岩崎将史です。
マイクには色々な方式があるみたいですけど、
どのタイプがオススメですか?
という質問がありました。
マイクにはいくつかの種類があります。
音楽家やクリエイターは3つの種類を知っておくと様々なシチュエーションで役に立ちます。
難しい機械的な話は無しで、分かりやすく簡単に解説します。
この記事の難易度
基本は3種類
音楽家やクリエイターが知っておくべきマイクの種類は次の3つです。
- ダイナミック・マイク
- コンデンサー・マイク
- リボン・マイク
この3つの特徴や違いを理解していきましょう。
実はそれ以外にもエレクトレットコンデンサーマイクやショットガンマイクなどありますが、特殊なマイクとして音楽家やクリエイター、特に初心者は外しておいて大丈夫です。
まずは簡単な3種類のマイクの違いを簡単に説明します。
まずはダイナミックマイクを基本で理解しよう
初心者の人は3種類を一度に理解するのではなく、ダイナミックマイクというのがあると覚えてください。
ダイナミックマイクの特徴は、
- 安価
- 頑丈
- 取り扱いが楽
ということで、
他のマイクは高価だし、私にはまだ早いですね
そういうわけでもないですが、まずは簡単なダイナミックマイクだけを理解しましょう。
頑丈と言われてても粗末に扱ってはだめだモ〜。
他のマイクと比べてだモ〜。
ダイナミックマイクはライブハウスやリハーサルスタジオなどであれば、どこにでもあります。
- ボーカル用にはSHUREのSM58
- 楽器用にはSHUREのSM57
この2つのないスタジオやライブハウスはまずありません。
他のマイクも揃っていますが、この2つのマイクがないという事はほぼないです。
リハーサルスタジオなどでSHURE以外のマイクが常設している場合はあります。
その場合「こだわり」があってそのマイクにしているのではなく「予算」の問題で安物にしている、という場合がほとんどです。
それくらいに定番です。
数字の後にSが付いてるのはスイッチ付き。
”–”の後の英字は最初は気にしないでOKモ〜。
コンデンサーマイクの特徴
ダイナミックマイクを基本と考えて、次にコンデンサーマイクについて少し理解してみましょう。
コンデンサーマイクは高い
コンデンサーマイクはダイナミックマイクに対して比較的に高価です。
前述のSHUREの定番ダイナミックマイクが1万円から2万円程度なのに対して、定番コンデンサーマイクは10万円〜20万円代です。
高価なマイクは良い?
値段が高いということはコンデンサーマイクの方が良いの?
基本的にはそうだモ〜
ざっくりとですが「コンデンサーマイク」の方が「ダイナミックマイク」より「音が良い」と捉えてください。
ただし、この「音が良い」という基準は特性的な話です。
つまり集音性能の話で音楽的に作品にマッチするかとは別の話です。
また集音性能が低い方がよいシチュエーションもあります。
ここで言う特性、性能というのはこんな感じです。
- 「より低い音」「より高い音」を集音できる。
- 「より微弱な音」を集音できる。
- 「より遠くの音」を集音できる。
上記の3つを総合的に表現するならば、
「コンデンサーマイクの方がよりリアルに多くの音情報を得られる」
というイメージです。
コンデンサーマイクの使い所
では予算があるなら全てコンデンサーマイクを使うのが良いの?
というわけでもないんだモ〜
コンデンサーマイクが好んで使われるのは、このような楽器です。
- ボーカル
- ナレーション
- アコースティック楽器
アコースティック楽器というのは、ピアノやヴァイオリン、サックスなどの生楽器だと考えてください。
Eギターなんかは電気を使うのでエレクトリック楽器という区分です。
そしてコンデンサーマイクが使われたり使われなかったりするのが、
- ドラム
- パーカッション
- ベースアンプ
- ギターアンプ
他にもありますが、よくあるのはこんな感じです。
ドラムやパーカッションはアコースティック楽器ではないの?
アコースティック楽器だモ〜。
ただマイク的にはちょっと特殊と考えてモ〜
ダイナミックマイクの良いところ
コンデンサーの特徴や魅力が理解できたところで、再びダイナミック・マイクを振り返ってみます。
特に次の楽器はダイナミックマイクをあえて選ぶ場合もあります。
- ドラム
- パーカッション
- ベースアンプ
- ギターアンプ
なぜ全てをコンデンサーマイクにしないの?
