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国内レコード産業の勃興の背景【明治から高度経済成長】

国内レコード会社の勃興の背景 音楽の学び
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こんにちは、岩崎将史まさふみです。

今回は国内の音楽レコード会社について。
国内レコード会社の誕生から発展、そして成熟期を経て大きな転換期を迎えるまでの大まかな流れを解説します。

直近の状況や今後の展望についてはまた追々、記事化しようとは思います。

  1. レコード会社の定義
  2. 商業的にならざる負えない国内レコード会社成立の背景
  3. 家電メーカーとしてのスタート
  4. プラットフォームで変化する音楽ビジネス
    1. 近世から近代への音楽ビジネスの変化
    2. 生演奏から記録された円盤へ
    3. デジタルへ移行するもビジネスモデルの変化はなし
    4. メジャーと呼ばれる大手
  5. 蓄音機メーカー・電気製品メーカーの参入
    1. 日本コロムビア
    2. ユニバーサル・ミュージック・ジャパン
    3. ビクターエンタテインメント
    4. キングレコード
    5. 東芝EMI
    6. ソニー・ミュージック・グループ
    7. ワーナー・ミュージック・ジャパン
  6. 今となっては若い世代は知らない会社も
    1. ビクターやサンヨーは事実上無名に
    2. パイオニアは世界で高評価だったが…
  7. 家電メーカーがレコード業界に参入した理由
    1. コンテンツ・ソフトウェアを楽しむためのハード
    2. 家庭用ビデオ・ゲーム機業界でのコンテンツ・ソフトウェアの重要性
    3. 子会社としてレコード会社を設立
  8. レコード時代の背景と流れ
    1. 海外レコードの輸入だけでは市場は伸びない
    2. 必要家電から娯楽家電へ
    3. 家電メーカーがオーディオ業界へ
  9. その後の推移
    1. 縮小・合併・撤退の日本メーカー
    2. 新興のレコード会社や他の分野からの参入
  10. オーディオ機器からスマホへ
    1. 今後、音楽コンテンツが必要になる分野は?
    2. 事業展開を生かしたソニー・ミュージック・グループ
  11. 時代の状況に合わせた音楽と活動が常に必要

レコード会社の定義

最初に今回の記事でいうところのレコード会社の定義についてです。

音声のみの録音作品(=音楽レコード)を商品として扱う事業

とさせていただきます。
音楽レコードとはレコード盤のみでなく、

  • CD
  • 音楽ダウンロード配信
  • 音楽ストリーミング配信

などの「録音されたレコード作品」を指します。

レコードという言葉自体が「録音=記録=RECORD」という意味ですので、録音された音楽録音作品全般という意味でつかっています。

時代は大きく変化、特に2015年以降はレコード産業は完全に別の時代区分に入りました。

にも関わらず、まだまだ過去のイメージや情報、方法論で考えてしまう方も多い。

そこで今回はレコード産業における、とある1つの見方を今回は取り上げたいと思います。

20年ほど前から僕が周囲の人には伝えていた事で、知っている人には何を今さらという感じかと思いますが、今後の音楽ビジネスの展開を考える上での参考になれば幸いです。

商業的にならざる負えない国内レコード会社成立の背景

欧州や北米に比べると日本の音楽レコードのマーケット事情というのは、少し特殊と言われる場合があります。

ややもすると商業的過ぎるとも。

例えば…

大人数アイドルグループばかりがチャートを席巻していた時代が長くあります。

或いは…

インディーズで人気のでたロックバンドも、メジャーレコード会社と契約したが故に方向性が代わり、それまでのファンが離れていったなどという状況も過去には割と頻繁に耳にしてきました。

事業ですから商業的にならざる終えないのは当然ではあります。
特にレコードはコンサートやライブのフィールドに比べて芸術アートとしての面よりも商業的にならざるおえません

何故、商業的にならざる負えないのか?という点はレコード会社成立の経緯を知るとより納得度が上がるのではないでしょうか。

家電メーカーとしてのスタート

いきなりの結論ですが、一時代を風靡したレコード産業において「大手メジャーレコード会社」と呼ばれるその殆どは「音楽コンテンツ技業者」ではなく「家電メーカー」であったということです。

家電メーカーの「オーディオ機器を売る為に作ったソフトウェア会社」がレコード会社としての始まりという視点を持つとスッキリと見えてくる部分があります。

ただし、物事には色々な側面や多くの人の関わりや思いがあり、このように断定することには大変な語弊があります。純粋に音楽を愛して関わった人達も多くいると思いますので、全て隅々までを指していいるわけではありません。企業と時代背景の一面を理解することで、今後の展開の参考になると思います。

