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フリーランス【ギャラ】値段の決め方|3つの重要ポイント

ビジネスの学び
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岩崎将史まさふみです。
あまり社会経験がなく若くしてフリーランスになった方は、自分の値段(≒ギャラ)の決め方の悩むと思います。

同業界での勤務経験が長い人だと「大体この仕事はこれくらいの金額が相場だよなぁ」みたいな基準が自分の中でできていますので、決めやすいと思います。

また若い人だと、まずは仕事を獲得することを優先してしまうため安めの料金設定をし、その後思うように利益がでず生活が苦しくなるという人も多くみてきました。

そんなフリーランスの方に「自分の値段の決め方」について解説します。

自分の値段の決め方3つの方法

3つの重要なこと

僕は次の3つが重要かなと考えています。

  1. 希望年収から考える。
  2. 需要と供給から考える。
  3. レベレッジがどの程度効くかで考える。

もっとすごい人達はより高度だったり斬新な視点を持っていると思いますが、まずはこの3つを押さえておけば大きなミスはしないと思います。

それぞれを順番に解説します。

3つの方法の詳細

フリーランス自分の値段の決め方3つ

【方法1】希望年収から考える

頑張って成功したら最低でも人並みの所得が欲しいというが一般的な感覚だと思います。
最低限生きていければ良いという人もいるでしょうし、成功したなら金持ちにならなないと、という人もいると思います。
人生は人それぞれですので、どれが正しいとか間違いとかはありません。

近年の平均所得は年350万〜640万円

近年の平均所得を表にしてみました。

年代 平均年収
  全体 男性 女性
20代 346 367 319
30代 452 487 382
40代 528 583 413
50代〜 645 690 442

2017年〜2018年のデータではこんな感じです。(DUDAより)

ざっくりとですが、20代なら300万以上。
50代が見えてきたら450万~650万。
この辺りが「平均」みたいですね。

年所得が300万だというのは、賞与込みの年の所得ですから、均等に12ヶ月割とすると一ヶ月、ボーナス込みで25万ということになります。

希望の年収を設定する

まずはこのあたりのデータを見た上で、自分が獲得したい年収を設定しましょう。
その際にフリーランスが気をつけなければならないポイントが幾つかあります。

安い金額設定は絶対にダメ

「まずは最低限、食えたら良いな」という安い金額を絶対に設定しないことです。

何故かというとフリーランスは個人事業主ですので事業の経営者です。
一度設定した商品やサービスの値段を上げるというのは簡単ではありません。

多くのフリーランスにとって、商品やサービス≒自分のスキルです。
スキルが無いので安くなってしまうのは仕方がないことですが、十分なスキルを身に着けているにも関わらず、稼働100%でギリギリの価格設定をしてしまうと、多くの問題が出てきます。

市場が求めるサービスやスキルはどんどんアップデートされている

一つだけ書くと、常に時代に応じた新しいスキルを身につける勉強に時間と費用を使う必要があるからです。
これがないと、5年、10年後にはあなたのスキルは時代遅れになります。
そして勉強しようにも時間もお金もありません。

年齢で所得がは上がらない

平均所得を見ると20代から50代まででグイグイと上がっています。
これはまだまだ日本の会社が年功序列の賃金体系なところが多いからだと思います。

フリーランスの場合はどうか?

クライアントからすると、この人は20代だから安めに、この人は50代だから高めになどという予算づくりはしません。
あくまでも求める要件に対してもっとも適切なサービスとスキルを適切な金額で提供してくれるところに出します。

とあるフリーランス
とあるフリーランス

30代になったしギャラ上げてもらえませんか?

