岩崎将史です。
作編曲、サウンドプロデュース業を、株式会社フルハウスという会社でやってます。
音大で教えたりもしています。
先日、DENONのオーディオ・デジタル・アンプをアンプ兼オーディオインターフェースとして購入したので、その使用感をレビューしてみようと思います。
購入動機
先日、記事を書いたWIlson Audioのスピーカーを鳴らすのに、
流石に¥5,000の中華アンプでは申し訳ないモ〜
と思い、何か良さげなアンプがないかググっていました。
そんな中、目に止まったデジタルアンプが、DENONのPMA-60です。
目に止まった理由は、Wilson Audio用のアンプとしてではなく、
- ASIOドライバー対応
- 入力が豊富
- 安い
の順番です。
そこそこ安い
希望小売価格は¥70,000(税抜)ですが、アマゾンで検索すると¥40,000代でした。
そこそこ安いアンプですが、なんか色々と機能が豊富そう。
入力が豊富
アナログ入力はもちろん、デジタル入力は同軸とオプティカルと付いています。
Bluetoothにも対応なので、スマホを繋がなくても再生できます。
そして僕が購入する理由にしたのは、USB入力&ASIOドライバー対応です。
もしかして、MacBookProのオーディオインターフェース代わりになるんじゃない?
ASIOドライバー対応でオーディオインターフェースの代わりになるのか?
僕のDTMマシンであるMacBookProは、なんとオーディオインターフェースはここ何年か使っていなかったのです。
以前は、AvidのM-Boxを使っていましたが、ディスコンで最新OSにアプデ対応しなくなってしまいました。
僕にとってM-Boxとしてはコレは2代目。
Avidに買収される前のDesidesign時代のM-Box 2も使っていました。
いずれも新しいモデルがでるとドライバーのアップデートが終了し、最新OSでは使えなくなり、今も倉庫で眠っています。
(万が一、欲しい人いたら連絡ください)
そんな事をずっと繰り返していたので、Avid M-Boxが使えなくなってからは、
ヘッドフォンとMacBookProのスピーカーだけで良いや
と、オーディオインターフェースは無しで、ここ数年は作編曲仕事を進めてきました。
最終的な録音とミックスはスタジオのProToolsで行うので、MacBookProはMIDIデータを仕込む所までしかた使いません。
特に困らないなと。
オーディオインターフェースのないMacBookProのみで、会社の売上の半分以上を叩き出すという、驚くべきコストパフォーマンスの高いシステムです。
制作会社としてはスタジオ持ってるべきなのか? 難しい昨今です (苦笑)
そんなオーディオIFのない環境で仕事してますので、
スピーカーも繋げるし、ヘッドフォンアンプもPC内臓より良いだろうし、PCM 192Khまで対応しているし、DSD 11.2Mhzにも対応しているなんて!!
仮に仕事で使わなくなっても、ホームオーディオアンプにして、これでNetflixをみたり、ゲームしたら楽しいじゃん、と思ったわけです。
録音入力がないだけ
オーディオIFとして再生機能には何の問題もないと思いましたが、PCへ音声を送る入力部は当たり前ですが何もありません。
僕の使い方としては、DTM編集室では再生環境だけあれば十分なので、RMEのMADIfaceや、
Babyface Pro などをそのうちと思っていました。
しかし、DENONのPMA-60なら用途としては同じことができるな、と思ったわけです。
心配なのはレイテンシー
オーディオIFとして使用した時に、一番気になるのはレイテンシーです。
高価なオーディオリスニング用のDAコンバーターや、デジタルアンプの場合、音質を良くするためおオーバーサンプリング処理などを、複雑に行うことによりレイテンシーが多い場合があります。
スタジオでマスタリング使っているLavry EngineeringのADコンバーター「AD122-96 MX」は音質は最高ですが、レイテンシーが多くモニターの音がコンマ数秒ほど遅れるためレコーディングでは使えません。
ADコンバーターより論理的には遅れにくいはずですが、あくまでもオーディオリスニング用ですので、リアルタイムな作業現場での使用に耐えうるのか?