プラットフォームで変化する音楽ビジネス

エメラルドホール

音楽レコード産業というのは、文化という面の前に社会経済活動の一環ですので、お金を支払ってくれる最終ユーザー(リスナー)が、どのようにそのコンテンツに振れるかというのがとても重要です。

まずはレコード会社設立以前の音楽ビジネスの状態を簡単にさらっておきます。

近世から近代への音楽ビジネスの変化

かなり時代を遡ってしまいますが、中世欧州に置いての最終プラットフォームは教会であり、そのご貴族の宮廷になり、近代においてはオペラハウスなど。

近代になると世界経済の中心が北米に移行し、ダンスホールやジャズクラブ、そしてライブハウスへと変遷をだどっていくわけです。

生演奏から記録された円盤へ

レコード・ビジネスは1900年前後から技術的には成立し世に出回っていきます。

コンサートと違い客席のキャパや年間公演数などを無視して、製造数と流通量の許される限りにおいて売上を上積みしていけます。

音楽体験としての質や良し悪しは別にして、ビジネス的な効果だけで言えば、音楽ビジネスの中心といえるポジションになっていきました。

デジタルへ移行するもビジネスモデルの変化はなし

その間にCDというデジタルディスクへの以降はありましたが、円盤の形をした物として販売するという部分では同じであり、ビジネスモデルの本質の変化はありませんでした。

メジャーと呼ばれる大手

国内では5大メジャーや6大メジャーなどというワードがメディアやビジネスニュースなどで頻繁に登場していました。

どの年代で見るのかにもよりますが、日本のレコード産業の黎明期から高度経済成長にかけては、次のようなレコード会社が大手メジャーとして認識されています。

  • 日本コロムビア
  • ユニバーサール・ミュージック
  • ビクター・ミュージックエンターテインメント (現JVCケンウッド)
  • 東芝EMI (現在は東芝が撤退)
  • キング・レコード
  • ソニー・ミュージック・グループ
  • ワーナー・ミュージック

などがあります。

1990年代になるとエイベックスなども登場し一気に飛躍しますが、もう少し後の話です。

蓄音機メーカー・電気製品メーカーの参入

レコード

国内メジャーレコード会社の初期の多くは、蓄音機などのオーディオ機器、戦後は電気製品などを扱うメーカーが出資をして設立させていったことです。

具体的に当時の大手メジャーの簡単な設立の経緯をみてみましょう。

そこで日本のレコードが業界の黎明期から成長期の大手メーカーの成り立ちを、凄く簡単にですが見てみましょう。

設立年代順に書いていきます。

日本コロムビア

1907年に横浜に設立された蓄音機とレコードの製造会社「日米蓄音器株式会社」と販売会社「日米蓄音器商会」を母体に、1910年に株式会社日本蓄音機商会として設立。

1927年から米国コロムビア・レコードと提携関係にあり、レコード盤だけでなく蓄音機やその技術の輸出入を行っていました。

ややこやしいので詳細は書きませんが、日立製作所・日立グループ関連の資本と2001年までは関わりがありました。

ユニバーサル・ミュージック・ジャパン

1927年に設立された株式會社日本ポリドール蓄音器商會がのちのユニバーサル・ミュージック・ジャパンの前身です。

1950年にポリドール蓄音器株式会社に社名変更し、その後も日本ポリドール株式会社など社名変更したり合併などがあり、現在はユニバーサル ミュージック合同会社が正式な社名となっています。

名前から分かる通り元々は「蓄音器」を販売していた会社です。

ビクターエンタテインメント

ビクター最古参の1つで、1927年に日本ビクター蓄音器株式会社として国内に設立され国内コンテンツの開発に乗り出します。

先に取り上げた株式會社日本ポリドール蓄音器商會と同年です。

ですが戦中の混乱の中での曲折があり、戦後もオイルショックの中での業績改善を狙って本体と音楽事業部を切り離して「ビクターエンターテインメント」(現:JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)として分離子会社化しました。