クライアント
クライアント

そうしてあげたいけどこれまでの予算もあるからね。
もし辛かったら残念だけど、若い人に頼むよ。

となることもあるかもしれません。

後述する様々な要素が絡んでくるので大変難しい判断ですが、慎重に検討する必要があります。

年収から日当を決める【稼働日数に要注意】

目標年収が決まったら1日のあたりの最低のギャラをいくらにすれば良いかが決まります。

年収と1日の所得は年収からみる日当の早見表を作ってますので、そちらをご参考ください。

ただし、一つ凄く重要なポイントがあります。
稼働日数を間違っても300日とか220日とかに設定しないことです。

一般的には150日程度まで。
経営センスの良い人だと100日程度で見積もったりします。

これは物凄く重要な事なのですが、とても詳細な説明がいるので別の記事にします。

【方法2】需要と供給から考える

自分の値段の決め方の2つ目の方法は需要と供給から考えるです。

需要と供給については一般的なワードですので、ここでは深く掘り下げません。

状況に応じて価格が変動するのが当たり前

供給よりも需要が多ければ価格は上がります。
逆に供給は多い場合は価格は下がります。

商品やサービスの値段は、市場環境で価格が変動するものです。
価格据え置き、固定みたいなことが美徳とされるような文化もありますが、それは基本的には良くない考えです。

世界中ではありとあらゆる物の価格が刻々と変化しています。

食料、燃料、材料なども先物取引に始まる日々、値段が変わっています。
円やドルの価値も刻々と変わっています。
株などもそうです。

売りたい人と欲しい人のバランスで物の価値と価格は常に変化します。

【方法3】レベレッジがどの程度効くかで考える

最後は自分の仕事にどの程度レバレッジが効くか?を考えることです。

レバレッジとは?

レバレッジとは簡単にいうと「てこの作用」のことです。

作った商品やサービスを自動化して、例えばネット販売度で多くの人に買ってもらえるのと、一人一人の顧客を相手に販売していくサービスでは、大きく違います。

3つの方法の例

3つの具体的な考え方の例を書いてみます。

あくまでも一例です。
正解はないので各自の考えと価値観でアレンジしてください。

希望年収から考える具体例

希望年収と稼働日数から考えることになります。
いくつかの考え方の例を提示します。

ミュージシャンの場合

金土日の週末3日は演奏の仕事が入るとします。
移動日や打ち合わせ、リハーサルや個人のスキルアップなども必要ですので、それでほぼ毎日が仕事になります。
3日✕50週として、150日が休み無しの最大稼働日数となります。
100日〜150日で希望の年収が獲得できれば、というのが一つの考え方として有りだと思います。

音響家の場合

ミュージシャンのサポート業務ですので、基本はミュージシャンと同じような考え方になります。
週末3日稼働するとして、そのための商談、打ち合わえ、図面書き、機器のメンテやチェック。
スキルアップなど、ほぼ毎日が業務に追われることになります。
ミュージシャンと同じように100日〜150日で希望の年収が獲得できれば、というのが一つの考え方として有りだと思います。

作編曲家やデザイナーなどの場合

1つの作品を仕上げるのに何日掛かるのか?
そうすると年に何曲を作れるのか?
という考え方ができると思います。

実際には複雑なので柔軟にかつ臨機応変に

基本の考え方は以上がベースになると思いますが、実際には需要と供給やレバレッジ、そして他業務などの組み合わせでなりたつので、もっと複雑です。

僕も複数の業種を持っているので、ありとあらゆるパターンをナンバーズ(アップル版エクセル)で表にして、客観的に判断できるようにしています。

需要と供給での具体例

需要と供給。
ここが一番、難しいところだと感じています。

まずは一般的なビジネスの例とそして音楽業界の場合の例について書きます。

アパホテルの料金の話

以前に実際に僕が体験したことですが、とある仕事での話です。
バックバンドのツアーにキーボーディストとして参加していたときの話です。

ギリギリまでホテルを予約してくれないマネジメント事務所

東京での公演があり、前後のスケジュールの都合から後楽園周辺に滞在する必要がありました。
マネジメント事務所がなかなかホテルの予約をしてくれず、僕は心配性なので3ヶ月ほど前から「宿泊先の情報をくれ」と再三メールをしていました。
担当者は「大丈夫です。ちゃんとちゃんと取りますから。ぎりぎりでも大丈夫ですよ」と。
1ヶ月前になってもホテルを押さえたとの連絡はなく、心配になってきました。

僕はいわゆるカプセルホテル的な物がとても苦手だったからです。
おそらく担当者的には近づいたら手が空いたところで予約する。
状況的にビジネスホテルは無理になったとしても、寝られれば何でも良いだろう的に考えているだろうということは予想が付きました。

