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オーディション&コンクール、撮影と録音のコツ。クラシック編その2

スタジオ・レコーディングの仕事
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岩崎将史です。

作編曲、サウンドプロデュース業を株式会社フルハウスという会社で経営しながらやってます。
音大で教えたりもしています。

コンクールへ提出するための録音に来ていた音大生に、ついでに演奏してもらった動画の4つ目ができました。
その動画を見て頂きつつ、オーディションやコンクールのための、録音やYouTube制作に役立つコツについて書きます。

プロもしくはプロを目指す人向けではないので、あまり専門的にはせずにポイントを絞ってできるだけ分かりやすく書こうと思います。

コンクール提出用録音と同スタイルで録音した動画

現役音大生に演奏していただき、コンクール録音と同じ方法での録音動画の4曲目が出来ました。
いつもどうりステレオマイクをメインに録音しています。

今回は、そのステレオマイクの方式や使い方について解説しようと思いますが、その前に少しだけ曲の解説。

からたちの花

日本歌曲の代表作「からたちの花」です。
繊細な高音が求められる、高難度な曲です。

歌:岡安菜月さん、ピアノ:小笠原綾乃さん

「からたちの花」(からたちのはな)は、北原白秋作詞、山田耕筰作曲による日本の童謡である。赤い鳥運動を代表する楽曲となり、のちに文部省唱歌にも採用された。2007年には日本の歌百選に選出されている。また、北原白秋の少年期から青年期を描いた映画やテレビドラマの題名にも用いられた。ただし、詞の原案は山田耕筰の少年期のエピソードによるものである

wikiより

今回の動画もコンクール用に相談を請けた時と同じ方法ですので、

  • ピアノ調律なし
  • 1曲1時間以内で録音から仕上げまで完成させる
  • テイクの編集や繋ぎは一切なし。
  • サウンド調整もマイクの音量バランスと残響付加以外のみ

となっています。

スタジオの高価な機器で録音していますが、やり方は安価な機器でも一緒ですので、解説していきます。

ステレオマイクのみで良い音で録音する方法

前回は演奏家でも気軽に買える価格帯のステレオマイクとレコーダーについて書きました。

ステレオマイクが用意できたら、次はその使い方です。

ポイントは2つで、

  1. ステレオの方式を理解する
  2. 適切なマイクポジションをみつける

の2つです。

順番に解説します。

ステレオマイクの方式を決める

まず、どの方式のステレオマイキングを選ぶのか?が重要です。

ステレオマイキングの種類についてはこちらの記事で解説しています。

クラシック録音の場合は、ABステレオORTFステレオがオススメです。

ステレオマイクのポジションの決め方

ステレオの方式が決まったら、マイの置く位置を決めます。
決めるためには色々な場所において試す必要があります。

耳で聴く

ステレオマイクは「人間の耳で聴いた音」と考えてもらえば良いです。
ですので、ひたすら色々な場所で聴いてベストなポジションを探しましょう。

ただし前提として、
耳で聴いたのと同じ感じで録音できるマイクがある
というのが条件になります。

実際にはそのようなマイクはプロ用マイクの中でもごく一部です。
ですのでクラシック録音ではプロはSHOPSやDPAなど、定番のマイクが決まっています。


サウンドハウスでみる

定番マイクの一つ
DPA4006

サウンドハウスでみる

実際には耳で聴いてベストなポジションを見つけたら、試し録りをしながら場所を修正していきます。

演奏しながら耳で聴いてって1名では不可能ですよね。
その場合は、友達に手伝ってもらうしかないです。
もしくはプロに頼みましょう。

各楽器の適切なバランス

耳で聴いてといっても闇雲に聴く必要はありません。
おおよその法則はあります。

適切な距離

特に決まりはありませんが、近づけすぎない事が重要です。

耳で聴いて「ちょっと遠いかも」と思うところから初めて、「音が遠かったら少しづつ前に出す」感じです。
遠目から始めるというのが重要です。

マイクが近いとどうなる?

マイクを近づきすぎる低域が持ち上がったり、耳の痛い音になります。
例えば、顔の前の50cmくらい話したところで指を鳴らしてみてください。
普通に聴け流と思います。鳴らせない人は手を叩いても。
次に耳元で鳴らしてみてください。痛い音になります。
音量も上がりますがそれよりも音量のピークの幅が上がり、刺さるような音色になると思います。

もし物凄く楽器に近づいても残響が多すぎたり、音が遠い、細いなども場合は、

  • 演奏場所(部屋)が悪い
  • 録音機器が悪い
  • そもそも演奏時の音がしょぼい

のどれかになりますので、順番に見直しましょう。

ピアニッシモとフォルテッシモが意図通り聴こえる距離にする

理近くなるほどオーディエンスとして普段から聴いている音、聴いてほしい音とはかけ離れた音量ダイナミクスの差がでます。

そうすると、録音されたサウンドには大きすぎるところや小さすぎるところができてしまいます。
自然に聞かせるためには録音後に音量の調整などが必要になってしまいます。

クラシックは「生の音をそのまま聴いてもらう」音楽ですので、演奏したままのダイナミクが録音されているべきです。

ポップスの場合は逆に近い音をあえて録り普段は聴けない迫力のある音を狙ったりします。

直接音と間接音のバランス

離していくと間接音が増えていきます。
部屋の残響音などです。

直接音と間接音のバランスは、クラシックのCDでも千差万別。
完全に好みです。

程よいところを見つけましょう。

離しすぎると音が痩せる

離しすぎると音が痩せていく場合があります。
経験上、安価なマイクはどうしてもそういう傾向がありますので、近づけて録音するしかないです。
が、その場合、録音後に音量の調整などいわゆるミックスをしないと自然に聴こえなくなってしまう時もあります。

クラシック録音のプロ用定番マイクの凄さは、離してもしっかりとした音で録音できる所です。

楽器の配置と向きに対応して考える

楽器の配置と向きを考えたマイクポジションも重要です。

今回の動画のような声楽だとコンサートでは、歌手は聴衆の方を向きます。

聴衆の方を向いて歌う歌手のイメージ

が、録音の時はお客さんはいないので、どのような向きでもOK。

僕はお互いに向かい合って歌うことを進めます。

まず奏者がやり易い環境を作り、その上でベストなマイクポジションを見つけます。

声楽の場合は歌がメインですので、歌が中央でセンターになるように、かつピアノの音が逆にならないポジションにします。

適切なポジションが決まったら

適切なポジションを判断するには演奏を録音してみて良いか悪いかというのもありますが、僕は実際にスケールを演奏して確認したりもします。

例えばピアノなら最低音から最高音まで順番に弾いてみる。

一定のタッチで演奏しているのに、どこかで大きくなったり目だしすぎたり、逆に抜けている感じや足りない感じがしたら修正が必要です。

ここまできたら、もう一つ最後に確認することがありますが、また次の機会に書きたいと思います。

では。

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