こちらも名前から分かる通り元々は「蓄音器」を販売していた会社です。

キングレコード

キングレコードは少し違っていて、大日本雄辯會講談社、現代の講談社に設置されたレコード部が最初でした。

ただし1985年には三洋電機の資本参加と業務提携を受けていますので、家電・オーディオメーカーと全く円がなかった訳ではありません。

東芝EMI

1955年に東芝はレコード産業に参画し、1960年に音楽事業部が東芝音楽工業株式会社として独立しまいた。

その後、キャピトルEMIが資本参加し、東芝イーエムアイ株式会社(東芝EMI)と改称しました。

2006年には東芝が撤退してEMIだけが残っています。

東芝という名前を出しても最近は知らない学生が増えてきているのが悲しい限りですが、日本を代表する電気メーカーで家電メーカー大手の1つだったのです。

ソニー・ミュージック・グループ

1968年にソニー株式会社はCBSソニーレコード株式会社を発足させます。

CBSというのはアメリカの会社で、そことの合弁計画の元で作られました。

その後、いくつかの社内レーベルや部門を別会社にしたりなどを繰り返して現在のソニー・ミュージック・グループとして成長していきます。

ソニーは言うまでもないと思いますが、ウォークマンを初め革新的なオーディオ&ビジュアル機器メーカーです。

現在は若い人にはプレステのイメージが強いと思いますが、数え切れないほどの事業展開をしています。

ワーナー・ミュージック・ジャパン

1970年設立のワーナー・ミュージック・ジャパンは、米国ワーナーの株式50%で始まりましたので、最も家電A&Vメーカーの無いコンテンツありきの会社ですが、それでも設立時点では日本のオーディオ機器メーカーであったパイオニア株式会社が25%、渡辺プロダクションが25%を出資して実現しています。

今となっては若い世代は知らない会社も

ビクター、東芝、サンヨー、日立などの名前を出しても、近年の学生は「知らない」「聞いたことがない」という人達の方が増えています。

日本にはこうした家電メーカーがあり(今もありますが)、当時の家電やA&V業界では世界を席巻し日本の高度経済成長期を支えた大企業たちの一角だったのです。

ビクターやサンヨーは事実上無名に

毎年、大学の講義の中で「知っているレコード会社を3つ以上書いてください」というアンケートを取っていますが、ここ数年はビクターという名前は一度も登場したことがありません。さらに「ビクター」とか「JVC」って知っている?と問いかけても「知らない」「聞いたことがない」と回答する学生がほぼ100%です。

知っていても数十人に一人くらい。

現在も一流アーティストを排出しているレコード会社だけに、僕が学生だった時代と比較すると世の中が変わった感を感じます。

アーティストや楽曲のプロモーション時にレーベルやレコード会社を当時ほど露出させていないという事も影響しているかと思います。

三洋電機(SANYO) を知る人はもう流石にまずいません。
1980年代はSANOYOのダブルラジカセ持っている人は結構周りにいたのですけれどね。

パイオニアは世界で高評価だったが…

パイオニアも最近は知らない人を多く見かけるようになりました。

30代以上であればカーオーディオやカーナビのメーカーとしての認識があるかもしれません。

カーオーディオなどでも生かされている堅牢なスピーカーユニットに世界的に定評があり、様々なオーディオ製品にOEM供給されていたりしました。

海外のプロ用小型スピーカーなどでも「あのパイオニアのユニットを使用」みたいな売り文句を見かけたこともあります。

しかし技術力や市場シェアとは裏腹に経営はうまくいっていなかったようで、近年はほとんどのオーディオ関連事業を売却してしまいました。

ホームAV事業を行っていた子会社PHEをオンキヨーへ譲渡し「オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパン株式会社」という別会社になっています。

DJに興味のある人だとパイオニアは知っていると思います。

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DJ業界ではとても評価が高かったのですが、DJ関連を手掛けていた「プロSV事業部」を世界有数の投資ファンドKKRへ事業譲渡しています。

新しい会社名は「Pioneer DJ株式会社」となり「パイオニア」という名前とブランドは残りましたが、日本のパイオニアとは完全に別の会社となっています。

家電メーカーがレコード業界に参入した理由

この様に少なからず家電やオーディオ関連のメーカーが設立のほぼ関わっているのが分かるかと思います。

そもそもこうした会社がレコード会社を設立する必要性はなんだったのでしょうか?

コンテンツ・ソフトウェアを楽しむためのハード

そこは語るまでもないかと思いますが「コンテンツ・ソフトウェアがなければハードは売れない」ということです。

「聴きたい」「楽しみたい」と思うコンテンツ・ソフトウェアがなければ、そもそもハードを購入して手に入れようとは思いません。

「欲しいレコード」がなければ「レコードプレーヤーが欲しい」とはならないのです。

家庭用ビデオ・ゲーム機業界でのコンテンツ・ソフトウェアの重要性

質問者
質問者

ハードウェアを売るためにはソフトウェアがやっぱり重要なの?

