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音楽CD・レコード制作における著作権使用料の分配方法

音楽CD・レコード制作における著作権使用料の分配方法_アイキャッチ音楽の学び
この記事は約8分で読めます。

岩崎将史まさふみです。

僕はクライアント対して著作権使用料について説明をしなければならない機会が多いです。

そこで、一度ブログに簡単にまとめてみます。

  • 音楽を作る人
  • 音楽作りを依頼する人
  • CDやレコードを作る人

それぞれに参考になると思います。

JASRACの場合を基本に解説

JASRACの場合を基本に解説します。

日本の多くの曲や、有名外国曲を国内で利用する場合、著作権管理はJASRACに信託といって著作権者から管理を託されています。

そのためJASRACの場合で解説します。

もう一つの国内著作権管理事業者であるNEXTONEネクストーンも基本は同じように考えて頂いて大丈夫ですが、細かい数字などは別の事業者なので時期により変更が行われる可能性もありますので、実際には各自で確認してください。

JASRAC、NEXTONEに信託されていない楽曲については、個別、著作権者への確認と交渉が必要です。

販売価格の6%が基準

レコード・CD作品の著作権使用料は6%
レコード・CD作品の著作権使用料は6%

音楽CDの場合、著作権使用料は販売価格(定価)の6%と定められています。

次の式で求められます。

【CD販売価格 (定価)】 x 0.06

参考の具体例としては、

  • 1枚3,000円のCDアルバムの場合 → 1枚ごとに¥180
  • 1枚2,000円のCDアルバムの場合 → 1枚ごとに¥120

の使用料をCD製作者はJASRACへ支払うことになります。

最低価格が決められている

相談者
相談者

CDが無料の場合は支払わなくてよいの?

CDが無料の場合でも著作権使用料は必要です。

最低価格というのが決められていて商品1個につき1曲あたりが6.1円を下回る場合は、6.1円と定められます。

最低価格を下回るかの判断の仕方

1曲6.1円以下になるかどうかを見極めるためには、1曲あたりの著作権使用料が分かる必要があります。

求め方は簡単です。

【著作権使用料】÷ 収録曲数

分かりやすく金額感を掴むために、

  • ¥3,000のアルバム
  • ¥2,000のアルバム
  • ¥1,200のシングル

の3パターンにて早見表にしてみます。

収録曲数¥3,000¥2,000¥1,000
10¥18¥12¥6
9¥20¥13¥7
8¥23¥15¥8
7¥26¥17¥9
6¥30¥20¥10
5¥36¥24¥12
4¥45¥30¥15
3¥60¥40¥20
2¥90¥60¥30
1¥180¥120¥60

こうしてみると、1,000円で10曲収録する商品の場合は6円となりますので、6円ではなく6.1円となります。

製造時に支払う

これらの著作権使用料は、販売後ではなく製造時に支払います。

プレス会社への発注前に、JASRACへの申請を済ませて置く必要があります。

申請をすると「著作権の手続きを正しく行っているCDです」ということを証明するJASRAC管理番号が支給されます。

それをCD盤面やジャケットなどに記載します。

申請しないとどうなる?

もし申請をしなかった場合はどうなるのでしょうか?

プレス会社はJASRACと提携し音楽CD工場として稼働しています。

作成した情報はJASRACと共有されますので、どこかのタイミングで著作権使用料を支払うように連絡がきます。

JASRACの管理手数料は6%

JASRACの手数料は6%
JASRACの手数料は6%

こうして支払った著作権料は、その後どのように扱われているのでしょうか?

扱いは明確です。

  • JASRAC運営費や振り込み手数料用に管理手数料6%が引かれる。
  • 残りの94%が著作権者へ支払われる

上記の図のように円グラフにすると、ほぼ見えません(笑)。

JASRACの管理手数料は昔は10%の時代もありましたが、

クレーマー
クレーマー

JASRACの管理費は高すぎる

という世論も後押しして6%へ縮小されたと聞いています。

JASRACは著作権使用料の中からの6%です。
レコード・CDの販売価格の6%が著作権使用料の基準で、その中の6%ですので販売価格からみると、

6% x 6% = 0.36%

となります。

94%が著作権者に振り込まれる

著作権者への配分は6%の内の94%
著作権者への配分は6%の内の94%

残りの94%が著作権者に振り込まれますし、ここは確実に明瞭ですので僕個人の意見としては実に適正だと考えています。

ただし多くの作曲家、作詞家は、

とある作曲家
とある作曲家

94%ももらってないぞ〜!

