こんにちは、岩崎将史です。
今、僕のスタジオ「フルハウス」では3ヶ月に渡って少しづつ回収工事を行っています。
以前よりライブ配信が行えるようにはしていましたが、さらに本格的な11個のマルチカメラによる配信が、簡単にサクッと開始できるような作りにしていきます。
そんな中で今週おこなう工事の目玉が「大量の映像ケーブルの引き回し」です。
配信準備で1番時間の掛かるのが映像ケーブル回線の準備
カメラの数が増えてくると、配信に向けての準備で1番のボトルネックになるのが、映像ケーブル回線の引き回しです。
フルハウスでは映像ミキサーや映像スイッチャーを増強しました。
そのあたりについては、この記事で書いています。
録音スタジオはいくつにも部屋が別れていますので、ケーブルの引き回しは結構たいへんです。
30mのHDMIケーブルをその都度引き回しています。
スタジオの壁どうしは通称「鼠穴」と呼ばれるパイプで回線を渡せるようにしていますが、ココにケーブルを通す作業が結構たいへんなのです。
2名体制で1本に5分以上掛かります。
いくつもの「鼠穴」を突破しなければなりませんので。
そこで30mのHDMIケーブルは外現場での配信用機材にして、スタジオ内は常設で引くことにしました。
ちなみに、スタジオ「フルハウス」で導入した30mのHDMIはコチラです。
光ファイバー式で安定していて、とても良いですよ。
HDMIケーブルは高コスト
スタジオには常設で11本のHDMI伝送を可能にします。
僕がイメージしているライブ配信番組をやろうと思うと、大体8~10個のカメラ映像を適宜切り替えられることが必要です。
そこで問題なってくるのが、HDMIケーブルを大量に引き回しです。
ハイスピードケーブルは劣化や遅延に問題が
一般的に10m程度の伝送であれば「ハイスピード・ケーブル」と呼ばれるケーブルが使われます。
スタジオだと10mでは足りません。
1本あたり30m〜40mは必要になります。
こうなると「ハイスピード・ケーブル」は不可能。
信号の劣化による画像への影響もさながら、遅延が気になるという報告も聞いています。
僕自身は20m以上の「ハイスピード・ケーブル」を試験したことはありません。
光ケーブルは性能は良いが運用上の問題が
そうなると既に運用していて安定している光ファイバー式のHDMIケーブルが候補にあがりますが、これがまた問題です。
1つはケーブルが高価なことです。
が、それ以上の厄介なのがケーブルの屈折化です。
光ファイバーケーブルは折り曲げ厳禁
光ファイバーケーブルは基本的に折り曲げたりすることが事ができません。
ケーブルを極端に曲げると、光が屈折できず信号が届かなくなります。
最悪の場合、ケーブルが折れてしまうことも。
およそ直径30cm程度までのカーブが限界とされています。
スタジオの部屋間を美しく配線しようとすると、中々に難しい部分があります。
業務レベルではSDI伝送がベスト
HDMIケーブルは、
- 高価
- 長距離難しい
- 光ファイバーケーブルは曲げれない
などの問題があります。
そこで登場するベストな伝送方法が「SDI伝送」です。
SDIケーブルとは?
業務用のビデオカメラやビデオミキサーは基本的にSDIという映像伝送の規格で作られています。
同軸ケーブルを使った伝送規格です。
同軸ケーブルのメリットは、
- 材料費が安い
- 工事が楽
- 長距離もOK
というメリットしかないケーブルです。
コネクタはBNCと呼ばれるタイプを使用します。
メリット多いのになぜ一般的でないか?
これだけメリットが多い「SDI伝送」ならば、「HDMI伝送」なんて無くなって良いように思います。
が、1つだけ欠点があります。
それは「SDI出力や入力を備えた機器は高価」ということでうs.
たとえばROLANDのV-1HDという4つのHDMI映像を扱えるミキサーがあります。
それに対して、業務用として「V-1HD SDI」と呼ばれるバージョンがあります。
液晶モニターディスプレイもSDI入力タイプの物がありますが、10万円ほどします。
フルHDのHDMI入力なら、1万円代で買えてしまうのに…。
ということで、頻繁に長距離の配線を引き回すプロフェッショナルな現場で使われる方式といえます。
SDI伝送に必要な材料
ケーブル
SDI伝送の同軸ケーブルではCANAREのケーブルが一般的です。
30mの既製品としては、コチラがあります。
ケーブルは自作が一般的
僕らプロフェッショナルは既製品のケーブルを購入することはあまりありません。
それぞれの材料を購入して設備に合わせてカスタマイズして制作します。
ケーブルだけであれば100m単位で購入できて安いです。
コネクタはコチラを購入します。
芯線を圧着して止める方式ですので、ハンダ型に比べれば工事は楽です。
自作は材料費が安いとはいっても、道具やノウハウが必要です。
そして何よりも人件費は掛かりますので、誰にでもオススメできる訳ではありません。
その点だけは要注意です。
HDMIとSDIの変換
ケーブルはSDI伝送化したとしても、カメラやビデオミキサーがHDMIのままでは映像信号は送れません。
HDMI信号をSDI信号に変換して、またHDMIに戻す必要があります。
そのために必要なのがHDMI-SDIの変換機です。
HDMI → SDI変換
HDMIからSDIに変換するのにオススメはこちら。
6Gということで4Kなどの映像もいけます。
他社製の同スペックに比べて値段が極端に安いです。
さすがATEM mini シリーズを出しているBlack Magic Designです。
変換機に2万円もは出せないという人には、フルHDまでしか不可能ですが安価なモデルもあります。
将来的に4Kカメラや映像を伝送したくなったときには買い換えなければなりませんので、そこだけ注意が必要です。
「HDMI to SDI」は必ずパワーサプライ(電源アダプタ)付きの物を購入しましょう。
SDI → HDMI 変換
SDI伝送をHDMIに変換して戻すための変換機も必要です。
そして1080pの「フルHD」のみでOKとい場合は、こちらの廉価版でOKです。
どようなSDIケーブルを使うかも重要
HDMIとSDIの違いと変換について解説しました。
ただし、闇雲にSDIに変換してSDIケーブルを使えばよいと言うものでもありません。
使うSDIケーブルの種類によっては上手く映像が映らない事もあります。
その辺りを次の記事で詳しく解説しています。
合わせてご覧ください。
今回紹介したケーブルや変換器は僕の会社「フルハウス」でも大量に所有していてレンタル貸出もしています。
またライブ配信業務も請け追っています。
是非フルハウスへお問い合わせください。
今回はこの辺で。
ではまた。