ハードウェアを売るためにはソフトウェアがとても重要です。

今さら説明するまでもない事だとは思いますが、僕は僕は家庭用ビデオゲームメーカーの趨勢を例えに良く取り上げています。

家庭用のビデオゲームの黎明期にはカセットビジョンと呼ばれるゲーム機が任天堂ファミコンよりも一足先に投入されていました。

しかし任天堂がその後に圧倒的なシェアと取っていく事になるのですが、そこに合ったのはソフトウェアの種類と充実度です。

他にもセガやNECなども参加していましたが、ソフトウェアの展開量が及ばず任天堂の座を奪う事はできませんでした。

節目としてはソニーのプレイステーションの登場です。

ソニーは徹底的にサードーパーティが参加しやすい環境を作り、圧倒的なソフトウェアの充実ぶりで任天堂を脅かす存在になりました。

子会社としてレコード会社を設立

特に戦後から高度経済成長期を迎える日本の家電メーカーには、国内のオーディオ市場の発展というのはとても重要でした。

昭和10年 (1935年) で7,000万人に満たなかった日本人の人口は、昭和48年 (1975年) には1億1千万人を突破します。

急拡大する市場とニーズを無視するというのは大きな機会損失になります。

そこでより積極的に日本人向けの音楽レコードの商品化が重要になっていきました。

そして、そのようなコンテンツ・ソフトウェアの開発・製造を行うためには、それを行うための部署が必要です。

既にノウハウを持っていて日本市場に参入したい外資系レコード会社と業務提携などを行いながら、子会社としてレコード会社を設立していきました。

このような形で続々と電気製品メーカーやオーディオメーカーがソフトウェアの開発に乗り出していったのです。

レコード時代の背景と流れ

さらに詳しく、少し日本のオーディオ家電の需要が高まった背景を見ていきましょう。

海外レコードの輸入だけでは市場は伸びない

蓄音機やレコードビジネスが登場した1900年代初頭は、レコードやプレイヤーを輸入して販売するという業務がレコード会社の中心でした。

米国ビクターは米コロムビアなどと国内の会社が提携し、そうした販売を行っていました。

そのためクラシック音楽やジャズなどのいわゆる洋楽が中心であり、レコードを買う人や聴く人の多くは、どうしてもそれらに関心があったり理解できる感性を持った人達に限られる傾向がありました。

そこで日本人に理解されやすい民謡や歌謡曲、日本の唱歌なども少しづつレコード化されていき、戦中の一時期は国策として軍歌が積極的に生産されたりもてしていました。

そうした背景がある中で、戦後はベビーブームによる爆発的な人口増加期を向かえ、さらなる日本人向けの音楽レコードの市場が大きくなっていきます。

必要家電から娯楽家電へ

昭和20年(1945年)大東亜戦争終結以後のしばらくは、生活が便利になる家電の重要が高まっていた時代でした。

生活家電と呼ばれ、冷蔵庫や洗濯機がその代表です。

やがてそこにテレビが参加して、

  • テレビ
  • 冷蔵庫
  • 洗濯機

というのが「現代の三種の神器」と呼ばれていました。

テレビには情報といった側面もありますが、ドラマやスポートなどを楽しむ家族団らんを凄く娯楽としての面が登場してくるのです。

戦後経済の復興発展と共に「娯楽」「エンターテイメント」を求める需要が高まっていきました。

当時、家庭や個人で楽しめるエンターテインメント的なコンテンツといえば、

  • 漫画
  • 映画
  • レコード

なです。

今と違いスマホや携帯、PCやインターネットなどはありません。

家電メーカーがオーディオ業界へ

高度経済成長期が見えてき、人々が生活に必須なもの便利にするものから娯楽エンターテインメントへお金を使ううようになると、大手家電メーカーもテレビ、ラジオ、レコードプレイヤー、カセットデッキ、CDプレイヤーなどといったA&V機器を市場に投入してきます。

当時、自宅で楽しめるエンターテインメントといてば、

  • 本や雑誌、漫画などの紙媒体でのエンタメ
  • 音楽を聴く
  • TVを見る

くらいしかありません。

とうじはDVDやBDはおろかビデオもTVゲームもありません。

今、多くの人がスマホでコンテンツを消費するのと同等にレコードやCDを聴くという音楽コンテンツの消費は大きなマーケットになっていったのです。

ただし同時、この市場を広げるためには、前項で書いたように「コンテンツソフトの殆どが輸入」という状況では一部の先進的な人達に消費が限られてしまいます。

多くの大衆が求めていたのでクラシックやジャズ、洋楽などの楽しむのに少し難しそうと感じる物よりも、歌謡曲、演歌、落語、日本語の音声ドラマなど分かりやすいものでした。

