岩崎将史です。
楽器やアンプなどのオーディオ機器、インターフェースなどを繋ぐのにコネクターの種類が色々あって、よく分かりません。
分かったモ〜。
できるだけ分かりやすく解説してみるモ〜
この記事の難易度
超簡単ですので、どなたでも理解できると思います。
大きく分けて2つの方式
オーディオ信号の伝送方式は2つあります。
- アナログ
- デジタル
今回はアナログの話で進めます。
初心者はまずアナログを理解しましょう。
デジタルは少し難易度が上がるので、中級者からで良いです。
また別の機会にブログ記事にしようと思います。
民生用と業務用がある
「アナログ方式」の「音声信号コネクター」は主に次の2つのカテゴリーに分けて考えるのがオススメです。
- 民生用
- 業務用
鑑賞するだけなら民生用
コンテンツを楽しむだけの人なら民生用のみを理解できればOKです。
コンテンツを楽しむというのは、
- 音楽を聴く
- 映画を見る
- ゲームで遊ぶ
などの事です。
多くの人はこちら側だと思いますが、このブログを呼んでくれている「あなた」は、「楽しむ」だけでなく「制作」する側であるクリエイターだと思います。
制作するなら業務用
音楽や映像、ゲームやインターネットなどのコンテンツを作る側に携わるならば、業務用のコネクターを理解しておきましょう。
作るといっても色々なコンテンツがあります。
音楽を作る人というのは、
- CD
- 音楽配信
- YouTube
- ライブ配信
などを行う人が当てはまります。
そして映像を作る人というのは、
- YouTubeなどの動画
- ライブ配信
- DVDやBD
などが対象になります。
民生用と業務用は混在する場合も
ただし「民生用」「業務用」というのは、常にどちらかにスッパリと分けられるものでもありません。
使用目的で一般的には使い分けられているという感じです。
業務で民生用を使うこともあれば、その逆もあります。
大まかな用途区分として理解してください
民生用
民生用のオーディオ・コネクターは2種類あります。
- フォン
- RCAピン
この2つを見ていきます。
フォン
ヘッドフォン用に一般的に使われている物です。
大きさにいくつかの種類がありますが、基本は、
- 6.3mm (1/4インチ)標準
- 3.5mm ミニ
この2つを知っておけば問題ないです。
6.3mm (1/4インチ) 標準フォン
よく見る形だと思います。
ヘッドフォンで使われた場合は、
- 標準フォン
- ステレオフォン
- TRSフォン
- 3Pフォン
などとも呼ばれます。
全く同じ形で、3Pフォンではなく2Pフォンというのもあります。
そっくりの双子のようです。
何が違うのかは、この記事を読むとわかります。
この記事では割愛します。
とにかくこの形はフォン・タイプのコネクターであると理解しましょう。
元々は電話交換機のコネクターとして使われていたものです。
電話の交換台(1975年)wikipediaより
オーディオ機器には必ずと言ってよいほど、フォン・タイプのコネクターがヘッドフォン端子として搭載されていました。
ですが最近ではあまり見かけなくなってきましたよね。
理由はオーディオ機器が小型化していってるからです。
ノートPCやスマホで音楽を聴くのが一般的になってきた昨今、フォン・コネクターは大きすぎます。
じゃあ、もうこれからの時代は知らなくて良いんじゃない?
大きい事のメリットもあるので、今でもハイエンド・オーディオでは標準だモ〜
3.5mm フォン・コネクター(ミニ)
通称「ミニ・ステレオ」と呼ばれるタイプです。
1/4インチの標準フォーン・プラグを小型化した物だと理解してください。
オーディオ機器を小型化するためにフォーンプラグは大きすぎて不都合です。
1980年代のラジカセやウォークマンのブームで普及しました。
現代ではさらにPCやスマートフォンが日常の中心になりましたので、こちらを搭載している機器の方が一般的になっています。
「ミニ・ステレオ」コネクターの色々な呼び方
こちらも「標準フォーン・プラグ」同様に色々な呼ばれ方をします。
- ステレオミニ
- ミニステレオ
- ミニ
など、他にもありますが大体こんなワードから派生した言葉や短縮系だったりします。
ミニステ!
などと呼ばれるのを良く聞きます。
- 3.5㍉TRS
と呼ぶのが正式だという人もいます。
現場で、
3.5mmフォンのケーブルありますか?