その理由がダイナミックマイクの特徴になります。
理由その1|太さや迫力が欲しい
コンデンサーマイクは高域も繊細に集音しますのでサウンドがクリアーになります。
ボーカルやピアノ、ヴァイオリンなどはそれが良い事の方が多いです。
ただしドラム、ベースなどのリズムセクションなどになるとその限りではありません。
繊細なニュアンスよりも音の塊感や、中域の存在感が欲しい時があります。
そのような場合にダイナミックマイクを選択することがあります。
理由その2|音の粒を揃えたい
ダイナミクスマイクはコンデンサーマイクに比べて
- 弱い音を集音しにくい
- 突発的な音量変化に対しての反応が鈍い
といった特徴があり、平たくいうと
コンデンサーマイクよりも音粒が揃って聴こえるモ〜
という傾向があります。
ドラムやベースなどのリズムセクションに使うと、コンデンサーマイクで集音するよりも、演奏のまとまり感を感じさせることができます。
また「突発的な音量変化に対しての反応が鈍い」ということはアタック感の激しいパーカッションやドラムなどを整えて、ボーカルなど主に聴かせたいパートの邪魔をせずに収録音の存在感を出せたりします。
悪い特性を逆手にとって、作品的な意味で良い音を聴かせることができるモ〜
そのため、例えばヒップホップなどの場合、ボーカルにもわざとダイナミックマイクを使ったりすることもあります。
ダイナミックマイクの特徴を生かしたボイス・パーカッション
こうした特徴を最大限に利用した楽器はヴォイス・パーカッション、通称ボイパーです。
ボイパーにコンデンサーマイクを使うと、繊細に拾いすぎて音が綺麗すぎたり「声」感を感じすぎてしまったりします。
ダイナミックマイクの荒々しい感じが、声を程よくドラムやパーカッションぽく効かせてくれます。
理由その3|周りの音を拾いたくない
ダイナミックマイクはコンデンサーマイクに比べて
- 遠い音を集音しにくい
という特性の悪さを利用して、周りの音をできるだけ集音したくないシチュエーションで使ったりします。
その典型的な例が、
- ライブ演奏の時のボーカル
- ドラムの近接マイク
です。
ボーカルマイクには色々な楽器の音が入ってくる
特にロックバンドなどステージ上の楽器の音量が大きいステージでは、
- ギターアンプ
- ベースアンプ
- ドラム
などの音が飛び交っています。
集音力の高いコンデンサーマイクはダイナミックマイクに比べて、これらの周りの楽器の音を拾う傾向があります。
最大の敵はモニター用スピーカーの音
楽器の音だけでなく他にも強敵います。
最大の敵と呼んでいいかもしれないのは、
- フットモニター / フロアモニター
- サイドフィル
などと呼ばれるスピーカーたちです。
これらのスピーカーは主にボーカリストが自分の歌を聴くために使います。
- 自分の声を大音量で聴きたい
- バックの演奏を大音量で聴きたい
というような歌手の場合に「ハウリング」が発生しやすくなります。
ハウリングとはスピーカーとマイクの音がループして「き〜〜〜ん!」とか「ぶぉ〜〜〜ん」とか鳴るやつです。
コンデンサーマイクだとダイナミックマイクよりも集音能力が高いため、モニターから出る自分の声を拾いやすく、ハウリングが比較的起こりやすい場合があります。
そうした状況ではダイナミックマイクが扱いやすく、結果心地よい音で聴かせることができる場合もあります。
ドラムのマイク
ドラムには多くのダイナミックマイクを使います。
可能な限り音の被りを抑える
ドラムセットには多くの太鼓が連なっていて、ひとつひとつにマイクを用意することが多いです。
それぞれの太鼓の距離も近く演奏音も大きいです。
そのため他の指向性を確保し他の太鼓の集音をできるだけ抑えるためにダイナミックマイクを使う傾向があります。
大音量に耐えられるマイクを使う
ドラムセットの太鼓は近くでずっと聴いていると、確実に難聴になると言える音量でなっています。
コンデンサーマイクの場合、そのような大音量に耐えられない場合があります。
安全性からダイナミックマイクを使う傾向もあります。
