こんにちは、岩崎将史です。
ついに消費税が10%になりました。
僕のSNSタイムラインにも、
当店は消費税アップでも値段は据え置きです!
うれしい!さすがです!
みたいなやりとりが、いくつも見られました。
今回はあえて言葉は悪く書きますが、
アホも〜…
というのが僕の感想です。
理由を説明します。
「お値段そのまま据え置き」は2つのどちらか
税込価格をそのままで据え置くということは、
- 値下げをする
- 消費税を支払っていなかった
のどちらかです。
1. 値下げをする事業者
税込4,000円の商品サービスがあったとして、
- 消費税8% → 税抜き価格は3,704円
- 消費税10% → 税抜き価格は3,636円
で、68円の値下げになります。
最近は経済に対する正しい情報を入手する人たちが増えてきで、値下げをすることの害悪がかなり理解されつつあります。
もしまだ、
値下げってお財布に優しい〜。嬉しい〜。
と思っている人がいたら、この記事の意味がわからないと思うので説明します。
Laborコストを下げるしかない
飲食店を例にあげて説明します。
飲食店の経営ではFLRコストというのが大切です。
- F…Food (フード) 材料費
- L…Labor (レイバー) 人件費
- R…Rent (レント) 家賃
のことです。
FLRコストが売上の70%を超えてくると、その飲食店は潰れると言われています。
FLコストでは60%と言われています。
Fコスト、つまり材料は30%まで。
小さな店舗だともともと、税込で商品やサービスの値段を掲げていることが多いです。
税込1,000円の商品やサービスということは、消費税8%の時の商品価格は925円です。
消費税10%になると909円になります。
16円の値引きです。
商品が変わらない以上、Fコストは一定です。
そして店舗の場所が変わらない以上、Rコストも一定です。
下げれるのはLコストしかないです。
つまり人件費です。
人件費の低下は消費の低下を産み、回り回ってあなたの給与を押し下げます。
そしてこの人手不足の時代にそれは行う経営者は、後進の給与を伸ばす気はないし、業界全体の発展を考えていない、自分だけが一時だけでも生き残れば良いという戦略にみえます。
焼畑商業という言葉もあります。
2. 諸費税をそもそも払っていない事業者
個人経営の小さな店舗や事業所だと、そもそも消費税を取るだけ取って納めていない場合がかなりあります。
売上が年間で1,000万円以下だと消費税の納税を免除されます。
これはかなり美味しいはずです。
一般的に事業系では計上利益を2~5%程度を出すのに苦しんでいるところが多いです。
そんな中、売上が1,000万円以下の個人事業者は、消費税を全て自分の利益とすることができます。
何も工夫しなくても10%も実質の粗利益が余分に取れるので、2%~5%の経常利益を出すのに頑張っている普通の事業者からすると、これは物凄く羨ましい数字です。
ですので増税となっても、
そもそも払ってないし、8%の粗利は確約されているから別にそのままでいいや
と考えてもおかしくないです。
どちらも世間には害悪
このお値段据え置きは、良心的に見えます。
が、実際は世に物凄い害悪をもたらします。
害悪は3つあります。
- 人件費を押し下げて消費を縮小させる
- 税収アップに寄与しない
- まともにビジネスをしている人を苦しめ、デフレを推し進める
です。
1. 人件費を押し下げて消費を縮小させる
これは先ほども説明しました。
商品サービス価格を下げるわけですから、人件費を下げるしかないです。
そうすると大抵出てくる意見は、
人件費を下げなくても無駄を省いて効率化して2%削減すれば…
ほう…あなたは2%も無駄な仕事を今までしてたんだも〜?
今まで無駄な仕事をしていた自覚のある人は削減が可能です。
ただし、ほとんどの事業者は既に過去の20数年のデフレの中、すでに徹底的に無駄を削減してなんとか利益を出そうとして生き延びてきていました。
あだできることはゼロとは言いませんがわずかです。
だったら、能力を上げて2%仕事を多くできるようにすれば
うわ〜、こいつやっばいも〜
従業員が勉強して2%も余分に仕事をこなせるようになったら、その分は給与をアップして上げたい、と考えるのが一般的だと思います。
頑張って能力身につけて仕事をたくさんやったら、1つ1つの仕事は安くなって良いんですね…。
この人が社長になったらブラック企業一直線という感じです。
2. 税収アップに寄与しない
政府が消費税を上げた理由は社会福祉増に対応して「税収を補うため」です。
値段を下げたら事業者の利益が減るので法人税も減るし、人件費も減るし、そしたら所得税や社会保険なども減るしでして…負のスパイラルです。
3. まともにビジネスをしている人を苦しめ、デフレを推し進める
これが僕は実は一番問題で、消費税が1989年に導入されて以降、1990年代から今日までデフレが続いている原因の1つではないか?と勝手に推察しています。
免税事業者がデフレを引き起こす理由
8,000円で仕入れのできるAという商品があったとします。
Aが必要だな。
どこに注文しようか。
2箇所で見積もりを取ろう
納税事業者の見積もり
さくらさん
¥2,000は粗利益を出さないとやっていけないから…
さくらさん
商品は10,000円で消費税が1,000円ですので、税込11,000円になります。
免税事業者の見積もり
ももさん
¥2,000も粗利益が出れば十分だわ
ももさん
商品は9,091円です。消費税は909円ですので、税込10,000円になります。
どちらも実質の粗利益は一緒
1,000円ほど安いにも関わらず、売上1,000万円以下の個人事業者は、納税事業者と同じ粗利益を得ることができます。
法人として納税しているさくらさんの会社はなんとか負けないように値段を下げようとします。
そう…、さくらさんの人件費を削ってね…
古典的なビジネスモデルほど若い人の人件費が上げられない要因となっています。
個人フリーランスの多い業界ほど、デフレが進んでいる(ようにみえる)
上記のロジックは統計調査をしたわけではありません。
僕の体感です。
業種的にフリーランスと接する機会が多く、発注したり競合相手にもなったりしますので、そう感じることが多いです。
もちろん需給バランスもあるも〜だが
クラウドワークスやランサーズなど使ってフリーランスに頻繁に発注している経営者仲間も多いです。
フリーランスとクライアント企業のマッチングサイト。
出来る仕事をアピールとともに登録しておくと、仕事の依頼を請けることができるようになります。
など使ってフリーランスに頻繁に発注している経営者仲間も多いです。
- デザイナー
- ライター
- クリエイター
など業界的にフリーランスが多いと伺える業種の価格破壊が恐ろしく進んでいるようです。
どう考えても1~2日程度は工数が必要な作業を、
5,000円でやります!
という人が割と多いという話を発注者サイドから良く聞きます。
そういう金額に引っ張られて、単価の安い仕事が増えている人もある程度はいるのでは?と少し懸念も持っています。
これからは終身雇用がなくなっていき、フリーランスや個人への業務委託契約というのがどんどん増えていきます。
これからはフリーランスの時代という言う人もいます。
フリーランスこそ安売りではなく技術で勝負しないと独立した意味がないも〜
まとめ
ということで、最後は少し話が脱線しました。
消費税が10%に増税されましたが、
- お値段据え置きは、実は良いことではない
- 据え置く個人事業者は、そもそも免税事業者かもよ
という話でした。
増税に負けずに頑張ってお金回していきましょう。
本当はやめてほしいけども〜…
では、また。