などと聞かれた事は僕の人生経験では一度もないです。
フォンタイプのコネクターには他にも4.4mmや2.5mmなどもありますが、初心者は華麗にスルーしましょう。
僕もスルーしてます。
まず使わないですから。
RCAピン
RCAピンは、多くの機器で使われています。
白で左チャンネル、赤で右チャンネルを扱います。
ホームオーディオでは、
- アンプ
- CDデッキ
- レコードプレイヤー
などで使われています。
映像機器でもよく使われています。
- ビデオデッキ
- DVDプレイヤー
- BDプレイヤー
- TVゲーム機
などで見かけます。
映像機器の場合は、このような3つがセットになっています。
黄色が映像信号用で「コンポジット映像信号」と呼ばびます。
昔の4:3テレビのアナログ信号線で「ステレオ音声信号」区別するために黄色が一般的です。
コンポジット映像信号は映像情報しか持ちませんので、赤白コネクターの「音声信号」と組み合わせ、3本で1つのケーブルとして扱われることが多いです。
最近は見なくなってきた「RCAコンポジット」
近年の映像機器においてはRCAピンのコネクターを搭載した機器を見かける頻度は減ってきています。
映像やゲームなどの最新機種では搭載されていない物も珍しくなくなってきました。
「RCAピン」の色々な呼び方
RCAという名称は、このコネクターを開発したメーカー名です。
1930年代に蓄音機向けに、このコネクターを開発しました。
そして「ピン」というのは端子がピンのように細いからです。
「フォン端子」に対して「ピン端子」というニュアンスもあります。
「RCAピン」は実際にはいくつかの呼び方があります。
- RCA
- ピン
- 同軸
- コンポジット
ほとんどの場合は、この4つの言葉のどれかか、もしくは組み合わせです。
人によって呼び方は色々変わりますので、臨機応変に理解しましょう。
さらにこれらを組み合わせた複合的な呼び方もあります。
例えば、
- RCAコンポジット
- 同軸ピン
などと組み合わせを代えて呼ぶ人もいます。
柔軟に対応していきましょう。
業務用
業務用は基本は2つのコネクターを理解すれば良いと思います。
- TRSフォン
- XLR
実はもっと数多くの種類があるのですが、それは必要に応じて追加して覚えていけば良いです。
業務用はノイズに強い
この2つはどちらもモノラル伝送用のものです。
ノイズに強い特徴があるので、プロの現場で好んで用いられます。
ですので「業務用」と言われるのです。
ステレオ伝送をするためには2本分のケーブルとコネクターが必要になります。
この2つを深堀りします。
TRSフォン
「TRSフォン」はこのような形状です。
あれ? 民生用で見た「フォン」端子と同じ??
正解モ〜
TRSプラグは民生用ヘッドフォンで使われるフォーンプラグと同じです。
コクネクターとしては全く同じ物ですので、「業務用」に入れるべきかは迷いましたが入れてみました。
違いは伝送方法にあります。
- ヘッドフォンは1つのコネクターでステレオのアンバランス伝送
- 業務用でTRSとして使う際はモノラルのバランス伝送
というのが通常です。
バランスとアンバランス伝送の意味が分からない人は、解説記事を書いてますのでそちらを読んでみてください。
TRSフォン端子でバランス伝送を扱える機器は民生用よりかは業務用に近い機器が多いです。
ただし「TRSフォン」がブリバリに業務用かと言えば、少し違います。
業務で使う観点からいうとデメリットも多いので、実質的には民生用と業務用の中間的なイメージです。
TRSフォンのデメリット
TRSフォンのデメリットはなんといってもXLRと違い抜けやすいこと。
ロック機構がありません。
そして抜く際に「バリバリ」っとノイズが出ることです。
XLR
「XLR」こそ真の「業務用オーディオ伝送コネクター」です。
業務用として絶対的な地位を占める理由は2つあります。
- 抜けない
- 抜く時にノイズがでない
XLRは抜けない
コネクターに爪が噛み合って抜けないように「ロック機構」が付いています。
この爪を押しながらでないと、コネクターの抜き差しができないため、本番中に抜けて「音声が途切れる」と言ったリスクが格段に減ります。
抜く時にノイスがでない
XLRは抜く時に「バリバリ!」や「バチ!」などのノイズがでないように設計されています。
「XLR」の色々な呼び方
XLRもいくつかの呼称があります。
- XLR
- キャノン
- ノイトリック
- 11-12
呼び方は今日では「XLR」と呼ばれる事が多いですが、昔は「キャノン」と呼ばれるのが通常でした。
絶滅しつつある名称「キャノン」
理由としては、アメリカの「キャノン社」が、XLR型オーディオコネクターとして開発したからです。
1980年代〜1990年代頃までは僕の周りでもキャノン派の方が多かったです。
その後、謎に音響雑誌などを中心に、
「キャノン」というのは会社名であって「XLR」と呼べ!
