こんにちわ。岩崎将史です。
先日、土曜日は非常に良い録音セッションでした。
歌とガットギターのデュオでしたが、1日で録音からミックスダウンまで終わらせる事ができました。
演奏、特に歌がとても上手でしたので、録音自体は、ゆっくりと進めても早く終わりました。
スタジオ・フルハウスは、アイソレーション・ブースと言って、音を遮断して別々の楽器を同時に収録する事ができる部屋が3つあります。
今回は、DUO (2名) の編成でしたので、歌の部屋とガットギターの部屋を別にして、同時に録音。
2~3テイクが録音して、ちょっと気になる所だけ、サッとパンチインして終了です。
パンチインというのは一部だけ、録り直す、という事ですね。
部屋が別のですので、例えば、
「あ〜、50小節目だけギター間違えちゃった〜」
となれば、50小節目のギターだけもう一度弾いてもらう。
もしくは、他のテイクと入れ替えれば、録音は完成な訳です。
この録音はトラッキングという行程で、その後、ミックスやマスタリングなどという行程を経て、完成されます。
それら全ての作業を総称して
「録音(レコーディング)」
などと言われる事もありますね。
で、今回の作品、とても良いので、またCDが完成したらブログで紹介したいと思っています。
一つだけ、問題、という程の事ではないのですが、改て気づかされましたので、書きたいと思いました。
今回は
「まずはCDで販売する」
ということで、CD用のオーディオマスタリング作業を行いました。
そして、アーティストも大満足のCDアルバムが完成したわけです。
が、、、
翌日連絡があり、
「CDはどこで聴いても、とても素晴らしい、完璧な仕上がりでした。ただし、、、iTunesに取り込んで聴くと、音が数カ所だけですが割れるんです」
との事。
そうなんですよ。
フルハウスのもう1人のエンジニア、山田はいつも実家に帰宅時に兄弟達がiPhoneをオーディオに繋いでCDを聴いているのが、とても辛いそうです。
なんでこんな音で聴いているか、と。でも聴いている本人達は全然、認識できないそうです。
そこに気づいたのは、耳の良いミュージシャンならでは、なのでしょうか。
なんでそうなるかと言うと、CDとiTunesでは再生の方法やシステムが全然違う、ということですね。
CDはCDマスターの音と、基本的には同じデータが記録されますが、配信はデータを通信用に軽くするために圧縮作業が入ります。
その段階で、ある条件に当てはまると、音が歪んでしまう事があります。
Appleの変換アルゴリズムも日進月歩で、良くはなって来ているので、少しづつ気になりにくくはなってはいますが。
さらに再生環境の問題があります。
例えば、今もですが、とあるiTunesで購入した曲を聴いてみましたが、iTuensのVolumeを半分にして、アンプ出力を上げるのと、アンプ出力下げてiTunesのVolumeをMAXにするのとでは、もう全然違います。
「昭和の名曲」
なのですが、iTunesのVolume最大だと、歪んでます、、、
変換での部分に関しては、次の2つがあると思います。
- CDマスタリングと配信マスタリングは、分けて考える。
- iTunes等に取り込まれる事を想定して、CDマスタリングを行う。
最近では前者の
「CDと配信は別マスタリングをする」
という場合が多いです。
その場合、何の問題もありません。
と言いたいのですが、そうはいかなかったりします。
多くの場合、CDを購入した人はiTunesで聴くためにわざわざ、別で購入したりしません。
皆さん、CDを読み込んで聴きます。
それだと、問題は解決しないのです。
山田の兄妹達が、常に歪んだサウンドを聴いているのが、これです(笑)。
後者の場合、iTunesではバッチリですが、CD単体でみると、CDの規格を最大限使ったサウンド、とはなりません。
例えば、マスタリング時に音量を小さめに収録するとかで解決したりしますが、制作や販売サイドは嫌がります。
別に、音量レベルオーバーの爆音にするというわけではなく、CDのダイナミクスレンジをあえてフルに使わないという選択肢はどうなのか?という事です。
さらに、iTunes変換を想定してCDマスタリングをしたとしても、再生アプリなどで、フルビット以上のレベルアップやEQなどをされてしまうと割れます。
これは、もうこちらでコントロールする事は不可能です。
アプリ以降のハードウェアでの音量制御は問題ないのですが。
僕自身は、CDマスタリング時には、前者も後者も両方ありだと思っています。
アーティストのメッセージによって、変えれば良いと思っています。
ただ、その前に、、、、
これは聴く方達への、できればのお願いですが、、、、
iTunesでCDを取り込む際に
「環境設定」
を見てみてください。
「CDがセットされたとき」
の読み込み設定が
「WAVエンコーダ」
になっていれば、音声ファイルの変換は行われません(はずです)。
ので、歪みません。
今回のCDも上記を全て説明した上で、
「WAVエンコーダのままで聴いてみたらどうですか?」
と説明しました。
「試してみたら、全く問題ありませんした〜」
との事。
改めて全て説明した上で、今回は
「CD作品として、このまま出したい」
という事になりました。
予定通り、これからCDプレス工場へ搬入です。