岩崎将史です。
質問をいただきました。
声楽の録音や撮影にオススメのマイクはありますか?
できれば5万円くらいで。
むむ、これは難問だモ〜。
よしブログに書いてみるモ〜
質問を頂いた方は、海外で活動されている声楽家とのこと。
僕のブログを見つけてメッセージを頂きました。
声楽の録音に求められるマイク
「5万円くらいまで」というのが凄くハードルが高いのですが、敢えてその中でも僕が「購入する価値がある」と思えるマイクを紹介しようと思います。
ちょっと前置きが長くなるのですが、まずは色々と前提を解説します。
声楽用マイクに求められる3つのポイント
声楽に限らずクラシック系の集音マイク全般に言えることですが、次の用な性能が必要です。
- 距離を離して良い感じに集音できること。
- 弱い音と強い音のダイナミクスが自然なこと。
- キャラクターを作った感じがしないこと。
距離を離して録音する
ポップスの場合は多くの場合において耳元て歌ったような目の前に迫る音像が求められます。
そのため近接で集音しコンプレッサーという機器を使って音像を前に出したりします。
クラシックはポップスとは真逆で、適切な距離を取って録音する必要があります。
距離を取る理由
理由としては、クラシック音楽の成り立ちにあります。
ココでは書きませんが、いくつかの記事でクラシック音楽が成立していく過程を解説していますので、ご参考ください。
遠距離での音像変化
クラシック向けの定番マイクは距離を取って録音したときの音像が自然になります。
ボケにくく狙った感じで直接音と間接音のバランスを調整できます。
自然なダイナミクスを集音
そして、もう1つはダイナミクスの変化です。
弱い音と強い音の差を自然に集音できることが重要です。
弱い音が聴こえにくくなったり、強い音が強く入りすぎたりするマイクは避けたいところです。
自然なダイナミクスのためには距離も必要
演奏のダイナミクスを自然に集音するためにも、一定の距離が必要というのがあります。
自然なダイナミクス集音のためには、一定の距離が必要で、距離を取った時に音像が極端に後ろにいかない、ボケない必要があります。
近接録音は後の調整が必要
近接で録ると、本来のダイナミクスとは違う音が記録されてしまいます。
そうするとミキシングによる調整が沢山必要になってしまい、歌手の意図と変わるどころか大幅に作業の時間が発生してしまいます。
ポップスの場合は、ミキシングにおいて電気的に調整することを前提としている音楽が
その全てがプレイヤーに委ねられるべき、というのが本来のクラシック音楽のあり方です。
クラシックの録音もある程度のミキシング作業を行う場合もあります。
ただし、基本はプレイヤーに委ねられるべき物です。
安価なマイクの多くはスタジオやライブなどで近接集音向けな物が多いです。
作った感じがしない
マイクによっては、サウンドキャラクターに特徴があり過ぎるものも存在します。
ポップスの場合は、電気的に作った音が魅力なジャンルもありますので、そういったマイクを使うこともあります。
クラシック音楽の場合はできるだけ自然な音で集音できる物が良いです。
良いマイクはやっぱり高い
ココまでクラシック音楽の集音マイクに求められる特徴を解説してきました。
上記に上げた3点を求めると、どうしても高価なマイクになってしまいます。
先に少しだけ、プロ定番のマイクを紹介しておきます。
この後、安価なマイクも取り上げるのでご心配なく。
プロの定番マイク
クラシック音楽の録音ではDPAやSHOPSというマイクメーカーが定番です。
そして声楽ではスポットマイクとしてNEUMANのラージダイアフラムなどを良く使います。
大切なのはマイクだけではない
音の入口としてはどうしてもマイクにまず目がいってしまうと思います。
しかし実際にはマイクと同じくらい重要なのが下記の3つです。
- 部屋
- マイクプリアンプ
- ADコンバーター
それぞれの音質や特性が全て大切で、この組み合わせで「何が1番良いマイクか?」というのも変わってくる部分があります。
マイクプリアンプ?
AD??