そういったコンテンツ・ソフトウェアを市場に継続的に投入していくことが、家電メーカーがよりオーディオ機器などのハードウェア販売を促進させるために必要だったのです。

その後の推移

その後のバブル経済崩壊の影響が実質的に出始めた1990年代後半から、中国の市場開放政策による製造関連の中国への移転により、日本の家電、オーディオメーカーは大幅に業績を悪化させ規模を縮小させていきます。

縮小・合併・撤退の日本メーカー

ビクターは縮小と合併を繰り返し、今も健闘していますが最盛期の面影はありません。

昔は育成開発のアーティストにも、それなりの制作予算がついて色々なアーティストのレコーディングなどに関わらせて頂きましたが、今は人員整理も進み、そういった案件も無くなってしまいました。

僕がいつも利用していたマスタリングスタジオ「JVCマスタリングセンター」も大規模な縮小と移転をしてしまいました。

東芝に至っては2006年に保有してた東芝EMIの株をEMIに全て売却し音楽事業から撤退しています。

こちらも僕がサウンドプロデュースを行っていたアーティストが東芝の撤退と共に契約が切れたりなどで大きな影響を受けました。

三洋電機に関しては2012年に完全にPanasonicパナソニックに吸収されています。

レコード会社には関与していない(はず)と思いますが、家電A&Vメーカーとしてはシャープも既に日本メーカーではなく買収され台湾(鴻海精密工業)の会社となっています。

新興のレコード会社や他の分野からの参入

1990年代になるとエイベックスなどの家電メーカー系とは違う、音楽コンテンツ事業から始まったメーカーが登場します。

レコード作品のセールスがTV番組やTVコマーシャルで扱われるか大きなポイントにもなり、それらメディアと有効に使ったコンテンツや会社が成長していくようになります。

そんな中で放送局を始めとしてたメディア関連がレコード作品事業に参画してきます。

例えばTBSがキングレコードに資本参加、業務提起を行ったり、各局が独自に音楽出版社やレーベルを設立したり強化したりする動きがおこります。

オーディオ機器からスマホへ

2000年代に入るとiPodなどの携帯音楽プレイヤー時代を数年挟みましたが、2008年ころからは完全に音楽の視聴はiPhoneなどに代表されるスマホへと市場は移行していきました。

当然ながら家電メーカー、オーディオ・メーカーからすると膨大な経費を掛けて音楽コンテンツを作成しても自社グループ全体の活性化には繋がりにくくなる状況が続きます。

そうなると音楽事業単体で採算や利益率を確保できるようにチェンジしていかなければなりません。

規模を縮小したり他社と合併をしたり、音楽事業から撤退したりという動きが加速していったのです。

今後、音楽コンテンツが必要になる分野は?

スマホ時代になり今後レコード会社を持ち運営するメリットがあるのは、家電メーカーではなくスマホを使ったコンテンツやプラットフォームの運営事業者ということになります。

1つの例を上げると、現在であれば動画全盛時代。

NetFlixなどは過去最高の売上を更新しています。

映画やアニメなどの映像作品には当然ながら音楽が必要ですので、自社グループで音楽を作り、それを映像作品での利用だけでなく、音楽単体やアーティストも含めてた事業としても運営できることは強みになります。

事業展開を生かしたソニー・ミュージック・グループ

ソニー・ミュージック・グループは他の家電A&Vメーカー系とは一線を画してきました。

元々グループとして映像コンテンツ事業が強いですので、それらを取り入れて上手に展開しています。

アニプレックスなどのアニメ事業も参加に持っていて、自社のレコード作品を掛け合わせることによりグループ全体でそれぞれの収益性を高めることができます。

時代の状況に合わせた音楽と活動が常に必要

このように時代、プラットフォームが変化すると当然ながら音楽のあり方も変わってきています。

CDなどのオーディオメディアが全盛の時代には「CDを聴いてもらいやすくなる」音楽作りやプロモーションが重要でした。

例えば当時は、

  • TV広告からの動線が重要な時代には如何に15秒でキャッチーに聴けるサビを作るか
  • カーステレオでの視聴が多い時代には、如何にドライブミュージックとして成立させるか
  • CD店の試聴機での動きが重要な時代には、通常のリスニング環境は捨てて試聴機で一番良く映えるように

などをレコード会社担当者やディレクターは呪文のように唱えていました。

現代ではプロモーションなども過去とは大きく変わっていきます。

このあたりも書き出すと止まらなくなってしますのですが、既に1万文字…。

本当は5,000文字以内にどの記事も押さえたいのですが、なかなか書き出すと止まらなくなる性分でして。

とりあえずそんなところで、では、また。

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