岩崎将史です。
今回は先週末のことになりますがネットサービスでの時事ニュースでのことについて。
2つの大きなニュース
インターネットサービスでの2つの大きなニュースがありました。
- Twitter 社の17万件のアカウント削除
- Zoom 社の天安門関連ミーティングのアカウン削除
Twitter 社の17万件のアカウント削除
Twitter社が17万件のアカウントを大量に削除しましたよとのニュースです。
Twitter社が公式で下記コメントを出しています。
以前から言われていた中華人民共和国(RPC)に起因するアカウントが、香港問題などでの諜報活動や拡散に使われていたとのこと。
ツイッターの発表によると、同社は「非常に積極的な中核」の役割を果たしていたアカウント2万3750件に加え、「拡散係」に当たるアカウント15万件超によって運用・拡大されていた「国家が関与する」ネットワークを解体。
(c)AFP/Jerome TAYLOR
Twitter社と言えば先日の米トランプ大統領のツィートに対して「フェイクニュースの恐れ」ラベルを貼りつけてトランプ大統領を怒らせた事が話題になりました。
一連のこうした対応をみていると、SNSとして可能な限り客観的な視点を持ち、バランスを取ろうとしていると感じます。
Zoom 社の天安門関連ミーティングのアカウント削除
一方で全く逆の印象を持ったのが、Zoom社の対応のニュース。
Zoom 社が天安門事件ディスカッションに参加していたアカウントを強制BANしました。
中国共産党は
- 活動家
- テロリスト
などと発表していましたが、その後の報道では、
- 学者
- 研究者
などのアカウントだっとらしく、Zoom社は中華人員共和国(RPC)からの要請に応じたことを認めています。
やりすぎたとの反省もしているようです。
ただ多くの人が明暗が別れた2社の対応だなと感じたと思います。
僕はチャイナの歴史が大好き
この手の話をすると特定の国家や民族を批判していると取られる可能性もあるのですが、そうではないということは補足しておきます。
中国の歴史が大好き
僕は中国の歴史が大好きです。
同様な人は多いかと思いますが、10代の頃に中国史関連の古典はほぼ読破しました。
- 春秋
- 十八史略
- 三国志
という基本は全て。
三国志は正史を原文で完読
三国志というと陳寿が緒したいわゆる物語のほうが有名です。
ここはそれではなく歴史書の方。
邪馬台国や卑弥呼が登場する後漢書を含む一連の史書です。
学生時代には図書館に原文がどかんと並んでいて、毎日授業には図書館に詰めて簡易な日本語訳した本と照らし合わせながら、本当に僕らが普段日本語で読んでいる内容は
- すべて網羅されている物なのか?
- 違いはないのか?
などを分析するのに萌えていました。
詳細な地図も作成
地域や都市名などもブリタニカ世界地図の写しと照らし合わせながら書き込んだりしていました。
当時はグーグルマップなどありませんので。
そうした書き込みをしていくと、あきらかに黄河の流れなどは現在と違うとしか読み取れず、現在の資料ではそれが反映されていないものが多く不満ありです。
今の中華の州名はいくつかしか言えませんが、中世、古代の州名は今でも全て諳んじれくらいの記憶は残っています。
古典はひととおり
他にも、古典の兵法書
- 六韜
- 孫氏
- 呉氏
この辺りも原文のみならざういくつもの解釈、解説本を読みましたし、当時は本気で中国の史跡巡りをしたかった。
オリジナルのゲームを作ったりも
そうそう、高校生の時には当時流行っていた光栄系のシミュレーションゲームのシステムになっとくができずに、オリジナルで作って同級生と遊んだり、一枚マップで中華大陸を表現したりと言うこともしていました。
ちょっと話がそれてきました…。
先入観抜きでフラットに見る
まあ、何を書きたいかといいますと、特段の思想や価値観に誘導したくて書いているのではないということ。
中国系の友人、取引先もあります。
そして、平均レベル程度には中華人民共和国の成立前後や以後についても知っているつもりです。
もの凄く詳しい方もたくさんいらっしゃいますので、そのような人たちには到底かないませんが。
この手の話はとかく感情的に何かを悪者にしがち、受け取られがちですが、そういう評価軸で書いているわけではないですよ、ということです。
変わっていくパワーバランス
そういう前段を理解して頂いた上で、これからの時代は間違いなく、
- 20世紀である1900年代
- 21世紀である2000年代
この2つの時代とは世界の構造やパワーバランスは全く別物の時代になっていくと思います。
