岩崎将史です。
作編曲、サウンドプロデュース業を、株式会社フルハウスという会社でやってます。
音大で教えたりもしています。
オーディションやコンクールの録音や撮影に、それほどお金は掛けられない人は多いと思います。
コンクールへ提出するための録音に来ていた音大生に、ついでに演奏してもらった動画の第3段ができました。
その動画を見て頂きつつ、オーディションやコンクールのための、録音やYouTube制作のコツについて書きます。
コンクールやオーディションでなくとも、普段の練習の確認にも使えます。
今回はクラシック音楽を想定していますが、その他のジャンルもその内に書きたいと思ってます。
動画「Paisiello|Nel cor piu non mi sento」
曲はジョヴァンニ・パイジエッロのオペラ「美しい水車小屋の娘」のアリアを現役音大生、岡安菜月さん、小笠原彩乃さんに演奏して頂きました。
1789年に上演されたオペラ『美しい水車小屋の娘』《La Molinara》の中のアリアで、パイジエッロの作品としては最も知られている。
wikiより
1795年にはベートーヴェンが変奏曲「パイジエッロのオペラ『水車屋の娘』の二重唱「わが心もはやうつろになりて」による6つの変奏曲 ト長調 WoO.70」を、1820年頃にはパガニーニが変奏曲「『虚ろな心』の主題による変奏曲 ト長調」を作曲している。その他にも、ヨハン・ネポムク・フンメル、ジョヴァンニ・ボッテジーニ、ヨハン・バプティスト・ヴァンハルなどが変奏曲を作曲している。
オーディション用録音について
僕のスタジオ「フルハウス」には頻繁にオーディションやコンクール用の録音依頼が来ます。
ほとんどの方が、
自分たちでスマホで録音、撮影してみたのですが、どうも上手く行かなくて。
という事が多いです。
少しでも良い音でとるには、まず何よりもマイクが重要です。
今回は「演奏家が自分たちで録音、撮影するのにオススメのマイク」を解説します。
マイクを別に用意する
スマホ本体に内臓されているマイクは、音楽の録音には向いてません。
通話や、動画撮影時に背景音を録音するのに少し使える、っていう程度です。
ですのでYoutuberがスマホで直接録音している場合、部屋の響きや周りの音が大きく入っていて、声が聞き取りにくい、という事があります。
声が聞き取りやすい動画は、大抵、マイクはスマホとは別の物を使っています。
どんなマイクを用意すれば良いのか
アマゾンで検索すると色々なスマホ用のマイクが出てきます。
スマホ用マイクをつけると、それだけで格段に音が良くなるのでオススメです。
マイクは必ずステレオで
必ずステレオマイクを選んでください。
ステレオマイクというのはマイクが2つついている物です。
オススメは、
ZOOM ズーム XYステレオマイクロフォン iPhone / iPad 用 iQ6こういう奴です。
というか、スマホにマイクをつけるならこのズームがオススメ。
サウンドハウスでみるモノラルマイクは買っちゃダメ
間違ってもモノラルマイクというマイクが1つだけの物は買わないようにしてください。
スマホ用マイクの多くはモノラルです。
なぜならスマホではYoutuberなど「話し」を録音したい人が多いからです。
お話の場合は、声が真ん中から聞こえてくれば良いのですが、楽器や歌はそうではありません。
ステレオマイクを買うべき理由
動画にも2つのマイクが見えますが、ステレオで録音するのが圧倒的に自然で臨場感がでます。
なぜなら「人間の耳は2つあるから」です。
かならずステレオマイクを選択しましょう。
オーディオインターフェースならプロ用マイクが使える
スマホに取り付けるタイプのマイクは、スマホのマイクよりは良いです。
が、プロ用の物に比べれば負けます。
少し背伸びをして、さらに良いマイクで録音したいという人はオーディオインターフェースがおススメです。
PreSonus オーディオインターフェイス AudioBox iTwo [Studio One Artist 付属]上記写真用に別な機械になっています。
これをiPadやPCなどに繋いで録音します。
iOneというマイクが1つしか付けれない物もありますので、間違えないでください。
サウンドハウスでみるそして付属のソフト「Studio One」は使っているプロも人が多いんで、信頼性が高いです。