一ヶ月前になったのでこちらで予約手配をすることに

流石にそれは避けたく、担当者に「もう一ヶ月前で心配なのでこちらで予約して請求書を回します」と連絡させて頂きました。
担当者も忙しく、そこまで余裕がない状況でもありましたので、面倒だと思うのでこちらでやりますよ的なニュアンスをお伝えして。

翌日4,800円の部屋が当日は2万8,000円

予約をしようとすると都内のほとんどのホテルが満室でした。
探しまくって2部屋だけ空室を見つけました。
アパホテルでした。
料金はどちらも2万8,000円。
普通のビジネスホテルからすると物凄く高額ですが、部屋は狭い低コストなビジネスホテルです。

翌日の値段は4,800円でした。
その後も基本、平日は5,000円前後。
週末は1万円前後の値段が掲示されていました。

その日は日本シリーズの最終戦だった

高額になっていた理由は、都内でのホテル需要がとても多かったからです。
様々な理由で各ホテルが満室になっていたと思いますが、僕がひとつ気づいたのは日本シリーズの最終戦でした。
そのため数万人が地方から後楽園ドームに応援に押し寄せることは察しが付きます。

空席率によって金額を変動させる

おそらく空席率によって金額を変動させるシステムなのだと思います。
物凄く合理的です。

カラオケボックスなど例

カラオケ・ボックスなどは夜や週末は高めの料金で、平日昼間は物凄く破格の値段。
やる意味あるの?みたいな値段設定のところもあります。

音楽業界の場合

音楽業界の場合は年末などはイベントも多く、需要が高まる時期だと思います。
逆にイベントの無いシーズンもあります。

そして平日と土日祝日では当然需要も変わってきます。

ライブハウスの会場費なども土日祝日と平日では料金を変えているところが普通です。

需要と供給で価格を変える顧客へのメリット

お金のない学生がカラオケに行きたい、となった場合は平日に行ったりすると思います。

夜や土日が高いなんて悪どい!

と思う人もいるかもしれませんが、それは逆で、お店からみると土日に部屋が遊んでいるくらいなら赤字でも稼働してけれる方がマシという判断もあります。

普段、安い値段でサービスを請けられる理由として、稼げるところで稼いで全体として帳尻を合わせるということが行われていることは珍しくありません。

レバレッジが効く場合の例

いくつかの場合を考えてみます。

CDや音楽配信の場合

ひとつの作品を作ったら、あとはほぼ自動で数多くの人に販売することが可能です。
レバレッジの効く商品と言えます。

ライブやコンサートの場合

主催者であれば、客席数などに応じてレバレッジが効きますが、最大値は決まっています。
会場数や公演数を増やすこともできますが、その分制作費も増えますので、どちらかというとレバレッジは効かないタイプと考えます。

雇われた音楽家や音響家であれば、完全に1VS1のレバレッジの効かないビジネスです。

オーダーで作る、デザインをする場合

オーダーを請けて制作する音楽や映像、グラフィックなどは基本的にレバレッジの効かないビジネスです。
1つの仕事に対して受注価格以上のお金は入ってきません。

著作権などの印税収入がある案件はまた別です。

【まとめ】価格設定は失敗しないビジネスのための根幹

この3つの要素のしっかりと踏まえて自分の商品やサービスを設定し値段を付ければ、きちんと仕事が取れれば絶対に失敗はしません。

最初の価格設定を間違えてしまったために、仕事が増えて忙しいの生活が苦しく、やっていけないと仕事を閉じた仲間も数多くしっています。

価格設定ほど難しいものはなくビジネスの根幹です。
正解はなく、結果成功したもの、生き残ったものが正解であり、それは一つではありません。

なお今回で説明したことはあくまでも「個人の人件費」の考え方です。
フリーランスは個人事業の経営者ですので、クライアントへの販売価格や見積もりは「人件費だけ」を元に考えてはいけません。

それは、また別な記事で解説します。

頑張って今日も生き延びましょう。
ではまた。

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