産業革命から情報通信革命時代への変化
これからはもう既に、20世紀型の産業や消費構造でないことは語るまでもないと思います。
2000年代の100年は何の時代だったかというのは、子孫達が未来から振り返ってみないと正解は分からないわけですが、一つは情報通信革命の時代であると言われています。
世界中がスマホやPCで繋がり大量のデータを24時間送受信しえる世界が既に実現されて20年ほど。
その技術はより早くより膨大な情報をとまだまだ進んでいくことは間違いです。
100年単位でみれば変わるのが当然
そうした時代の中で1800年代と1900年代でも、欧州の近代化の動きから、経済的プレゼンスが北米へ移動と全然別の世界になってしまっているので、変わるのは当たりまえ。
日本のポジションも戦後からバブル崩壊までが歴史的にとても得意な状況だったと認識した方が良くて、それ以前の色々な意味でずっとシリアスな状況が本来と考えた方が良いと思います。
歴史的にはどの国も外国での諜報活動をするのが当たり前で、あの手この手で自国に有利な状況を作ろうとしています。
それは中国だけではなくアメリカや他国も一緒でしょう。
- 実際に分かっているもの
- 都市伝説のように言われているもの
など色々あります。
ただ少なくともZoom社ほど今リアルタイムで最も使われているサービスが、明確に素早く特定の政府の要請を受けて反応したという例は大きなことは印象的です。
各国の対中国のIT対応状況
2019年の7月頃が数日しても現れている米中の経済対立ですが、欧州諸国がどうなるのかというのが一番大きな分岐になると思います。
イギリス
イギリスは今年の2月まで5G通信網整備からアメリカの要請をガン無視してファーウェイを排除しない方針を取っていました。
が、一点して排除する方針を固めました。
ドイツ
逆にドイツは明確に5Gなどからファーウェイや中国企業を排除しない方針を貫いています。
そしてこれは変わることはないというのが、多くの人の見方のようです。
ご存知のとおりドイツ銀行の首根っこが抑えられていますので、中国と運命をともにしないという選択肢は取れなさそう。
ドイツ銀行というのはドイツ最大のメガバンクで、日本で言う
- 三菱UFJ
- 三井住友
- みずほ
の3大銀行を全て合わせた様な存在ですので、様々な基幹産業への影響力というのは相当に大きそうです。
インド
IT関連ではないですが、インドはここ2週間ほどカシミール地方で緊張感が高まっていました。
まあ以前から断続的に揉めてはいるのですが…。
昨日それなりの犠牲者が出てしまったようです。
オーストラリア
オーストラリアは2017年頃からいろいろな問題がニュースになっていて、対中国での厳しい対応が取られています。
ITだけでなく様々なプレッシャーをかけられていて、直近では首相がはっきりと発言しました。
一つは在豪中華系ビジネスマンなどが中国共産党の指示の元に大量に献金をしていた問題。
また、中国人留学生などに指示を出して活動させていたなどの報道もみかけました。
中国にとっては当たり前のこと
いくつかの主要国と衝突を始めた中国共産党政府。
共産党政府からみれば少しでも自国が有利なポジションを取れるようにあらゆる手を尽くすのは当然でしょう。
少なくとも日本は経済的にも政治的にも立ち位置が明確なので、現状変更や影響力を増大させようという、この考えや動き時代は好ましいことではありませんが。
西側にはたまたま軍事的に優位性があっただけ
100年単位の大まかな歴史で俯瞰すると、欧州が近世以降において派遣を取れたのはたままです。
別に市民革命や民主主義革命が起こったからではありません。
ルネサンス時代から近世においての科学技術の変革で優位な状況を作れ、その後の産業革命と市民革命が上手く合わさり、最初の特異点超えとも言える技術向上に加え、自由主義経済と労働資本率の増加に伴う物量増が可能なった、ということで軍事的優位性を確保できたからです。
この事は過去2度の世界大戦が裏付けています。
そして、これらの科学、経済などの技術やノウハウは既に中国などにも広めるべくここ30年ほどは各国、各社が活動してきました。
ですので、そららによる優位性は現在ではほとんどなくなっています。
今回の新型コロナウイルスによる機関部品の輸入ができなくなったことにより、僕の周りでも困っている人が続出していますが、それくらい日本も既に根っことなるパーツの製造技術はなくなっちて、さながら外国人傭兵部隊がいないと守れない古代ローマのようだと感じました。
情報通信革命の時代は、経済は中世に逆戻り?
