岩崎将史です。
上手と下手という言葉が伝わらないことがありましたので、まとめておきます。
舞台でこれを使わない現場はありません。
- コンサートホール
- ライブハウス
- オペラハウス
- ミュージカル劇場
他にも全ての音楽関連や舞台関連の現場では使います。
上手と下手の位置

上手と下手の位置は上の図となります。
客席側からみて右が上手、左側が下手です。
舞台側からみたら逆になります。

なぜ左右ではない?
コンサートやライブの現場では必ず上手、下手と言います。
なぜ左右を使わないのかと言うと、演者視点か聴衆視点かで左右が逆になるので混乱したり事故の元になるからです。
- 〇〇さんは上手から出て下手に履けましょう
- 〇〇さんは左から出て右に履けましょう。
前者はどちらから舞台上に出て、どちらかに退場するかが明確です。
後者は視点によって変わってしまいます。
もし認識を間違えて伝わってしまっていたら本番で大変なことになります。
英語では左右
ところが英語では決まっているらしいです。
らしいというのは僕は上手・下手以外の現場しか経験がないので受け売りです。
上手をStage Left、下手をStage Rightと言うそうです。
僕は絶対に使いません。
オーディオの世界では逆だからです。
間違える自信200%です。

最初に「Stage」とついているので、ステージから見てという意味では伝わりますが、音響だと必ず下手のStage RightのスピーカーをLeft Speakerと言います。
そしてStage Rightから出す音声チャンネルのことをLeft Channelと言います。
あ〜、もうこの時点で混乱です。(^_^;)
レコーディングではどちらも使います。
Playes View と Audience View の両方の場合があります。
レコーディングの前までにどちらの方式で録音するかを決定しておきます。
フランス語では上手をcôté cour(中庭側)、下手は côté jardin(庭園側)と言うそうです。コメディ・フランセーズという劇場があり上手側にルーヴル宮殿とテュイルリー宮殿の中庭、下手側にテュイルリー庭園があったからだそうです。全く覚えられる気がしませんが…。
上手・下手の言葉の由来
上手と下手の言葉の由来は、細かくは諸説ありますが、大筋はこんな感じです。
- 昔の舞台は南向きに作っていた
- 東側に偉い人がくる
- 歌舞伎で広まった
なお、あくまでも日本での話です。
昔の舞台は南向き


重要文化財 (Wikipediaより)
中世以前は舞台を作るとなったら当たり前ですが南向きでした。
照明などはない時代ですから日中に光が指す方向を向いて作るしかありません。
逆光では厳しい。
もし日本が南半球に存在していたならば、当然に逆になったのでしょう。
東側に偉い人
古代は東側に位の高い人を配置していました。
飛鳥時代にはこの考え方が既にあったようです。
天皇は南を向いて座ります。
そうすると東側が太陽が昇る位置になりますので、東側に偉い人を配置となりました。
分かりやすいのは相撲の番付。
東西横綱がいますが、東の方がより上位です。

一番奥が上座
日本では古来より一番奥に座る席を上座とされています。
これも理由は諸説ありますが、前項の南向きの理由から来ている説が理解しやすいです。
例として能舞台の場合で説明をします。
能楽堂は必ず下手に橋掛りがあり、基本は下手側から出入りをします。

上手側が一番奥になり東側でもあります。
能や歌舞伎で舞台用語として定着
上手と下手が舞台用語として一般的になったのは歌舞伎だと言われています。
庶民が楽しめる娯楽ということで、多くの人に定着していったのでしょう。

下手側に花道があり上手側(奥)に位が上の人が主にポジションを取る、らしいです。
(専門外などで、らしいで…)
上手下手の覚え方
覚え方としてネットを検索すると、実にくだらないダジャレでの覚え方が出てきます。
気になる人は検索してみてください。
判を押したように、ほぼ全てのサイトが同じダジャレでの覚え方を書いています。
ところが僕はそのような覚え方をした人に出会ったことは一度もありません。
おそらく多くの人が同じ記事からネタを頂いて書いているのでは?と推察。
ダジャレで覚えなくても由来を理解すれば覚えられると思いますし、応用も効くようになるのでずっと有意義だと思います。
ということで、
- 昔は舞台は南向き
- 東側に位の高い人
- そのため客席からみら右手を上手という
というような理解が一番スッキリすると考えています。
今回は上手と下手が正しく理解できたということで、ではまた。
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