気になる所です。
さらにDSD再生に対応
現時点でDSDの音声を普段から楽しむということは僕はないですが、「これ以上の音質を録音物に求める必要はない」と自信を持って言える最高のフォーマットなので、コンテンツさえあれば聴くことができる環境が身近にある、というのは気分の良いものです。
セットアップ
ということでアマゾンで早々にポチりまして、到着しました。
開封してMacBook Proで使ってみたいと思います。
USBを繋ぐだけ
接続は電源ケーブルを繋いで、USBケーブルをMacBookProに繋ぐだけ。
USBケーブルは中に入ってました。
作業デスクの上に設置。
ボディは小ぶりですが、ボリュームノブが大きいのが嬉しいです。
ASIOドライバーのインストール
ASIOドライバーをインストールしてみます。
と思ったら、見当たらない。
DENONのWEBサイトからドライバーがダウンロードできるのですが、Windows用しかないぞ…。
WEBサイトにはMAC対応と書いてる。
むむむむ、、、
良くみたら、
Windowsの人は、ASIOドライバーをダウンロードして入れてね
という意味のようです。
そのままMACに繋いでみたら、何の問題もなく認識してくれました。
LOGIC pro X を起動してみると、こちらも問題なく認識しました。
ヘッドオンを聴いてみる
早速、ソフトシンセを立ち上げて、ヘッドフォンで演奏してみると。
お〜良いじゃない。今までのMacBookPro内臓のヘッドフォンより解像度高い
という、まあ当たり前のですが、すごく良いです。
で、スタジオのヘッドフォンCUEシステムとも聴き比べて見ましたが、PMA-60の方が圧倒的に良いです。
USB接続で直接コンバーターがアンプになっているのも大きいでしょう。
ものすごくクリーンで解像度が高い。
さらに、左右の定位感がすごく広く聴こえます。
ヘッドフォンなのに。
マスタリング素材のチェックなどもしてみましたが、細かいつなぎのノイズなども凄くわかりやすい。
でも音は柔らかいので耳が疲れにくいです。
これは間違いなく買ったよかった。
レイテンシーも問題なし
心配していたレイテンシーも全く問題なかったです。
Back Trackを聴きながらリズムをリアルタイムで入力しても、まったく違和感はありませんでした。
YoutubeやNetflixも問題なく良い音で視聴。
そしてYouTubeを聴いたり、色々なアプリやソースを試してみましたが、試した限りは何の問題も無し。
良いですわ。
凄く分かりやすい。
スピーカーを鳴らして、アンプ自体の実力をチェック
ということで、次にヘッドフォンではなく、スピーカーを繋いでみます。
実売価格が4万円代で、これだけ盛りだくさんなアンプであればアンプ事態の性能はどうなのでしょうか?と言うのが気になる所です。
Wilson Audio を鳴らしてみる
早速、Wilson Audio を鳴らしてみようとしたところ、問題発生。
プラグを繋げられません。
下の写真で伝わりますかね。
工場場やYプラグを挟み込めるコネクターなのですが、余分ん黒いガードのようなカヴァーが付いていて、プラグが刺せないのです。
ちなみに一般的なYプラグはこちら。
銅線用 裸圧着端子 先開型(Y型) と言うらしいです。
このカバーは一応切り込みの溝が入っていて、芯線むき出しの人はここを通して圧着させてね、という構造にはなっています。
つまり、PMA-60のコンクタは、細めの芯線もしくはバナナプラグにしか対応していない構造でした。
グレードの高いオーディオアンプほど、Yプラグを使っている事が多いと思います。
購入を考えている人には重要な情報だと思います。
Wilson Audio のスピーカーケーブルはご覧のような、極太&超デカイYパラコネクタです。
写真では伝わりにくいかもですが、通常のYプラグの倍くらいの大きさ、というか長さがあります。
どうやって繋ぎましょうか…。
手としては以下の選択肢があると考えました。
- 別のスピーカーケーブルで繋ぐ
- 現状のスピーカーケーブルを切断して芯線をむき出しにする
- PMA-60のコネクタを変更する。
順番に検討と施策を進めます。
別のスピーカーケーブルで繋ぐ
手もちであったスピーカーケーブルを繋いでみます。
ホームセンターで20年ほどの前に購入した、ごくごく普通の安いものです。
今は使っていないYAMAHAのNS-10Mと共に倉庫で眠っています。
さっそくコレを繋いでWilson Audioで聴いてみます。
すごく綺麗になります。
実用上は何も問題ないです。
ただ、160~300Hzくらいの中低域の量感が足りない気がします。
PMA-60の電源をスタジオの別系統に変えてみました。
少し中低域が出てきましたが、もう一歩。
さらにボードの上に置いて、インシュレーターを上下で挟み込んでと、定番の処置をするとさらにグッと出てきました。
高級アンプには負けるだろうけど、ここまで鳴れば十分かな
けど、、、けどね。
この状態だとスピーカーの出音は、先日試した激安中華アンプに負けてるんですよ…。
上のこいつに。
それは流石にどうなの、と言うことで、ちょっとでも良くなるならと、もう一つの余っているスピーカーケーブルを試します。
これも20年くらい前にかったちょっとお値段高めのケーブルです。
が、全然ダメでした。
高域、8K付近にピークがあり、ハイハットなどの金物が出過ぎです。
確実バランスとEQを間違えます。
現状のスピーカーケーブルを切断して芯線をむき出しにする
なんとか、元々使っていたこのスピーカーケーブルを使えないか。
ケーブルを切断して芯線をむき出しにするという、方法もあります。
が、このケーブル高い。
しかも高級オーディオアンプは、基本全てYプラグ。
色々、過去に試した限りだとこのケーブルでの音が良かったので、もし向いちゃうと他のアンプでこのケーブルを使いたいときに困ります。
さらに、仮に向いたとしても線が太いのでPMA-60のコネクタ穴には通らない気が…。
先ほどのスピーカーケーブルでも大変でした。
と言うことで、この方法はパス。
PMA-60を改造する
Yプラグもさせるタイプのコネクタなのに刺せない。
味不明な無駄なガードが付いているから。
このガードさえなければ刺せそうなのに。
そこで、知り合いテックに見てもらいました。
Yプラグをさせるようにできないかな。この突起が邪魔なのよね。
この邪魔なカバーを割って壊しても良いのだけど…
う〜ん、壊すのは何だから、バナナプラグに刺してYパラを付けれるアタッチメントを作りましょうか?
