岩崎将史です。
僕はクライアント対して著作権使用料について説明をしなければならない機会が多いです。
そこで、一度ブログに簡単にまとめてみます。
- 音楽を作る人
- 音楽作りを依頼する人
- CDやレコードを作る人
それぞれに参考になると思います。
JASRACの場合を基本に解説
JASRACの場合を基本に解説します。
日本の多くの曲や、有名外国曲を国内で利用する場合、著作権管理はJASRACに信託といって著作権者から管理を託されています。
そのためJASRACの場合で解説します。
販売価格の6%が基準
音楽CDの場合、著作権使用料は販売価格(定価)の6%と定められています。
次の式で求められます。
【CD販売価格 (定価)】 x 0.06
参考の具体例としては、
- 1枚3,000円のCDアルバムの場合 → 1枚ごとに¥180
- 1枚2,000円のCDアルバムの場合 → 1枚ごとに¥120
の使用料をCD製作者はJASRACへ支払うことになります。
最低価格が決められている
CDが無料の場合は支払わなくてよいの?
CDが無料の場合でも著作権使用料は必要です。
最低価格というのが決められていて商品1個につき1曲あたりが6.1円を下回る場合は、6.1円と定められます。
最低価格を下回るかの判断の仕方
1曲6.1円以下になるかどうかを見極めるためには、1曲あたりの著作権使用料が分かる必要があります。
求め方は簡単です。
【著作権使用料】÷ 収録曲数
分かりやすく金額感を掴むために、
- ¥3,000のアルバム
- ¥2,000のアルバム
- ¥1,200のシングル
の3パターンにて早見表にしてみます。
収録曲数 | ¥3,000 | ¥2,000 | ¥1,000 |
---|---|---|---|
10 | ¥18 | ¥12 | ¥6 |
9 | ¥20 | ¥13 | ¥7 |
8 | ¥23 | ¥15 | ¥8 |
7 | ¥26 | ¥17 | ¥9 |
6 | ¥30 | ¥20 | ¥10 |
5 | ¥36 | ¥24 | ¥12 |
4 | ¥45 | ¥30 | ¥15 |
3 | ¥60 | ¥40 | ¥20 |
2 | ¥90 | ¥60 | ¥30 |
1 | ¥180 | ¥120 | ¥60 |
こうしてみると、1,000円で10曲収録する商品の場合は6円となりますので、6円ではなく6.1円となります。
製造時に支払う
これらの著作権使用料は、販売後ではなく製造時に支払います。
プレス会社への発注前に、JASRACへの申請を済ませて置く必要があります。
申請をすると「著作権の手続きを正しく行っているCDです」ということを証明するJASRAC管理番号が支給されます。
それをCD盤面やジャケットなどに記載します。
申請しないとどうなる?
もし申請をしなかった場合はどうなるのでしょうか?
プレス会社はJASRACと提携し音楽CD工場として稼働しています。
作成した情報はJASRACと共有されますので、どこかのタイミングで著作権使用料を支払うように連絡がきます。
JASRACの管理手数料は6%
こうして支払った著作権料は、その後どのように扱われているのでしょうか?
扱いは明確です。
- JASRAC運営費や振り込み手数料用に管理手数料6%が引かれる。
- 残りの94%が著作権者へ支払われる
JASRAC公式HPにも分かりやすく解説があります。
上記の図のように円グラフにすると、ほぼ見えません(笑)。
JASRACの管理手数料は昔は10%の時代もありましたが、
JASRACの管理費は高すぎる
という世論も後押しして6%へ縮小されたと聞いています。
94%が著作権者に振り込まれる
残りの94%が著作権者に振り込まれますし、ここは確実に明瞭ですので僕個人の意見としては実に適正だと考えています。
ただし多くの作曲家、作詞家は、
94%ももらってないぞ〜!
という声があります。
中でもSNSやブログなどでは、
JASRACは半分も著作権使用料を取っている
などと堂々と解説している投稿や記事などを見たこともあります。
そんなことはなく、JASRACは正しく94%全額を著作権者に支払っているといえるのですが、そうでない声が上がってくる理由は「著作権譲渡契約」にあります。
著作権者とは?
JASRACが著作権使用料を支払う著作権者には大きく分けて次の2つに分類されます。
- JASRACの信託契約を結び会員となっている作詞家、作曲家。
- JASRACと信託契約を結んでいる音楽出版社。
上記1番の場合は、94%の全額が作詞家、作曲家に支払われます。
著作権譲渡契約があると
2番の場合は音楽出版社が著作権者ですので、音楽出版社に94%の全額が支払われ、作詞家、作曲家への支払いは音楽出版社と作詞家、作曲家との契約内容に基づきます。
多くの作曲家、作詞家は音楽出版社と著作権譲渡契約というのを結んでいて著作権を譲渡しています。
ですので、著作者ではあるが著作権者ではないという状態なのが一般的です。
著作権者と著作者の配分は1/2
著作者が著作権者に著作権を譲渡すると、一切著作権使用料が入ってこないのか?となると、そうではありません。
著作者人格権などあり、一般的には著作者には最低でも半分である1/2が支払われます。
JASRACから支払われた著作権使用料の94%を半分に分けますので、CD製作者が支払った著作権使用料からみると音楽出版社と著作者で47%づつということになります。
著作権料の分配方法まとめ
最後にCD製作者が支払った著作権使用料が、どの様に著作者に支払われるのかのまとめてです。
- CD製作者は定価の6%の使用料をJASRACへ製造時に支払う。
- ただし1商品1曲あたり6.1円を下回る場合は6%ではなく【6.1円×曲数】。
- JASRACは6%の管理手数料を引き、残りの94%全額を著作権者へ支払う。
- 著作権者が著作者ではなく音楽出版社の場合は、音楽出版社が1/2を著作者へ支払う。
う〜ん、文章で書くとシンプルにまとめても黒くなってしまって難解そうにみえてしまいます…。
分かりやすくなるように最後に図にしてみます。
それでは、また。