マイクプリアンプやADコンバーター、声楽録音のポイントなどについては、1つの記事では書ききれません。
今後、別記事として書いていこうと思います。
僕のメールマガジンに登録いただきますと、記事の更新や最新情報などをお届けしています。
時々ブログに書けない情報なども発信しています。
これらを踏まえた上で、マイクのみにフォーカスを当てて取り上げていきます。
オススメできるマイク
それでは、安価ながらも声楽家にも比較的オススメできるマイクをご紹介します。
2つのマイクを選んでみました。
BLUE / Baby Bottle SL
「BLUE」社のマイク「 Baby Bottle SL」です。
サウンドハウスだとギリギリ5万円を切っているので取り上げてみました。
ポップスのボーカルで良く使われるマイクですが、クリアで綺麗なサウンドのマイクですので、クラシック声楽でも合うと思います。
ただし声楽の録音で実際に使ったことはないです。
ポップスのボーカル録音時の印象から、十分に声楽家にもオススメできるマイクだと考えています。
Blueでもう一つ安い価格帯のマイクも紹介しておきます。
ただし「 Baby Bottle SL」と違い、実際に音を聴いたことはありません。
NEUMANN / TLM102 NICKEL
ノイマンのTL102です。
ノイマンのボーカル向けコンデンサーマイクとしては最安値の価格帯です。
実はサウンドハウスで5万円を少し飛び越えていますが…、推薦しておきたいマイクの1つです。
先日、僕も利用しました。
写真はブラックですが、同じマイクです。
ニッケルとブラックの2種類から選ぶことができます。
この価格帯にしてはとても優秀なマイクです。
こちらもBLUE同様に声楽での使用経験はありますが、経験値から十分に声楽利用にも耐えうるマイクだと考えています。
他のコスパの良いマイク
次にもう2つのマイクをご紹介しておきます。
- audio technica / AT4040
- AKG / C214 & C314
先のBLUEやNEUMANNと分けたのは、「使ったことはあるけど、ボーカルで使ったことは無いマイク」だからです。
ただし値段を考えたら十分に良いマイクであることは間違いないので、十分に使えるハズです。
RODEとかはどうなの?
安価なボーカル用マイクとしてはRODEのNT2などのシリーズが有名です。
僕も20代前半の時に購入して使ったことがありますが、直ぐに売却しました。
ポップスであれば使えますが、クラシックだと高域トップエンドが少し汚い感じで、微妙だった印象があります。
今は、かなり改善されているかも知れませんが。
audio technica / AT4040
日本のマイクメーカーでポピュラーやロックなどの現場では海外でも評価が高く良く使われています。
僕は上位モデルの「AT4050/CM5」を持っています。
AT4050とAKG C414というのは傾向が似ていて、NEUMANNに比べるとかなり近接よりです。
ルームの残響感というのが、少し安っぽくという聴こえてしますので、メインマイクとしてファースト・チョイスをすることはまずありませんが、少しサウンドキャラクターを変えたいスポット・マイクとして時々使います。
AT4040も使ったことがあります。
AT4050との比較を行ったことはないので厳密なことは分かりませんが、同じように使えるマイクだという印象を持っています。
AKG / C214 & C314
スタジオ・マイクとして定番のC414の機能限定・低価格モデルです。
上位モデルでC314というのがあります。
スタジオ定番モデルであるC414と、コンシューマ・モデルであるC214との中間的位置づけ。
Amazonだと5万円を込めますが、サウンドハウスだと5万をギリギリ切ってきますので取り上げておきます。
マイクだけでなく他の機器や録音方法も大切
今回は4つのメーカーのマイクを紹介しました。
どれを購入しても「たくさん作品を作ってアウトプットしていく」という目標の達成は可能だと思います。
レコーディングの場合はマイクも大切ですが途中でも書いたように、
- 部屋
- マイクプリアンプ
- ADコンバーター
- 方法
などの総合的なバランスと積み上げが大切です。
それらについては今回は書ききれませんので、近々に書いていきますね。
では、また。