岩崎将史です。
日々、多くの演奏家から質問を頂いてます。
今回はこのような質問を頂きました。
ピアニスト
ピアノにオススメのマイクを教えてください
オススメのマイクは色々あるのですが、ジャンルや用途によって変わってきます。
こういった記事でやたら多くの種類のマイクが紹介されていたりしますが、逆に困ってしまいますよね。
僕自身は毎回用途ごとに代替決まっているので、僕がベストと考えるマイクのみを紹介していきます。
ジャズやポピュラー音楽のライブや録音で使いたい
質問頂いた方はジャズ・ボーカルで弾き語りをされている方ですので、まずはそれに合うマイクを紹介します。
今ならDPA 4099-P の1択
ジャズだけでなくクラシックではないという意味でポピュラー系の音楽全般に向けで、録音だけでなくライブでも使いたい、そんな人には「DAP 4099-P」の一択です。
オススメの理由は次の3つ。
- 音がすこぶる良い
- 小さくて軽い
- ピアノ用に2本のマイクが揃っている
- ピアノの響板にマグネットで設置できる
- 性能・機能の割に安い
兎に角良いこと尽くめです。
音がすこぶる良い
音がすごく良いです。
高級録音マイクとして定番のNEUMAN U-87Aiと並べて録り比べた際に、差はある程度はでますが、
どちらでも良いと思うモ〜
という程度の差しかありません。
これは僕自身、スタジオで比較を試してみて驚きました。
近日中に動画にもしてみようと考えています。
小さくて軽い
音が良いのに小さくて軽い。
ライブなどに持っていくのもとても容易です。
専用のケースも付属しているのでカバンに入れて徒歩移動も楽です。
ピアノ用に2本のマイクが揃っている
ピアノは特別な理由がないかぎりは2本のマイクでステレオ集音するのが一般的です。
もしモノラルとステレオの違いが分からない場合は、こちらの記事を呼んでください。
マイクを2つ購入すると実は微妙に製造時期が違い内部パーツの差で左右の音が揃わないなどという場合があります。
最初からピアノ用としてステレオセットで販売されていますので、そうした問題が起きないのも安心です。
ピアノの響板にマグネットで設置できる
ピアノの響板に乗せる専用のマイクホルダーとアタッチメントがついています。
これが最高で磁石になっていて、乗せるだけでピッタリとくっつきます。
ピアノの集音にはマイクスタンドを用意するのが通常ですが、スタンドなしでマイクをセットできるので作業効率がグンとあがります。
さらに、ライブなどの際には見た目も良くステージ全体がスッキリと広く使えます。
性能・機能の割に安い
値段が安いです。
ピアニスト
安いと言っても10万円超えてるじゃないですか…
10万円ちょっとでこんなに音の良いマイクがステレオで手に入るなんて凄いです。
10年前なら考えられませんでした。
僕がメインで使っているのはDPA 4021
僕が愛用しているピアノ用マイクはDPA4021というマイクで、今回ご紹介しているDPA4099の前進のモデルです。
凄く良いマイクですが、お値段はなんと50万円オーバー!
既にディスコンになっていて当時の値段です。
後継機的なポジションで登場したDPA 4099-P
凄く良いマイクですがあまりにも高価過ぎて販売ロットが少なかったため、安価な4099シリーズを出してきたという経緯があります。
その代わりとても良いマイクで、DPA4099に比べると良いです。
ただし金額を考えたら、今なら僕も4099をチョイスします。
値段が5倍違いますからね…。
ということで、
- ジャズやポピュラー・ミュージックなどで使いたい
- 録音だけでなくライブでも使いたい
こういった人には間違いなく今一番ベストなピアノ用のマイクです。
Audix SCX25 も購入したが
僕は予備としてAudix「SCX25」のピアノ用ステレオペアのモデルを購入しました。
結論からいうとDPAの方が音は圧倒的に優秀でした。
音だけでなくピアノ用にアタッチメントもAudixは響板の支柱にかみ合わせるマイクホルダー。
セッティングもDPA 4099-Pの方が遥かに楽で、現在はまったく使わなくなってしまいました。
クラシック音楽の録音の場合
クラシックのピアノの場合は、また少し違ったマイクをお勧めします。
前述のDPA4099でも良いのですが、マグネットでピアノ響板に付けることを前提に特性が調整されています。
クラシックの場合はポピュラー系の音楽とは違い、ピアノボディと天板の間ではなく、少し外側から録音した方が良いです。
理由は離れた位置、オーディエンスが聴く位置で最適な音色やダイナミクスになるからです。
ピアノのボディーの中にマイクを突っ込むとフォルテシモが強すぎるなど、表現の意図が変わってきてしまいます。
ただし安価なマイクでは楽器とマイクの距離をある程度離すと音がぼやけて芯がなくなってしまいがちです。
そうならないマイクを選ぶ必要があります。
ただし、オーケストラやアンサンブルの中での補強として使いたい場合には、できるだけピアノの近くで録音したほうが良いので、前述のDPA4099でバッチリです。
クラシック音楽のピアノ集音にオススメのマイク
離れても音がボケないクラシック音楽の定番マイクは2つです。
DPA 4011A
他の記事でも何度も取り上げているDPA 4011Aです。
楽器用の集音マイクとしては秀逸で、ピアノ以外でもなんでも録れます。
少しお値段は貼りますが、一生使えるマイクの1つです。
もし購入して必要なくなったら僕に教えて下さい。
なんぼ合っても良いマイクなので、コンディションが良くお買い得なら引き取ります (笑)
SHOPES
もう一つがクラシック音楽の録音に定番のマイク、SHOPESです。
オーケストラ録音などでは世界的に大定番のマイクです。
ただし、値段が1本25万円ほどと高いです…。
しかもピアノの場合は必ず2本を購入してください。
もっとの安価に済ませたいなら
ピアニスト
流石にマイクに数十万円は…。
ですよね、分かります。
その場合は、最初に紹介したDPAの4099のピアノ用セットがオススメです。
そして下手に廉価マイクを購入するよりかは良いと思います。
もし「それでも高価」と感じる人は、以前に書いたコチラの記事を参考にしてみてください。
ボーカル用として書いていますが、ピアノにも使えるマイクばかりを取り上げています。
ダイナミクスと距離感を適切に集音できるマイクを
楽器の録音、特にクラシックの場合は演奏時の強弱やダイナミクスの違いによる音色のと音量の変化が自然かどうかが重要です。
安価過ぎるマイクはフォルテで必要以上の音が固く大きくなったり、少し楽器から距離を離すだけで音の芯がなくなったりします。
ということで、短い記事ですが、端的にオススメのマイクを紹介してみました。
ではまた。
少し余談ですが、僕らプロの録音家は録音を依頼されると数十万円のマイクを何本も持っていきます。
クラシックの録音であれば、いつも300万円程度。
チャンネル数が多い仕事では1,000万円近い機器をホールや音楽室まで運んで録音することも珍しくはありません。
それらの機材は定期的に入れ替えやメインテナンスも必須です。
それを1日僅か数万円から10万円代で利用できるなんて安いと思うんですけどね (笑)