岩崎将史です。
僕が27歳の時に法人化した会社「株式会社フルハウス」が20年目を向かえることができました。
こういう時は何か20周年記念のイベントでも企画するのでしょうが、有り難くも様々な案件の仕事を頂きクライアントの皆様をお待たせしてしてしまっています。
特にコロナ禍の最中ということで特に何かをするでもなく、毎日淡々と仕事を進めています。
今回は、過去1年のコロナ禍の年を振り返り、今後の10年に向けての自分の取るべき選択と行動の整理と気付きが得られたらと思います。
コロナ禍の【2020年】19期を振り返る
2020年は何と言ってもコロナに始まりコロナに終わった年でした。
丁度1年前にあたる2020年の1月から2月にかけて。
SNSや動画投稿サイトには中国武漢からとされる新型コロナウイルスによる映像が頻繁に上がっていました。
病院に行列ができそのまま倒れて息絶える人の動画など、さながら恐怖映画の様な光景。
にわかには信じがたい光景の映像や情報もあり、
何が本当で何が嘘なのか?
全然、分からないモ〜
という状態でした。
多くの仕事が続々と中止、凍結に
どこまでが本当でどこまでが嘘なのか良く分からない状況の中で、日本でも感染者が発生。
コンサート関連
レギュラーで毎月数公演のコンサート録音をお手伝いしている名古屋フィルハーモニー交響楽団の演奏会が2月の最後から中止になってしまいました。
当初は1ヶ月ほどの休止予定で感染状況を見ながら3月末には再開を目指すという予定でした。
しかしその後、3月になると小中を始め学校が休校閉鎖に。
4月になると7日に東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言が出され16日には全国に拡大されました。
当然ながらコンサートの再開は目処が立たなくなりました。
名フィルだけでなく、全てのコンサート関連の仕事が中止となり、月に4日から8日程度は稼働していたコンサート収録系の仕事が全てゼロになりました。
広告関連
合わせて広告関連の音楽の仕事も全てストップしました。
誰でも知るような大企業の広告の音楽案件がいくつか進行していましたが、クライアント企業の社員が外出禁止、県外移動禁止となり3月の撮影予定が4月に延び、さらに5月に6月にと延び、やがて目処が立たないということで一旦凍結となっていきました。
僕や会社の売上の70%は作編曲を始めとする楽曲制作です。
録音スタジオ業務などは、その工程の中で必要な一部でしかありません。
そのため楽曲制作系の進行が止まるのが、最もダメージが大きかったのです。
直感的に感じた東日本大震災以来の危機
このように多くの仕事が止まったのは、2011年の東日本大震災以来でした。
当時はクライントからの発注が3~4ヶ月ほど停止して、売上ほぼゼロが続きました。
当時は社員4名で零細とはいえ、家賃を始めとした固定費と給与などで100万円単位の現金が毎月減っていきます。
自分の役員報酬は全て未払賃金として計上し、通勤も片道1時間ちょいの自転車通勤に切り替えました。
そうして徹底的にキャッシュの減少を押さえて乗り切りました。
溢れる赤字
今回も同様に、まずは出費を最低限に押さえる処置を取りました。
それでも6月までの月次決算は赤字のオンパレード。
数万円とかいう可愛い規模ではない額のマイナスが電子帳簿に並んでいきました。
危機には慣れっ子、むしろチャンスに
ただし、僕は悲観的に捉えてはいませんでした。
2008年頃までは実質僕一人で全ての工程を行う会社でした。
リーマンショックに始まる金融危機の直後に、仕事と売上が激増して社員を増やしました。
今回もコロナ発生時の2月に、
うちは不景気で伸びる会社なので、多分今回も伸ばせるモ〜
と伝えていました。
数ヶ月はピンチになる予感は持っていました。
ですが、仕事が止まったり無くなったりする事にはもう慣れていました。
口座残高が数十円になる経験も何度もしていますし、企業当初の2~3年は他の多くの経営者がそうであるようにほぼ無休無給でスタジオに実質寝泊まりしながら仕事してました。
むしろそういう危機の時にこそワクワクする性格だったりします。
早々に新たな仕事の開拓に動く
