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【外国曲】YouTubeへの演奏動画のアップ【要注意】シンクロ権

音楽の学び
この記事は約6分で読めます。
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こちらの記事は2020年に執筆しました。
2021年よりJASRACの運用方法の変更があり、この記事の内容は大幅に変更されています。
現時点では「個人アーティストが自分の演奏などをアップするのはシンクロ権の侵害に当たらない」という解釈になっています。

過去の事例をアーカイブとして残すために当記事は敢えて修正せずに残しておきます。

事務所や会社などの営利団体などは引き続きシンクロ件の許諾が必要ですのでお気をつけください。

こんにちは、岩崎将史です。

YouTubeなどへアップするための演奏動画を作りたいという依頼や相談があります。
大歓迎です。
が、権利的に問題が発生する場合がありますので、事前に確認が必要です。

権利者の許諾を得ずに自分で演奏した動画をアップしてよいのか?

結論から言うと、

  • 国内の曲は、ほぼOK
  • 国外の曲は、ほぼNG

です。

YouTubeだけではないです。
FaceBookTwitterなどの他の動画配信できるサービスも一緒です。

外国曲を演奏して動画にして公開している人は要注意です。
間違った理解をしている人が割と多いので、分かりやすく解説します。

YouTubeに演奏動画をアップしても良いと思ってしまう理由

YouTubeに演奏動画をアップしても良いと思ってしまう理由の多くは、ほとんど下の理由です。

Google社著作権料包括契約JASRACに払っていから。

これが落とし穴なので、気をつけてください。

音だけなら著作権使用料のみ

Google社がJASRACヘ支払っているは著作権使用料です。

著作権使用料を支払えば、誰でも演奏や録音販売できます

金額は客席数や製造数に応じて算出されますので、チケットやCDが予定どうり販売できれば絶対に赤字になることのない金額です。
会計上は一般的には仕入れ原価になります。
他人の曲を仕入れて、形を変えて販売するというビジネスモデルになります。

映像をともなう場合はシンクロ権が発生する

音だけであれば、著作権使用料だけで問題ないですが、映像利用の場合は、シンクロ権などといってまた別の権利が発生します。

JASRACは音楽の映像利用に優しい

これを説明すると「JASRACは悪どい」と感じる人がいます。
むしろ、それは逆です。
JASRACは動画利用をしやすくするために、ほとんどの曲を映像で利用できるようにしています

一般の人が曲を利用しやすいように、著作権者との契約がそうなっています。

著作権者である作曲家や音楽出版社と著作権管理管理を信託契約する際に「映像利用も自動で許諾する」旨の内容が盛り込まれています。
僕はこれについてはJASRACを評価しています。

海外は音楽の映像利用にめっちゃ厳しい

映像での利用に厳しいのは海外です。
特に北米欧州です。

レコードやラジオの時代から音楽産業、著作権ビジネスが盛んでした。
そのため著作権者の作品に対する意図を無視して映像と勝手に使われるときには、歯止めをかける必要がありました。

映像に合わせて音楽を利用するときは映像に音楽を同期させる必要があるということからシンクロ権と言われるようになりました。

海外曲の場合は基本的に、申請をして映像作品として公表してよいかの許諾を取る必要があります。

JASRACは国外の著作権者と契約をしているのではないので、シンクロ権に関しては管轄外です。

海外曲の映像化をあきらめた実例

数年前、とあるジャズCDのレコーディング。
映像収録をメインに考えたレコーディングをしたい」との事でした。

僕はレコーディングの依頼だけでした。
映像は大手映像屋さんで、すごい良いカメラを持ち込んでいたのでレコーディングよりもお金をかかっていたのでは?とも。

10曲ほどレコーディングしましたが、、許諾料が膨らむので公開は1曲のみ
残りの映像は全てお蔵入りとなってしまったようです。

レコーディング中の3日間、全て撮影していましたが、最初に費用が分かっていれば撮影は1日だけにして、予算を無駄にしなくてよかったのではと想像します。

どうやって許諾を取る? その方法

国外曲の演奏動画をアップしたい場合、どうのようにして許諾を取ればよいのでしょうか?

JASRACは関係ない

北米の場合、シンクロ権音楽出版社が各自で管理しています。
そのためJASRACは関係がありません

許諾を得るためには海外の著作権者に連絡をとります。
が、ほとんどの国外曲は日本の音楽出版社に日本国内での著作権管理が委託されています。
ですので、実質的には日本の音楽出版社に問い合わせることになります。

JASRACに問い合わせあれば、動画にしたい曲がどの音楽出版社で管理されているかを教えてくれます

日本の音楽出版社の対応と許諾料

音楽出版社に問い合わせれば、必要な事項を教えてくれます。
可否許諾料に関しては、楽曲使用目的にもよりますので、一概には言えません。

僕の過去の経験から言うと、平均的にはPCが1台買えるくらいの許諾料が多かったです。
有名曲のビジネス用途になると、マンション買えますね…、みたいなのもありました。

音楽出版社に「まず無理です。許諾おりないと思います」と言われた案件でも、許諾を得られたことがいくつもあります。

実際には例外や細かい条件があるので、全て確認を

今回のブログは、超絶分かりやすく理解してもらうために細かい例外は全て省いて解説してます。

日本の曲ならYouTubeで何やってもOK」と言うのも違っていて

  • 企業などではなく、音楽家が個人的にアップする動画か?
  • 広告かどうか?非商用配信かどうか?
  • 国内の全ての曲がJSARACで管理されている訳ではない
  • JASRACが包括契約しているプラットフォームか?

など、色々な要素や条件をみる必要があります。

今回のブログは、ミュージシャンが「自分が演奏している曲を動画にしたい」という事に対する注意喚起ですので、個別具体的には各自で正しく調査してください。

動画利用のために今後は変わる?

シンクロ権自体は、現在のような動画配信サービスでミュージシャンが自ら簡単にアップできるという環境がなかった頃の概念です。
そのため国を跨ぐと管理方法が違いますので、確認と許諾が必要になります。
が、10年単位でみれば音楽家個人が利用しやすいようにシステムが整備されていくと僕は考えています。

僕の会社、フルハウスではアドヴァイスなどお手伝いもしていますので、レコーディングや撮影を考えているけど面倒だなという場合は相談いただいても大丈夫です。

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