という声があります。

中でもSNSやブログなどでは、

とある知ったかぶりの人
とある知ったかぶりの人

JASRACは半分も著作権使用料を取っている

などと堂々と解説している投稿や記事などを見たこともあります。

そんなことはなく、JASRACは正しく94%全額を著作権者に支払っているといえるのですが、そうでない声が上がってくる理由は「著作権譲渡契約」にあります。

著作権者とは?

著作権者には主に2つのケースがある。
著作権者には主に2つのケースがある。

JASRACが著作権使用料を支払う著作権者には大きく分けて次の2つに分類されます。

  1. JASRACの信託契約を結び会員となっている作詞家、作曲家。
  2. JASRACと信託契約を結んでいる音楽出版社。

上記1番の場合は、94%の全額が作詞家、作曲家に支払われます。

著作権譲渡契約があると

著作権譲渡契約の図

2番の場合は音楽出版社が著作権者ですので、音楽出版社に94%の全額が支払われ、作詞家、作曲家への支払いは音楽出版社と作詞家、作曲家との契約内容に基づきます。

多くの作曲家、作詞家は音楽出版社と著作権譲渡契約というのを結んでいて著作権を譲渡しています。

ですので、著作者ではあるが著作権者ではないという状態なのが一般的です。

音楽出版社と著作権譲渡契約を結ぶメリットは多くありますが、ココで解説すると相当に長くなりますので、また別の記事にします。

著作権者と著作者の配分は1/2

著作者が著作権者に著作権を譲渡すると、一切著作権使用料が入ってこないのか?となると、そうではありません。

著作者人格権などあり、一般的には著作者には最低でも半分である1/2が支払われます。

出版社の取り分はCISACの決まりごととして最大1/2となっています。
実際のところは作家が2/3で出版社が1/3というような場合も目立たないながら存在します。
その辺りの配分は出版社と作家の関係性で決まる事が多いです。

JASRACから支払われた著作権使用料の94%を半分に分けますので、CD製作者が支払った著作権使用料からみると音楽出版社と著作者で47%づつということになります。

1/2以下の出版社もあるらしい

著作権法上の解釈からも著作者1/2 (以上) というのが一般的で、僕も音楽出版社とは必ずそのような契約書を交わしています。
が、どうも業界仲間の作曲家はそうでない場合もあるようです。間に更にエージェンシーが入るなど相当に少ない金額しか入って来ていない例を多く聞きます。
僕自身はいくつかの大手音楽出版社と契約をしていますが全て1/2 (以上) です。多数の事業者が入る場合もありますが、その場合は共同出版という形で事業者分が按分されるだけですので、最終的に著作者1/2 (以上) は変わりません。
この辺りはまた別な記事にしようと思います。

JASRACが正しく払ってない?

インターネットなどでは「JASRACが使用料を払ってくれない」という問題を稀にみかけますが、僕が知る限りJASRACの問題ではなく、

  • 出版社の運営方針や契約内容に起因
  • 利用者が曲目届を提出していない

のどちらかでJASRACに非があるという事例に出会ったことは僕が関わる範囲内においてはないです。

著作権買取というワード

仕事で楽曲を製作する場合「著作権の買取」という文言が登場することがあります。
上記で説明したように著作権を譲渡された側は著作者に収益を配分する義務が発生します。(ただし形式的に譲渡されたが側が、予測される収入相当分を先に支払う事により、以後の面倒臭い都度の支払い手続きを免除するという形が取られる場合があります)

著作者人格権を譲渡することはできません
そして著作者人格権は次の権利を内包しています。

公表権…著作物を公表するかどうか、公表する場合はどのように公表するかを決定する権利
氏名表示権…氏名を表示するかどうか、表示する場合が本名かペンネームかを決定する権利
同一性保持権…著作物のタイトルや内容を無断で変えられない権利

企業法務弁護士ナビより引用 (LINK)

この辺りを勘違いしている同業作曲家さんに出会う事も多いです。
ただし著作人格権を「行使するかしないか」と言うことが議論になることはあります。

著作権料の分配方法まとめ

著作権使用料の支払いの流れ
著作権使用料の支払いの流れ

最後にCD製作者が支払った著作権使用料が、どの様に著作者に支払われるのかのまとめてです。

  • CD製作者は定価の6%の使用料をJASRACへ製造時に支払う。
  • ただし1商品1曲あたり6.1円を下回る場合は6%ではなく【6.1円×曲数】。
  • JASRACは6%の管理手数料を引き、残りの94%全額を著作権者へ支払う。
  • 著作権者が著作者ではなく音楽出版社の場合は、音楽出版社が1/2を著作者へ支払う。

う〜ん、文章で書くとシンプルにまとめても黒くなってしまって難解そうにみえてしまいます…。

分かりやすくなるように最後に図にしてみます。

著作権使用料のお金の流れ
著作権使用料のお金の流れ

それでは、また。

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