直感的に「コレはヤバい」と判断した2020年の3月、直ぐに切り替えて新たな動きを始めました。
仕事が止まった時に何をするかがとても重要です。
震災の時は徹底的なスタッフ教育とレベルアップを行いました。
平時は業務に追われて中々まとまった時間を取ることは難しかったので、こういうタイミングにスタッフのレベルアップを図り、次に世間が動き出したタイミングで提供出来るサービスや技術のクォリティを上げる事が重要だと、直感的に考えました。
その甲斐があり、2012年以降はスタッフそれぞれが仕事の質が上がり大きく羽ばたいていきました。
スタッフにもWEBマーケティングやHP制作を徹底レクチャー
今回はレベルアップというよりかは裾野を広げながらのトランスフォーメーションに力を入れました。
その1つがスタッフのWEBやインターネットマーケティング関連のスキル獲得です。
例えばWEBサイトに関していうとフルハウスのWEBサイトを始め、全てのサイトを僕が直接管理していました。
その状況を変えられるようにWEBサイトの制作から運用に必要なマーケティング的な概念などを理解してもらえるようにしました。
コレを行うことにより「なぜ仕事がくるのか?」「何を求めらているのか?」を全員が位置段階深く見えるようになると考えたからです。
WEBサイトの完全リニューアルとスタッフの参加
そしてその1つの結果として、運営しているWEBサイトの完全リニューアル化を行いました。
フルハウスのWEBサイトも6月に大幅リニューアルを完了し、スタッフが誰でも簡易に記事の更新ができるように作り変えました。
クライアントへの提案の幅も拡大
そうすると事によりクライアントのWEBサイトのアドバイスや運営の手伝いもスタッフが行えるようになりました。
さらにライブ配信や動画配信などと絡めた、全体的なインターネット・マーケティングの提案やケアをできるようになってくれました。
クライアントの収益を10倍に
これらの相乗効果により、とあるクライアントの収益が前年の10倍近くに増えた事例が発生しました。
直接リアルにしか運営していなかったイベントをオンライン化対応させることに成功したからです。
それまでは弊社スタッフが週イチで訪問して対応する形でお付き合いをしていました。
ですがクライアントの代表から直接に
「あなたに支払うお金はそれ以上に返ってくるので惜しくない。毎日でも来て欲しい」
と言って頂けたとの報告があり、僕にとっては2020年で最も嬉しかった事の1つとなりました。
ブログの更新頻度がアップ
スタッフのレベルアップを図ることにより、このブログの更新頻度をアップさせることができました。
正確に書くとスタッフのレベルアップのためにブログを書くという意味もあり、どちらも相互関係があります。
どちらにしろルーティンとなるWEB関連の対応をある程度任せられるようになったので、記事の中身に触れられる時間を少し増やすことができました。
PVが大幅に増えた
PVと呼ばれる見ている人の数を大幅に伸ばすことができました。
Google検索アルゴリズムの大幅アップデートが5月と12月にあり、検索順位が変動したため「PVが半分に下がった」という悲鳴がブログやWEBサイト界隈で聞かれました。
おかげさまで僕はそれぞれのタイミングでPVを大幅に伸ばすことができました。
収益も安定した
コロナ以前からも少しだけブログからの収益はあったのですが、昨年は10倍近く増やすことができ、安定もしてきました。
重要な柱の1つになってきています。
新たな2つのYouTubeチャンネル
2つのYouTubeチャンネルを開設しました。
演奏機会を定期的に獲得するため
1つ目は「加藤梨菜MasaP」チャンネルです。
レコーディングや楽曲制作だけでなく、ライブ演奏の仕事などもなくなりました。
楽器を弾く機会がなくなると、様々な能力を維持できなくなるので、勉強やスキルアップも兼ねて定期的に耳コピ演奏動画を作る事にしました。
当時、主題歌の制作依頼を請けていた映画の歌手を探していて知り合った加藤梨菜さんと始めましたが、経緯は音楽家ページの記事で書いています。
雑多な動画制作やノウハウを貯めるために
そしてもう1つは「岩崎将史【音楽じゃない】ちゃんねる」です。