他にもいくつかの理由が
ドラムにダイナミックマイクを使う傾向が多い理由は他にもあります。
長くなり初心者には不明瞭になってしまうので、ここでは割愛します。
第3のマイクリボンマイク
最後に理解すると良いのがリボンマイクです。
ただし、リボンマイクについては音楽家は知らなくて良いと思います。
ダイナミックマイクとコンデンサーマイクだけ知っておけば困らないです。
サウンド関連を取り扱うクリエイターであればリボンマイクについて知っておくと良いと思います。
音は良いが壊れやすく高価
リボンマイクは古くからある方式のマイクで、繊細かつ自然な音が集音できるとあってボーカルやナレーションなどで使われてきました。
ただし巷のスタジオやライブハウスでは使われる機会がほとんどありませんでした。
リボンマイクは、
- 高価
- 壊れやすい
という理由があったからです。
繊細な音も自然に拾うリボンマイク
繊細な集音を実現するために、音を受ける金属の膜を極限まで薄くしてリボン状にしてあります。
そのため、
- 振動や吹かれ
- 大音量
などを受けるとリボンが破れてしまうという減少があったようです。
僕もビンテージのリボンマイクを持っていたけど、
壊したことは一度もないけどモ〜
僕自身はそのような目にあったことはありませんが、扱いを慎重にしなければならないと言われており、使っていたのは一部のレコーディングスタジオなどにとどまっていました。
頑丈なリボンマイクの登場
リボンマイクが広く様々な現場で使われるようになったのは、2000年以降です。
Royerさんが頑丈なリボンマイクを開発したからです。
大流行してリボンマイクといえばRoyerという時代がしばらく続きました。
その後に各社がリボンマイク市場に参入してきましたが、今でもリボンマイクといえばRoyerと言ってよいと思います。
リボンマイクのサウンドの特徴
サウンドの特徴は、
- 高域が綺麗
- 音の存在感がある
などです。
高域が綺麗
高域が綺麗というのは、高域が目立つという意味ではありません。
むしろ収録音そのままだと高域成分はコンデンサーマイクに比べて足りなく感じます。
ただし質が綺麗なのです。
コンデンサーマイクは高域がカチっと目立ちますが、楽器とマイクの相性によっては少し音が硬く感じるときもあります。
リボンマイクはそういった硬さはなくスムーズに聴こえます。
そしてEQで高域を持ち上げた時がとても自然です。
音の存在感がある
独特の空気感や太さがあるので、コンデンサーやダイナミックマイクにで録音された他のトラックとのミックスに収まりやすいです。
こればっかりは言葉で伝えるのは難しいのですが…。
Figure 8 がもたらす自然なサウンド
リボンマイクが自然なサウンドをもたらす要因のひとつに「指向性がFigure 8」だというのがあります。
音を集音する部分のリボン折り目が付いていて、前後には揺れますが左右には揺れません。
指向性を機械で制御していない分、そのままの音を拾ってくれるという感じです。
リボンマイクには欠点もある
リボンマイクには欠点もあります。
- 出力ゲインが小さい
- 環境音を拾いやすい
出力ゲインが小さい
リボンマイクは構造上、微弱な電気信号しか発信できません。
そのためマイクケーブルで長距離を引き回す場合や、演奏音が小さい楽器の場合には向きません。
S/N的には特にコンデンサーマイクと比べて不利です。
環境音を拾いやすい
リボンマイクは双指向性になりますので、部屋の全体的な音を拾います。
正確にいうと背面の音もガッツリ拾いますので、部屋全体の音を拾うかのように聴こやすいです。
とても魅力的なマイクですが、
購入するのは音のプロだけで良いと思うモ〜
まとめ:用途に合わせて適切なマイクを使おう
3つの種類のマイクの違いや特徴について解説してきましたが、ご理解いただけたでしょうか?
今回は敢えて機械的、機構的な話はカットしています。
「マイクを使う人」の視点のみで書いてみました。
それぞれの目的用途に合わせてピッタリの物を見つけてみてください。
それでは、また。