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CDプレス用マスターに最適なCD-Rメディアは?【2022年度版】

DTM・レコーディング系ノウハウ
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こんにちは、岩崎将史まさふみです。

今回はCD-Rの話。

CDプレス工場に入稿するマスターCD-Rは物によって品質に差があります。

今の時代にCD-Rの話?

とお思いの人もいらっしゃると思います。

CD-Rや音楽CDは、これから数年かけて消えゆく運命でしょう。
それは分かっているんですが、今回たまたまCD-Rマスター入稿でもプレス(製造)依頼がありました。

そこでCDプレス工場にもご協力頂いてプチ検証を行ってみました。

CDプレス工場への入稿方法

CDプレス工場にマスター音源を入稿する方法は主に3つの方法があります。

  • CD-R (DA) マスター
  • DDPマスター
  • U-Maticマスター

この中で業務用スタジオではU-Maticテープから現在ではDDPマスターにスイッチしていってます。
僕のスタジオ『フルハウス』も基本的にはDDPで入稿しています。

一般個人の方だとDDPマスターを作成できる環境は少ないので、CD-Rで音楽CDをプリントし入稿される場合が多いでしょう。

その際に、どの様なCD-Rメディアを使うかで品質が大きく変わってきます。

デジタルデータなのにメディアで品質が変わるの?

と感じる方も多いと思います。

結論から言うと変わってしまいます。

久々にオーディオCD-Rでの入稿でしたので、現時点で容易に入手可能な物の中でどういった違いがでるのか?を検証したかったのです。

3つのメディアで検証してみた

今回は3つのメディアで検証してみました。

  • maxell CD-R 700MB(CMC Magnetics Type 6)
  • maxell for AUDIO R80(Ritek Type 7)
  • That’s CD-R for AUDIO(TY Type 1)

上2つは現在も近所の家電屋や通販などで手に入る物を選びました。
何が手に入りやすいかはお店や地域性によって異なるかもしれません。

最後の『That’s CD-R for AUDIO(TY Type 1)』はマスター用CD-Rとして発売されていた物です。
現在はメーカーである太陽誘電がCD-R製造事業から撤退していますので、製造はされていないと思われます。

Amazonなどを見ると在庫僅かで高額で販売されています。
1枚3,000程度で取引されていますので、違いがでないと困りますね。

フルハウスでは製造終了の前に大量に仕入れていたので、それを使用してみました。
まあ、その在庫も残り数枚となっていますが。

メディアで違いがでるのか?

上記の3枚のメディアでどの様な違いがでるのでしょうか?

今回はプレス工場に3枚の同じマスターデータを搬入し、一番良いものでCDプレスを行ってもらうように依頼してみました。

その結果、プレス工場からデータのフィードバックを頂いたので、皆さんと共有したいと思います。

プレス工場は国内の品質・音質的に僕も同業も最も評価している工場です。

maxell CD-R 700MB(CMC Magnetics Type 6)

オフィス系の通販で定期的にバルクで仕入れているCD-Rです。

70分辺りにC2エラーが高く出ています。
グラフの青い部分がそれに該当します。

DDP Loader でも「Audio Uncorrectable」というエラーが検出された為、使用できませんでした。

こちらは4倍速で書き込んでいます。
ガッツリとエラーが発生してしまっています。

4倍速の理由は原稿のプリントドライバーの最低速度が4倍速だからです。

maxell for AUDIO R80(Ritek Type 7)

同じマクセルのCD-Rですが、こちらは近所のコジマ電気で購入してきたものです。
1毎づつケースに収まっているタイプです。

数カ所、C2エラーが検出されましたが、問題無いレベルです。
DDP Loader でもエラーは検出されませんでした。

こちらがマスターとして使用されました。

こちらは8倍速でプリントしました。
理由は2000年代後半以降のCD-Rは高倍速でのプリントに最適化されていってるので、低速だと逆にエラーレートが上がるという話も聞いたことがあるからです。

メディアの検証という意味ではあれば同じ速度で書き込むべきです。
ただし僕は常に仕事の中で1つ実験選択肢を付加してノウハウを貯めるように心がけています。

プレス工場サイドに流石に1案件で更に多くの不可を強いるのは望ましくないので、今回は4倍と8倍で検証しました。

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That’s CD-R for AUDIO(TY Type 1)

一番高価なマスター専用のCD-Rです。

C1エラー(緑色の部分)は非常に低く安定しており、全体的に高品質です。

55分辺りの記録面に異物が付着しており、拭き取ったところ書き込み跡が無く、その結果、その部分だけC2エラーが突出しています。

DDP Loader では一応エラー無くDDP変換できましたが、マスタとしては使用していません。

異物の理由は分かりません。
開封後、直ぐにCD-Rドライブに入れているのでその間に誇りが付着したのでしょうか?

ただし、この付着物がなければ間違いなくエラーレートが最も低い、一番高品質なCD-Rなのは間違いです。
流石「for The Master」を歌うだけの事はあります。

製造停止が何とも悔やまれるCD-Rです。

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CD−Rメディアによって品質が変わる

上記のデータを見て頂ければ、CD-Rは品質によってエラーレートが大きく変わってくるというのが分かると思います。

これはCD-RだけでなくCDプレスも工場やラインでも変わってき、音質などにも影響します。

再生機器側でエラー補正などを行えばデータとしては問題なく使えるものではありますが、プレス工場の技術屋としては完全にオリジナルと同じ物を複製したいでしょう。

厳格なフィードバックを頂けるそういう意味でも信頼できる工場です。

業務用スタジオはDDPデータで入稿

このようにメディアによって品質が変わってしまうCD-R。
業務スタジオですが、基本的にCD-Rは使っていません。

古くは「U-matic」というテープがプレス用になっていました。
これは大型なデジタル式のテープレコーダーです。
2000年過ぎまで現役でした。

2000年代移行になると、CDプレス工場が台湾などのアジアに世界的に移行します。
工場の運用コストが圧倒的に安い事が主な理由です。
CDに限らず、あらゆる工業製品がアジアに移動した時代でした。

そうなると「U-Matic」という大きなテープを物理的に運送するのは費用的も時間的も無駄が発生します。
そこで「DDP」というマスターの規格が考案されました。

「DDP」はDVD-Rなどの物理媒体にプリントすることも可能ですが、デジタルデータですのでオンラインでのデータ転送を前提として設計されていて、データ転送時にエラーが発生してもそれを保管し合う様々な仕掛けがあります。

ということで、業務スタジオはDDPで入稿するので、今回の実験はそれほど関係はないといえば無いように思えます。
ところが工場やプレス会社では最終的にDDPを一度CD-Rにプリントしてスタンパーというマスターを作成する場合が多いので、そう意味では直接我々が手を下す訳ではないですが、全く関係ないとも言えないです。


ということで、今回はCD-Rメディアによって品質が違うという例を共有してみました。
皆さんの音楽制作活動の何かしらの参考になれば幸いです。

ではまた。

岩崎
岩崎

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