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音楽サブスクリプションの実情【儲かるの?】

音楽の学び
この記事は約10分で読めます。

岩﨑将史まさふみです。

僕の会社「フルハウス」では、日々、クライアントからの依頼を請けて音楽サブスクリプションサービスへの入曲や管理なども行っています。

現在は多くの音楽サブスクリプション・サービスがあります。

  • Apple Music
  • Spotify
  • Amazon Music
  • YouTube Music
  • LINE Music

他にも多くありますが、僕の周りではこの辺りを利用している人をよく見かけます。

リスナーにとっては月額固定で聴き放題ということで魅力的なシステムです。

また音楽コンテンツ事業者にとっても、tunecoreなどのサービスを利用することにより安い初期費用で世界中の配信ストアから楽曲の配信ができます。

そのため一見は良いことばかりに見えます。

相談、依頼を請けた時に僕が必ずいうのは、

岩崎
岩崎

音楽配信で儲けるということは一切考えないでくださいモ〜。
配信を利用してどうやって他で利益をあげるかを考えてモ〜。

と説明しています。

サブスクリプションの音楽サービスは音楽コンテンツ製作者には地獄のシステムです。

もちろんメリットもありますが。

なぜコンテンツ事業者には地獄のシステムなのか?を解説します。

プラットフォーマーにとってはベストなシステム

まず音楽コンテンツ製作者ではなく、サービスを運営するプラットフォーマーにとってはとても良いシステムです。

利用者の数の増減だけを把握していれば、あとは自動で収入が計算できます。

仮に利用者が減ったとしても、サービスの特性的にいきなり利用者ゼロになることはなく、ある程度のパーセンテージの範囲内でなだらかに推移します。

減り始めときにそれなりの対策をとる期間があります。

サブスクではない商品売り切りのビジネスモデルだと、新商品などが出て売れた月は売上が立ちますが、そうでないと立たないので、次々と新商品を出していかなければいけません。

プラットフォーマー経営者にとっては、未来のバランスシートが読めるということで、経営基盤がとても安定しやすいビジネスを構築できます。

発展性のないビジネスモデル

音楽サブスクはガラスの天井

ところが音楽コンテンツ事業者や音楽アーティストにとっては、厳しいビジネスモデルです。

お客さんが1名の場合

音楽サブスクの本質を理解していただくために、敢えて超シンプルな状況を仮定して説明します。

リスナーであるお客さん、つまりサービス利用者が1名だけいたとします。

サービス利用料は月額1,000円としましょう。

音楽家Aさんの作品を一ヶ月で1回だけ聴いたとします。

すると音楽家Aさんには1,000円が入ってきます。

通常は配信ストアの諸経費などが引かれます。
ココでは本質を理解しやすいように諸経費は無視しています。

アーティスト<br>Aさん
アーティスト
Aさん

やった〜♫
もっと何回も聴いてもらえる作品を頑張って作るぞ


次の曲は、リスナーにその心が届いて、2回聴かれました。

アーティスト<br>Aさん
アーティスト
Aさん

やった〜♫
2回も聴いてもらった。2倍だ!
収入が楽しみ〜♫

ワクワクしながら結果を待ちます。

アーティスト<br>Aさん
アーティスト
Aさん

あれ?
収入が増えてない…

倍の数を聴かれても収入は増えませんでした。

リスナーAさんは1,000円しか払っていませんので、倍を聞いてもらっても視聴単価が1,000円から500円に下がるだけで、トータル1,000円の売上は増えません。

10回聴いてもらえたら視聴単価は100円になり、100回聴いてもらえたら視聴単価は10円になります。

リスナーにヘビーリスニングをしてもらう事により市場を大きくできないビジネスモデルです。

お客さんを2名に増やしたら?

