岩崎将史です。
映像信号を50mや100mなど長い距離を引き回すために必須なのが「SDIケーブル」です。
ところが実際にはSDIケーブルを用いても50m程度で映像信号が送れなくなる場合があります。
これは「SDIケーブル」と言っても、ケーブルの種類が違うからです。
今回はSDIケーブルの種類で伝送できる距離が変わりますので、それについて解説します。
SDIケーブルには太さの種類がある
SDIケーブルには様々な太さで種類が分かれます。
僕が普段使用しているのは、ケーブル・メーカー「CANARE」のSDIケーブルで主に、
- L-5CFW
- L-3C2VS
と呼ばれる2つです。
違いは型番の数字の「5」と「3」です。
数字の後の「FW」と「2VS」は今は気にしないでください。
最後に解説するモ〜
この2つの型番は純粋な線(ワイヤー)の型番ですので、上記2つの製品にはコネクターは付いていません。
自作用のいわゆる「生線」ですので、自作ができない人はコネクターの付いた出来合いのケーブルを購入しましょう。
数字が多いほど太い
この数字が何を表しているかというと太さの違いです。
2つのケーブルを並べて写真を撮ってみました。
急いで撮った写真なので汚くて申し訳ないモ〜
上が「L-3C2VF」で下が「L-5CFW」です。
「L-5CFW」の方がかなり太いのが分かります。
太いほど最大伝送距離が長い
SDIケーブルの太さで何が変わるのかというと、最大伝送距離が変わってきます。
- L-3C2VFは最大で46m前後
- L-5CFWは最大で100m前後
となっています。
そのため、
SDIケーブルなら何も気にしなくても長距離が届くでしょう!
と考えていると現場会場で映像が届かない、映らないということがあります。
40m以上の距離を伝送する可能性がある現場へは「L-5CFW」を持ち込むようにしています。
太いケーブルのデメリット
それなら全て「L-5CFW」で揃えたほうが良いのでは?
と考えてしまいますが、デメリットがあります。
- 重い
- 嵩張る
- 引き回しが大変
- 値段が高い
といった感じです。
中でも「重さ」というのは、想像以上に差があります。
50m以上を引き回すことは無いという場合は「L-3C2VF」の方が早く仕込めますしコスパも良いです。
SDIケーブルは延長も可能
シチュエーションに応じた適切な長さのSDIケーブルを全て用意することは難しいです。
実際に会場を訪れてセッティングをしてみて機材のセッティング位置を変更する場合もあります。
そんな時はケーブル同士をジョイントで繋いで延長させることが出来ます。
その辺りがHDMIケーブルよりも気軽に出来るのが、SDIケーブルの魅力でもあります。
延長させるために必要なコネクターが上記の写真です。
右側のコネクタ・プラグがそれで通称「JJ」と呼ばれています。
JJというのコチラのファッション雑誌が浮かびますが関係ないモ〜
連結さえた写真がコチラ。
1個¥300円程度で購入できます。
何かあっても良いように常に複数のJJをSDIケーブルを持ち出すときには一緒に持ち出しています。
JJ使用時は最大円長距離の減少に注意
延長に便利なJJですが、1つだけ使用には注意が必要です。
それは「最大伝送距離が減少する」ということです。
JJは間に挟まるコネクターで電気的には抵抗ともなります。
そのために延長なしでは100m伝送できるはずのケーブルも50mと50mをジョイントした場合は映像が映らない場合があります。
数パーセントのロスが発生するので、90数メートルと考えるのが無難です。
ケーブルの種類ごとの最大伝送距離の一覧
実は僕が使っている2種類のケーブル以外にもカナレでは多くのSDIケーブルが販売されています。
それぞれの型番毎に最大伝送距離と特徴を一覧表にしてみました。
型番 | HD-SDIでの 最大伝送距離 | 特徴 |
---|---|---|
L-3C2VS | 46m | 芯線が撚り線なのでケーブルは柔らかいが、距離がでない。 フルハウスでのレンタル有り |
L-5C2VS | 68m | 芯線が撚り線なのでケーブルは柔らかいが、距離がでない。 |
L-3C2V | 50m | 芯線が単芯なのでSよりケーブルは硬いが距離はでる。 |
L-5C2V | 77m | 芯線が単芯なのでSよりケーブルは硬いが距離はでる。 |
L-5CFB | 112m | 芯線が単芯でシールドがアルミラップなのでかなりケーブルが硬い。 そのために固定配線向け。仮設ケーブルには不向き。 値段は安くて距離はピカイチ。 |
L-5CFW | 103m | 芯線が単芯で編組シールド、5CFBよりやわらかく取り回しやすい。 仮設配線向け。 値段は高いが取り回しがよく、伝送距離も長い。 フルハウスでのレンタル有り |
詳細な数値などはいつも設備関係の依頼を請けた際に、施工などをお願いしているデジコムさんに強力頂きました。
銅の高騰でケーブルが手に入りにくなる?
最後に余談ですが、先月に僕の会社フルハウスでは大量のSDIケーブルを買い増ししました。
理由は2021年の6月からケーブルの価格が各社一斉に値上げをするからです。
理由は銅の供給不足による高騰です。
なんでも仕入原価が1昨年の2倍くらいの金額になっているそうです。
供給不足の理由はもちろんコロナの影響とそれにまつわる世情の変化です。
今年も年末までの間に、多くのライブ配信やコンサート撮影録音などの相談、依頼を頂いています。
足りなくなると困るので早めに増強しておきました。
同業者にレンタルもしてます。
フルハウスのレンタルページがコチラです。
常に必要な物ではありませんので、シェアしましょう。
ということで、ではまた。