このチャンネルは完全なる趣味と動画制作の練習用に作りました。
5月より大学の講義が全てオンラインになるということもあり、環境を構築し動画制作に慣れるためというのもありました。
この2つは直接収益を上げる事を目的にはしていません。
ただし総合的にかなりプラスに働いてくれました。
2010年から始めたYouTubeも5つのチャンネルに
ちなみにYouTubeは2010年頃から始めていました。
自分の音楽活動の告知用に始めたのですが、GoogleやYouTubeの仕組みが良く分かっておらず2つ作成してしまっていました。
その後、仕事が忙しくなり個人的な音楽活動が全くできなくなってしまったので、ほぼ放置状態であります。
そしてもう一つ会社のYouTubeチャンネルがあります。
現在は5つのチャンネルを運営しつつ、クライアント企業のいくつかのチャンネルの管理も頼まれているのでアカウントのログイン画面が縦にズラ〜っと中々な事になっています。
新たなスマホアプリのローンチ
3月から新たに始めた案件の1つがカラオケのスマホ用アプリ「ミュージックバトル」です。
3月にアプリ開発運営会社と打ち合わせを重ね、4月から急ピッチで音楽データの作成を進めて6月のローンチを目指しました。
スマホアプリの開発としても、カラオケのリリースとしても尋常でないスピードだったと思いますが、おかげさまで多くの人に楽しんで頂けるようになりました。
映像・配信を大幅にパワーアップ
以前から少しづつ行っていた動画制作やライブ配信のサービスも大幅にパワーアップさせました。
過去のブログでも書いていますが、カメラとレンズで80万円を超える物を複数台、安価なGoPro Hero 9 も3台、他にも映像ミキサーや照明設備など数百万円の増強をしました。
スタジオから直ぐに各ライブ配信プラットフォームへ配信できる様にしました。
LANやWi-Fi回線のない所でもハイクォリティーなライブ配信を実現
コンサートもライブ配信案件が増えた2020年の後半でした。
国内の公共ホールはインターネット回線を外部の人に使わせない施設がほとんどです。
そのような場所でも問題なく配信を出来るように、マルチSIMと呼ばれる複数の携帯回線を使用したライブ配信を何度も行いノウハウを蓄積することができました。
公表できるコンサートは多くないですが、その一部がコチラです。
配信時のYouTubeも貼ってありますので、覗いてみてください。
コチラのライブ配信はまだ11月に行いました。
最後のクレジットには書かれていませんが、
- 編曲監修
- 選曲構成補
- 進行・ディレクション
- 録音配信
など音楽面のほぼ全てを担当させて頂きました。
前半のマイナスを後半で取り返す
上記の感じで2020年の前半はとにかく働きました。
休みゼロの2019年のコロナ前半戦
コロナになって以降の半年で取った休日は自信を持ってゼロでした。
スタッフは出社を控えてもらったりなどは多分にありますが、僕はとにかく出血を止めるために新しい流れを作っていかなければなりません。
全てが同時に動き出した2020年の後半戦
こうした動きの甲斐があってか、2020年の7月以降は仕事量が大変な事になってしまいました。
7月に入りライブやコンサートなどが解禁になり、フリーズしていた案件が動き出してきました。
例年通り秋から年末のライブなどに向けてCDなどのリリース案件も発生。
そこに今年作った新たな仕事が全て覆いかぶさってきて、毎日スケジュールの調整に必死な日々が続きました。
人員を増やしチームで乗り切る体制をアップデート
こうなってくると僕がやるべき仕事が大きく変わらざるを得ませんでした。
クライアントからの問い合わせに対応するだけで日中が終わってしまう日々も増えてきます。
スタジオは完全にスタッフに任せ、名古屋音楽大学のスタジオ実習という事業で実力を発揮してくれた3年生の学生にアルバイトに来てもらうようにしました。
楽曲制作の方も同大学の作曲コースの学生に来てもらい、月に20曲から30曲近くの制作を任せるようにしました。
30年近く前を振り返ると僕も大学4年制の時に、同じ様に楽曲制作の仕事が殺到して授業に行けなくなり1年余分に行くことになった経緯があります。
