¥5,000とすると。

  1. 楽器演奏料 ¥35,000 x 2名

これに消費税を加えた金額をクライアントへ請求します。

その場合、演奏者の報酬は¥30,000で、振込まれる金額は源泉分を引いた¥27,221となります。

会社は¥5,000の販売管理費からAさんに業務を依頼した際に必要な経費を捻出します。

見積上の人件費に加える会社

販売管理を別に見積る会社です。
僕の会社はこちらにしています。

  1. 楽器演奏料 ¥30,000 x 2名
  2. 販売管理費 ¥5,000 x 2名

これに消費税を加えた金額をクライアントへ請求します。

請求する金額は一緒なので、どちらでも良いです。

どちらが良いのか?

僕はなぜ後者にしてるかというと、経営的にやりやすいからです。

フリーランスへの心象がよくなる

会社はクライアントからは3万5千円を「演奏料」でもらっているのに3万円(現金としては約2.7万円)しか貰えないと、先に書いたように不信感を持つ人もいるからです。

源泉所得税だけは納得してもらいますが。

クライアントへ説明が楽になる

演奏料が3万5千円だと、クライアントから「1名が3万5千円だと高いなぁ。3万円にして」と言われたら演奏料を2万5千円に下げなければいけません。

まともな経済感覚を持っているクライアントであれば、年間何本できる仕事で年商どれくらいが最低限と言うのが分かります。
以前に書いた 「自分の値段」の早見表。時給・日給・年収 程度の知識は頭に入っていますので無茶は言ってきません。

また、もし管理費を削りたいというクライアンとがいれば「ご紹介するので直接やってください」と言います。
その代わりスケジュールの調整や連絡、業務内容の連絡、支払いや源泉処理など全てクライアントサイドでやってもらいます。
こちらとしても手が離れて楽になります。

販売管理費はあくまで会社のもの

凄く稀にですが「販売管理費」を理解してもらえないフリーランスがいます。

「管理」=マネジメント事務所という認識で受け取っており、自分は御社とは専属マネジメント契約をしてなくて、セルフマネジメントだから販管費もこちらの経費のハズだという認識のようです。

請求書。誰しも最初は間違いだらけ

最後に請求書です。
フリーランスは請求書を起こさないと報酬は貰えません。
少額の場合は現金と領収書を交換するということもありますが、安定継続的にある企業案件では考えにくいです。

ビジネスをする上で請求書は凄く基本的な事です。
また間違った書式の請求書を企業が受け取っても、支払うことができないので再度書き直して頂くことになります。
請求書をしっかりと書けるようにしましょう。

全て理解して仕事スッキリきっちり

ということで、ツィッターに端を発したフリーランスの源泉所得税やお金の話。

特に僕みたいに学生時代から仕事を請けたりして、その辺り良く分からずにそのまま仕事をしてしまっていた人の参考になれば嬉しいです。

その後の、ツィッターのリプライも面白いです。

他にも、にわかには信じがたいですが、色々な方々がいるものですね。

あと「消費税」についてツィッターでレス頂いた方がいて、僕の認識からすると「消費税を乗せない、乗せさせない」というのは考えにくいです。

そして、全体の仕組みを理解した上で、

新人フリーランスAさん
新人フリーランスAさん

そもそも、自分のギャラってどうやって決めたら良いのだろう??

と思うかもしれません。
そんな人には次の記事も書きましたので、よかったら参考にしてください。
ではまた。

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