それはナイスアイディアだけど、どれくらい日数が掛かるん?
う〜ん、今は忙しいから来月の〜〜〜。
壊しましょう!
スピーカーコネクタをぶっ壊す
と言うことで、ぶっ壊し決定。
ニッパーでブラグの外側を守っている樹脂カバーをぶっち切りのバッキバキにします。
背面パネルが凹んだデザインにしてあるから、ニッパーが入りにくくて難しかったですが、なんとか除去できました。
そして、スピーカーケーブルを繋いでみました。
音質、聴き比べ
早速、音を聴いてみます。
先日の格安中華アンプと聴き比べです。
DENON vs 中華アンプ
綺麗で丸いDENON。
太く立体感のある中華アンプ。
正直に書きます。
中華アンプの圧勝です。
作曲家仲間の江並氏にも聴き比べてもらいました。
中華アンプの方が圧倒的に音が前に来て奥行きもわかります。
低域のしっかり見えます
そうなんです。
もちろん悪いという訳ではなく、高域の伸びはPMA-60の方がありますが、少しづつ音が奥まっているのと、奥にある音が前に感じある。
奥行きが狭く感じんです。
デフォルトだとDSP処理が入っている
なぜだろう。
と思ったら、DSPが入っちゃってるみたいですね。
ダイレクトサウンドが通常だとOFFになっていて、これをONにするとソースがそのまま再生されるとマニュアルに書いてあります。
うちの山田が、
なんかEQというかマルチバンドコンプっぽいというか、そんな音してるからマニュアルみて発見しました〜
おい、まじか〜、と。
DSPなしだと中高域はよくなるが超低域が暴れる
ダイレクトサウンドをONにしてみました。
ややこしいですが、これでDSP処理が外れるので、ONでそのままの音ということになります。
音の粒立ちは前に来たけど、低域が暴れだしたぞ
というこで、なんとも微妙なサウンド。
デフォルトではダイレクトサウンドがOFFで、その場合「サウンドを適切に調節する」と書いてありますが、一体何をしているのでしょうか。
リスニングでは問題ありませんが、ミックス作業ではこれは危険かもしれない。
まあ、そもそもこのサイズでWilson Audioを鳴らそうと言うのがどうかとは思うのですが、中華アンプが良かっただけに、少し残念な気持ちです。
ニアフィールド向きのアンプ
ただし、値段を考えたら、一般的な他のオーディオアンプと比べても十分に上等だと思います。
出力からあしてWilson Audioのような3 Way フルレンジではなく、ニアフィールドなどの小型、中型のスピーカーを鳴らすように設計されているのだと思います。
リモコンに便利な機能が。ディマーとミュート
スピーカーの音に関してはそれくらいにして、リモコンが入っていましたのでチェックしてみます。
購入するときには知らなかった便利そうなのがあります。
Dimmer (ディマー) と Mute (ミュート) のボタンが見てます。
スタジオのモニターコントローラには必ず必要な物ですので、DTM作業などをする人には少し嬉しい機能だと思います。
まとめ
さて、良い面も悪い面も書きましたが、まとめです。
- ASIO対応でオーディオインターフェースとして問題なく使えます
- PCオーディオやDTMの再生環境を整えたい人には、とても良い製品
- オーディオアンプのクォリティとしては高くはないが値段を考えたら十分
- ニアフィールドスピーカー向き
- Bluetooth対応、DSD対応で、どんな音声ファイルも再生できる
と言う感じです。
今回は、この辺で。
ではまた。
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