卒業後はそのまま継続して手伝ってもらえる事になり、先日、とりあえずのアリ物で作業スペースを新設しました。
スタジオの純粋なレコーディングのみの案件について、技術係りは完全にスタッフに譲り渡しました。
レギュラーでお手伝いしているコンサート録音関係も外注エンジニアにお任せできる流れを作りました。
コロナ禍で増えたライブ配信やウェビナー配信の現場は信頼できる方にお任せ。
それぞれの現場と人が上手く周るように段取りを取り進行させるのが僕の仕事の1つに。
コレだけでも結構大変ですので、技術的な事はどんどん任せないと回っていきません。
本当はやりたいんですけどね。
そして機材も爆発的に増えてしまいましたので、新たにコンテナ倉庫を追加で借りました。
本当は事務所兼倉庫で人が居れる場所を借りたいですが、危機の時はとにかく固定費を上げないことが重要です。
まずは最も実質的な支払い額が少ない方法を選択しました。
後半戦はより一層に休みが取れない事態に
そんなこんなで、僕は皆さんが上手く仕事ができるための段取りを取りながら、僕にしかできない作編曲仕事やプロデュースなどクリエイティブな案件に集中できるようにしていきました。
とは言え段取りや管理の仕事量が、今までの3倍くらいになってしまい、より一層に休みが取れない事態に。
ですが危機の年ですのでとにかく休んでなどいられません。
とにかく前半のマイナスを取り戻すべく働き続けました。
そして…
フルハウスは12月末日が期末になります。
がんばった甲斐があり、なんとか昨期を前年比より増収増益で終わらすことができました。
ふぅ〜、なんとか死なずにすんだモ〜
零細は毎月、毎年が勝負。
資本力がありませんので、少しの気の緩みが致命傷になります。
年が明けて、また新たな挑戦が始まっていきました。
2021年の新たな展望
お陰様で過去の流れで2021年の1月もCMの音楽制作にメジャーアーティストのアルバムレコーディング、そしてライブ配信、ウェビナー配信、コンサート録音など多くのご依頼を頂けました。
コロナ前である前年同月比を大幅に超えることができましたので、本当に有り難いことです。
「僕らは危機の時にこそ結果を伸ばせる」と1年前に伝えたことを何とか実践することができました。
さらにいくつかの新規事業の準備を進行中
そして更にいくつかのアイディアを事業化するべく準備を進めています。
そのうちの2つは「ローンチ前に特許を取得しておいた方が良いのでは?」という話になり、段取りを取り始めています。
他にもやりたいことのアイディアが沢山
他にも多くのやりたい事業のアイディアが数多くあります。
ただし何かをするには時間はもちろんですが費用が必要です。
「費用は借りれば良い」という考え方もあるかと思いますが、僕は金融機関などから借り入れることをを長い間避けています。
昨年のコロナ融資も相当に悩みましたが見送りました。
大ピンチになるのは間違いないけど、後半に巻き返すというビジョンを持っていたので、ギリギリなんとかなるように持っていきました。
僕はそれほどメンタルが強くないので、借り入れをして資金的な余裕ができてしまうと、切迫感が無くなってしまうと考えたからです。
借り入れでのキャッシュの余裕は一時のことであり、返済も含めると後日、倍の負担になって返ってきてしまいます。
とは、言え「現在の音楽制作や配信スタイルにふさわしいスタジオ」というが世の中にまだなく、その構想と実現したいという思いもあります。
1つずつ着実に
「今、自分ができる範囲で出来ることを着実に進めていく」
僕が出来ることはそれだけです。
今描いている構想も実現できる様な資金ができた時には、間違いなく時代は変わっているはずです。
そして、その時にはまた違う構想を持っているはずです。
無理をせず、でも出来る範囲で最大限の無理をして進んでいく。
今年2021年の最後がどのようになっているかは分かりません。
また無事に生き残れるように、着実に前に進んでいこう。
今回は長い自分語り的なブログ記事になってしまいましたが、お読み頂きありがとうございました。
ではまた。
上の2つは全然更新できてないのですが…。