ドヤ顔素人
ドヤ顔素人

そりゃリスナー1名ならそうでしょ。
リスナーを増やせば良いじゃん

その通りです。

リスナーを増やせば収入が増える可能性はあがります。

リスナーが1名から2名に増えたイメージ図です。

収入が2千円に増える可能性があります。

ところがユーザーが増えた分だけ音楽の好みも分散する可能性が高いというのが、算数ができる方なら分かるかと思います。

音楽サブスクユーザーが2名に増えた分、他のアーティストを聴く確率も倍になりますので、売上は増えません。

2名のお客さんが、

  • アーティストAさんのみを聴けば 2,000円の売上
  • アーティストAさんとアーティストBさんを聴けば1,000円の売上のまま

という風で純粋な確率の話ですが、リスナーが増えればその分、他のアーティスト作品を聴く機会も増えますので、ファンの数を獲得したらそれに比例して売上が増える、という物ではありません。

もちろんファンを増やしても売上が全く増えないわけではないです。
ファンの数を増やすこと自体はとても重要です。

ここで伝えたいのは、あくまでも限られた市場マーケット (π)パイ をアーティスト同士が奪い合うというのが、音楽サブスクのビジネス的な本質ということです。

その辺りがCDやダウンロード配信とは根本的に違います。

CDやダウンロードであれば「業界を協力して盛り上げる」という方法で、総売上を増やし全体を底上げすることが可能でした。

善悪は別にして購入はしたけど聴く時間がないなどの理由で棚にならんでしまうだけの作品でも売上は売上です。

アルバムを月に3枚購入する人は数千円から1万円近くの費用が業界に入ってきますが、サブスクであれば千円を超えることはありません。

お客さんが10名の場合

もう少しサービス利用者の数を増やした状態で解説してみます。

仮に10人のサービス利用者がいたとします。

アーティスト<br>Aさん
アーティスト
Aさん

やった〜
10人全員に聴いてもらったぞ〜
1万円だ!

アーティスト<br>Bさん
アーティスト
Bさん

凄いな〜。
僕も頑張るぞ〜


翌月はAさんとBさんで半分ずつ聴かれまました。

アーティスト<br>Aさん
アーティスト
Aさん

あれ?
収入が半分に…
前回以上に頑張ったのになぁ。
もっと良い曲だして頑張らなきゃ


さらに努力して翌月はBさんの曲よりもウケてサービス使用者は75%はAさんの曲を、残りの25%はBさんの曲を聴いていました。

アーティスト<br>Aさん
アーティスト
Aさん

よし、なんとか先月の7,500円になった。
でも最初の1万円には届かないなぁ。
さらに良い曲を出して頑張るぞ〜。
なんとか1万円にしたい!

おわかりかと思いますが、Aさんが初月の収入を確保するためには、Bさんが全く聴かれないという状況にならないといけません。

勝者がいないワケでないが

もちろん全員が全員、ストリーミング配信サービスで結果が出ないわけではありません。

より多くの人により多くの回数を聴いてもらうことができれば、それなりの金額が動きます。

そのためには兎に角、有名になることが重要です。

2000年代であれば、世の中的には全く無名のアーティストでもCDをリリースしてライブなどで頑張ってセールスを行い累計で数千枚以上を販売できたということも、それなりにありました。

3千円のアルバムを1,000枚単位で販売できれば、それなりにビジネスとしてギリギリ成り立ちます。

その様な凄く儲からないまでも制作費はペイして活動が維持できるという状況が、そこそこ容易に作れました。

ですが、ストリーミング配信の場合は1再生の単価 (1PV) 辺りが、0.06円〜1円程度と幅はありますが、他のパッケージと比べて極端に安い視聴単価と言えます。

1PVが0.1円だと、1万回再生されて1,000円ですので、ローカルやマイナーアーティストにとっては収益的なメリットは何も生み出せません。

CDやダウンロードに比べて、全体としては下がりつつ、より全国、世界的に聴かれる勝者と、マイナーな弱者の差が出るというのモデルです。

イメージ図にするとこんな感じです。

これは音楽だけで限った話ではないですが、インターネットが中心となっている現在、多くの業界で起こっていることでもあります。

僕個人はCDは要らない派です。
音楽サブスクやストリーミング配信に反対でこの記事を書いているわけではありません。

総売上が決まっている中での分配するだけ

アーティスト<br>Aさん
アーティスト
Aさん

もっともっと良い曲をだして、2万円、いや10万円目指したいぞ〜

とアーティストが目標を掲げたとしてもサービス利用者が10名しかいないので、無理ですよね。

収入を増やすためにはサービス利用者を増やすしか無いです。

ひたすらApple Musicに入ってくれる活動をしますか?