オーディオインターフェスを買った場合は、マイクを別で買わなければいけませんが、すごく奥が深い世界ですので、これはまた別の機会に解説したいと思います。
専用レコーダーを用意する
オーディオIFやマイクなどを揃え、使いこなすのは少し大変です。
片足、プロの録音家に突っ込み始めています。
もう少し簡単に、スマホにつけるマイクとオーディオIFの中間くらい。
そういう人は、専用のレコーダーを買いましょう。
音楽録音用に特化したものがいくつかあり、スマホにマイクを付けるより格段に音が良くなります。
いくつか選択肢があるのでご紹介します。
TASCAM DR-40EX
サンプリングレート 96Khz の高解像度での録音ができます。
XLRという業務用規格のマイクが繋がるので、もう一段上の録音クォリティーを将来的に目指すこともできます。
X-Y方式という録音録音ですが、これはまた次の機械に解説しようと思います。
ZOOM H4n Pro
サンプリングレート 192Khzの高解像度まで録音できるので、数字スペックは上記のTASCAMより有利です。
が、録音は数字のスペックだけじゃないので、それほど重要視しなくて良いです。
業務用マイクが繋がるのもTASCAMと同様ですし、X-Y方式というのも同じです。
僕は、このシリーズの前モデルを持っています。
さっと外で簡易的な録音が必要になった時に、とても便利で重宝しています。
サウンドハウスでみるSONY PCM-D100
DSDや192Kh/PCMという、高解像で録音できるレコーダーです。
DSDというのは最新の規格で、現時点では最も音の良いフォーマットです。
倍音や細かいニュアンスまで凄くわかりやすいので、普段から練習の録音用にすると、演奏のダメな部分な部分が的確にわかるので、とても良いです。
ですので、このSONYのこのDSDを録音できるシリーズを購入しているクラシック奏者は、友人にも多いです。
その分、ちょっと高いですけどね。
サウンドハウスでみるこれ以上に高価なものは必要なし
マイクやレコーダーは他にもたくさん選択肢があり良い物、高価の物もたくさんありますが、僕はこれ以上の物を演奏家が買う必要はないと思います。
なぜなら
これ以上の物を買うならプロの録音家に頼んだ方が良いモ〜
だからです。
その理由は4つあります。
メインテナンスが大変
良い機材、特にマイクは管理状態でめちゃくちゃ音が変わります。
楽器と同じと思ってください。
僕らはデシケーターと呼ばれる湿度が管理された箱の中で保管します。
数日、湿度変化の多いところに置いておくと、もうズモンズモンの酷い音になります。
3年経ったら鉄くず
特にデジタル系は変化が早いです。
必要な時にその時にベストな物を借りて使った方が良いです。
その分、腕も必要
高価な機器を扱うには録音の腕も必要。
F1を運転するには、それなりのトレーニングが必要なように。
高性能な機器は、ナイーブでもあるので、正しく使わないと故障もしやすいです。
その分を練習時間に当てよう
プロの録音家に頼むとお金が…
自分でやった方が、お金も気にせずにという気持ちもわかりますが、それには今回、紹介したようなマイクやレコーダーで十分です。
それらを使って普段から練習を録音してしっかりとレベルアップ。
うまくいくテイクが取れたら世に出せます。
実際にそのように録音したものを僕がマスタリングを施し、もう一段階、音をよくしてCDリリースをした作品もあります。
そして、それくらいの演奏の実力が着く頃には、スタジオで録音したときの時間も早くなります。
最初にあげた動画は録音は3回ほど。
それにボリューム調性をしただけで、1曲に時間も掛けてないです。
であれば、高価なプロ用機器を購入する金額で何十曲も録音できます。
バランスの良い集音位置を決める
ステレオ・マイクが手に入ったら、適当に録音したら良い音になるわけではありません。
マイクポジションと言いますが、マイクを置く位置で、最高のサウンドにもなるし、最悪なサウンドにもなります。
一番良い音で録音できる位置を見つけることが重要です。
最初の動画もオーバーヘッドと呼ばれる、ステレオマイクの音がほとんどです。
その辺りのやり方は、次に書きたいと思います。
では、また。