キャンペーンが展開されていたように僕には見えました。
現在では「キャノン」と呼ぶ人は、ほぼ絶滅しています。
- 「ピアニカ」は商品名だから「鍵盤ハーモニカ」と呼べ
- 「エレクトーン」は商品名だから「電子オルガン」と呼べ
などと似ているのかと思います。
大学内では「電子オルガン」ですが、一般の人に「電子オルガン」というと「??」が見えて「エレクトーンのこと」と言い直すと理解される事が多いです。
代わりに生まれてきた呼称「ノイトリック」
現在では「XLR」タイプのコネクターは「ノイトリック」というメーカーが主流です。
他にも製造しているメーカーはありますが「ノイトリック」がほとんどのシェアを締めています。
そのため「XLR」タイプのコネクターとケーブルを総称して「ノイトリック」と呼ぶ人たちもいます。
「11-12」と呼ぶ人たちも
そして「11-12」と呼ぶ人たちもいます。
これは「XLR型ケーブル」でダントツのシェアを持つ国内メーカー「カナレ」が主に採用していたITT社製のXLRコネクターの品番から来ています。
メスが「11C」でオスが「12C」という型番を持っているため、オスメスを言い分ける際の「11」「12」という呼び方が広まり、そのまま「XLR」型のケーブル全般を指す感じで使われている場合もあります。
カナレは近年ではコネクタにITTだけでなくノイトリックも採用してますので、厳密に「11-12」という呼び方はおかしいかもですが、こちらも現場に合わせて柔軟に対応しましょう。
何度も書きますが言葉とはそういうものです。
振り返る「キャノン絶滅運動」
余談ですが、90年代に音響系の情報誌で頻繁に取り上げられていた「キャノンと呼ぶな」系の記事。
あれは何だったのでしょう?
僕より年配の人は、より実態を知っていて、また別の見解があるかも知れませんね。
僕の個人的には「キャノン」がだめなら「RCA」もだめだろうと思うのですが…。
特殊
今回は触れませんが、少しだけ業務用で僕が毎日使うものを紹介します。
- D-sub 25
- バンタム
D-sub 25
D-sub 25 というのは25個のピンが付いている写真の形状のコネクタです。
8チャンネル分のバランス伝送をマトメて扱えるのでとても便利なコネクターです。
作る際のハンダ付けが超絶難しいけどモ〜
バンタム
バンタムは主にレコーディング・スタジオのパッチベイで良く使われています。
コネクタが小型なため、パッチベイなどの面積を減らすことができるからです。
ただボク個人はあまり好きではありません。
ガリと呼ばれる接点不良が起きやすいからです。
それ以外の特殊コネクター
業務用のコネクタ特殊は他にも多くの種類があります。
ただし全てを知っておく必要はありません。
必要に応じて理解していけば良いので、今回の記事では触れないことにします。
まとめ
オーディオ伝送ケーブルのコネクターについて見てきました。
最後にもう一度、簡潔マトメです。
オーディオコネクターにはアナログとデジタルがあります。
初心者はまずアナログを理解しましょう。
アナログには民生用と業務用があります。
民生用には 「PHONE」タイプと「RCAピン」タイプが、業務用には「TRS」「XLR」があるが主流は「XLR」です。
この3つが分かっていれば、コネクターの理解は初心者としてはバッチリです。
「コネクター」が理解できたら次に、信号レベルについて理解するのがオススメです。
そうすると目的や環境にあったベストな機器選びやセッティングができるようになります。
格段にリスニングや制作環境のサウンドクォリティがアップしますので、ぜひ読んでみてください。
ということで「オーディオ信号のアナログ伝送に使われるコネクター」達を解説してきました。
僕の会社フルハウスでは「音楽制作」や「レコーディング業務」など音楽に関する業務をいつでも承っています。
是非、一度覗いてみてください。
ではまた。
正しい名称とは?
名称というのは論理では決まらない事の方が多いです。
例として、よく取り上げられるのが「スマホ」です。
スマートフォンですから、略すなら「スマフォ」です。
が、世の中的には「スマホ」。
言葉はコミュニケーションのための道具です。
「論理的に正しいワード」ではなく、「相手に伝わる事」が目的です。
「論理的には正しいワード」を発言しても伝わらなければ意味がありません。
「論理的正しさ」にこだわる人は、本来の「目的」がブレてしまいがちな悪い意味での職人気質な人に多い印象を持っています。
(ただの感想です)