そんな事にリソースやコストを費やすなら、もっと直接自分に結果の返ってくる分野に費やすべきです。

自分のファンを増やして自分の直接的なサービスを用意してコンバージョンさせた方が遥かに効率的です。

僕のまわりでも実際にそのような成功事例が出始めています。

アーティストや音楽コンテンツ事業者が、既存の大手音楽サブスクリプションサービスに入ってもらうユーザーを増やす活動に貢献する意味は全くありません。

頑張っても市場は大きくならない

ドヤ顔素人
ドヤ顔素人

いやいや、これからはサブスク配信の時代。
市場もこれからもどんどん大きくなるのでは?

サブスク市場自体はこれからも伸びる可能性はあります。

ただし本質的には地球の人口70億人以上に増えることはありません。

現在の総ユーザー数は何名くらいなのでしょうか?

正確な数字は分かりませんが、スマホが世界中に浸透している状況を考えると、ここから更に爆発的に数倍、数十倍に市場が伸びるとは考えにくいです。

ビジネスマンとしては興味がないシステム

音楽家としてではなくビジネスマンとしての価値観でいうと、既存の音楽サブスクサービスには全く関心がありません。

自分や会社の技術や労力を提供して、社会や市場の発展に貢献することにおもしろさは感じますが、限られた市場を奪い合うことに労力割くことを全く有意義に感じることができないのです。

外食産業に似ている

例えるならば音楽サブスクサービスは外食産業に似ています。

どれだけ外食業界を盛り上げて、美味しい料理やお店を提供したとしても人間は1日3食以上は食べません。

盛り上げても利用回数が増えるわけではなく、ライバル店とお客さんを奪いあうだけです。

知恵と工夫で以下にサービスを充実させ単価を上げていくか

外食産業を良くするためには顧客単価を上げるしかなく、いかに付加価値のある料理やサービスを生み出していくかです。

金額を下げて奪い合うビジネスは最悪だと考えています。

より美味しいもの、これなら少し高くても選びたいと思ってもらえる物を提供しつづけないと、業界皆がWinxWinになる事はないと考えています。

自主制作やインディーズの配信はどれくらい儲かるのか?

とある<br>アーティスト
とある
アーティスト

そうは言ってもそれなりにランク上位を確保できれば…
なんとか音楽サブスクサービスで儲かるのでは?

先に書いたように爆発的に聴かれれば可能性はありますが、インディーズ、自主制作アーティストでの身近な例を書きます。

インディーズ・自主制作の配信ならTuneCore

自主制作、インディーズのアーティストは近年ではTuneCoreというサービスを使っている人が多いと思います。

格安の初期費用を1年ごとに支払うだけで、世界中の様々な音楽配信ストアに音楽作品を入曲できます。

「音楽配信をしたいのですが?」と相談をうけたら、まずコチラのサービスを勧めています。

それほど難しくなく誰でも登録や配信が可能です。

配信まで行って欲しいと依頼をいただくクライアントもいますので、そうした場合は僕の会社「フルハウス」にて配信の運営までを行うこともあります。

ランク上位を確保しても売上は…

イチオシの最も安心なサービスであることには間違いないですが、成功した際の売上を期待するクライアントには現実をお知らせしています。

ジャンルにもよりますが、とあるジャンル部門で僕がお手伝いをしているアーティストさんが2年間連続で前回や国内の年間ランク2桁を獲得しました。

2桁といっても後ろの方ではないです。

そこまでの結果を出しても配信の売上は…。

具体的には書きませんが「利益が出る」などとは考えてはいけません。

配信に乗せることは重要

質問者
質問者

音楽サブスクに儲からないのになぜ入れるの?

理由は「配信していないと存在しないアーティスト」も同然になってしまうからです。

スマホと音楽サブスクサービスのシェアが圧倒的ですので、サブスクのストア内に入曲されていないと「この世に存在しない曲」と認知的には同じになってしまいます。

実在はしても「グーグルの検索で出てこないと存在しないのと一緒」というのと似ています。

質問者
質問者

でも音楽サブスクではお金にならないのですよね?


そのとおりですので、大事なのはそれ以外の収益方法を構築していくことです。

マネタイズと言いますが、そうすると「他のマネタイズ方法ってどんなのがあるの?」というのが重要になってきます。

それについては今回のテーマではないので、また機会があればブログに書いてみたいと思います。

今回はココまで。
では、また。

コメント

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