情報通信革命後の次の時代は、やはりここを抑えた国家や企業が有利になるのは間違いないでしょう。
また「R>g」で有名な経済学者トマ・ピケティさんも、
- 産業革命以後の100年前後が経済的には異常な時代。
- 2000年以降は労働資本率が下がっている
と述べています。
近世以前は圧倒的に資本家、支配階級が有利でしたが、産業革命後は物流が物を言う時代。
労働者の価値が爆上がりして資本増加率を上回った時代でした。
情報通信革命後は再び労働資本増加率は下がり、資本家優位になっているとデータで示されています。
情報通信、ビッグデータを抑えたものが勝つ時代
これらのことから歴史区分としても時代は大きく変化したと考えています。
今後100年は情報通信を抑えたものが戦略的に優位に立つのは間違いなさそう。
民主主義国家は不利な時代
そうなると統制の取れる体制の国家が圧倒的に有利かもしれません。
今回の新型コロナ対策をみていても、中国など一部の国は徹底的にスマホデータなどで、位置情報などを管理し統制をしていたようですが、日本を含めて民主主義国家の多くにおいては、
- そこまではできない
- 根拠となる法律がない
- そもそも憲法違反
などの問題があり実現できていません。
個人の権利が弱い国家が伸びる
一方これはおそらくですが、中国などでは例えばface IDのような日々スマホで扱う顔認証の画像データや位置情報などもサーバーに蓄積されていて、それを政府や企業が利用するにあたってのハードルは他国に比べればずっと低いと思われます。
当然、そういったデータを流用できる企業がこれからの時代は経営戦略上は圧倒的に優位に立てるのは言うまでもありません。
Zoom社のこれまでの状況
話は戻して僕らが日々つかう毎日のSNSやインターネット・サービスの話です。
中華のそうした政治的な影響力を排除できるのか?というのが気になるところなのですが、色々な懸念があります。
Zoomにおいてもこれまでに様々に報道されてきました。
どこからどこまでは事実なのかは末端ユーザーでは確証を持つことは一切できません。
が、少なくともこれから縛らくはZoomが、携帯電話などに置き換わり一般的なリアルタイム・コミュニケーション・ツールになることは、僕の周りを見ていても決まりな気がしています。
僕も普段Zoomも使っていますが、どちらかというとMicrosoftのTeamsの方が数が多いです。
色々僕の仕事には便利な機能があって助かっているのですが、一般の人がぱっとTV電話やTV会議というのであればZoomでしょう。
独立性を保つことは企業の死を意味する?
情報通信をいかに制するかという時代に、こうした企業が中国政府からの影響を完全に排除するということは、もしかしたら企業にとっては死を意味することになるかもしれません。
Zoom社を3年後に振り返ったときに、
- 今回の事が一度きりの特殊なことだったのか
- ITサービス業社としては定番のアクションになっているのか
このどちらの時代になっているのか、かなり気になりましたので少しブログに書いてみました。
この辺りの話は、僕ら個人レベルで、
- 今なにかをするべきか
- 今できることと何か
などということはほぼなさそうで、別にZoomを使うなと言いたいわけではありません。
僕も日々使っています。
ただ、全体としてどういう方向に時代が進んでいくのかは興味がありますし、時代の変化の中で生きているんだぁな日々実感しています、ということでした。
ではまた。