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バランスとアンバランス【オーディオ機器のケーブル接続】

バランスとアンバランス【オーディオ機器のケーブル接続】_thumbnail DTM・レコーディング系ノウハウ
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岩崎将史まさふみです。
バランスとアンバランスにいて。

オーディオ・インターフェイスやマイクなどを使おうとすると、接続のコネクターの種類が沢山ありますよね。
形をみれば繋がる繋がらないが一見して分かりそうです。
が、そうでもなく実際には間違った繋ぎ方をしている人も結構います。

例えばこれ。

どちらもこのようなコネクタに繋がりますが、実は全く違う規格です。
そしてたちの悪いことに、どちらを繋いでも音がでてしまう事が多いです。

そのため気づかずに使っている人も多いです。
僕も10代のときは知らなくて間違った接続を結構やっていました。

正しく繋がないと本来の性能、音の良さを発揮できません。
この違いについて解説します。

YouTubeにもしてみましたが、長くなっちゃいました…^^; ブログの方が読みやすいと思います (反省)

バランスは業務用。アンバランスは民生用

まず今回の話はアナログ信号で音声信号を伝送する場合の話です。
デジタルの場合は全く違いますので、今はデジタルの話は忘れてください。

凄く乱暴に書くとバランスは業務用です。
プロフェッショナルなスタジオ機器は全てバランス接続です。

と書くと絶対に本職エンジニアやオーディオ・マニアが突っ込みを入れてくるかもしれません。

実際のスタジオやコンサートの現場では状況に合わせてどちらも使います。
が、まずはバランスは業務用、アンバランスは民生用と理解して頂いて問題ありません。

今回は最近、音楽や動画の制作、配信などを始めた人向けに限界まで分かりやすく書きます。
オーディオ・インターフェースを買おうと思っている、あるいは買ったのでこれから使えるようになっていきたい人向けです。

詳細すぎる話やイレギュラーな話を混ぜると初心者には本質が伝わらなくなります。

ですので、あえてシンプルに分かりやすく書きます。

バランス接続は長いケーブルでもノイズに強い

バランス接続が業務用に使われる理由は1つです。
長く引き回してもノイズに強いから。

ミュージシャンによっては楽器に使うケーブルの事を「シールド」と呼ぶ人がいます。
僕の周りではギタリストやベーシストに多いです。

なぜシールドと呼ぶかということ、ノイズから守ってくれるシールド構造になっているケーブルだからです。

こんな感じで全体が金属の網で覆われています。
これにより外部からのノイズの影響を抑え込んでくれます。

シールド・ケーブルのコネクタを接続する動画がありましたので貼っておきます。

ケーブルの中の芯線がもうひとつ別の金属で囲まれているのがわかると思います。
この包んでいる線がシールドなのですが、グランドアースなどとも呼ばれます。

このコネクタとケーブルはアンバランス接続と言います。
芯線が1本ですので、必ずアンバランス接続になります。

芯線とシールドで2本?

あれ?芯線とシールドで2つ繋がってる…

シールドは芯線に含めないでください。
シールドはケーブルを覆ってお互いの楽器や機器を繋いでいるだけ。
音声の信号は一切流れません。

楽器用のケーブルとしてはこれで十分ですが、スタジオやコンサートの現場では不十分なので、このシールド構造にさらにバランス接続という機能を持たせています。

ノイズに強い仕組み

バランスがノイズに強い理由はズバリ「逆相の音を送って最後に混ぜているから」です。
順番に解説します。

音は空気の粗密の振動です。
マイクやオーディオ機器はその空気の振動を電気信号に置き換えています。

バランス伝送というのは、この電気信号を2つに分けて送ります。

そのため業務用のマイク・ケーブル、オーディオ・ケーブルは3つの接点があります。

1つ目は電気信号をそのまま伝送します。これをHotと呼びます。
2つ目は電気信号を逆相にして伝送します。これをColdと呼びます。

業務用で主に使われるケーブルのコネクタはXLRと呼ばれるこのタイプです。

3つのピン、つまり接点があります。

XLR オス を正面から見た図

Hotは音声信号を正相、Coldは音声信号のプラスとマイナスを反転させる逆相と呼ばれる状態にして送ります。

このHotColdの両方を送る方法をバランス伝送、もしくはバランス接続と呼んでいます。
今はこれだけ理解してください。

現在では図の様に2番ホットが主流です。そうでない場合もあります。

ノイズ成分だけを消す仕組み

なぜ、HotColdの両方を使うとノイズ成分だけを消すことができるのでしょうか?
次の2つのポイントを理解すれば簡単です。

  • ノイズの発生する理由
  • 正相と逆相を組み合わせると音が消せる

ノイズが発生する理由

電気信号に対して外部の電気的なノイズが影響を与えることがあります。
この電気的なノイズは同じ方向に影響を与えることがほとんどです。

正常な状態でサイン波の音(電気)が流れているとします。
図にするとこのような感じです。

ここに何らかの要因でノイズが発生したとします。

芯線が1本だとこのノイズは乗ったままです。

HotColdで逆の相で送っている場合、ノイズは上図の様に乗ります。
ノイズ成分の波形がHotとColdで違うように見えるかもしれませんが、目の錯覚か僕の描画スキルの問題です。
基本的には同じ形でノイズは発生します。

伝送先でColdの信号を再び反転させてHotと合わせると、ノイズ成分だけを消すことができます。

バランスとアンバランスの見分け方

バランスとアンバランスのコネクタやケーブルの見分け方は簡単です。

接点の数で見分ける

1つは接点の数です。
接点とはプラグの電気が流れる部分で、電気が流れない絶縁体が挟まってお互いに干渉しないようになっています。

標準PHONEプラグの場合

接点のことを極とも呼び、2つの接点があるプラグを2極とか2P、3つの接点があるプラグを3極とか3Pと呼ぶ場合もあります。

名称が変わる

少しややこしいのが、このプラグの場合、3つの接点の名称が変わります。
XLRでは、Earthアース, Hotホット, Coldコールドでしたが、プラグの先端から、

  • Tipティップ
  • Ringリング
  • Slaveスリーブ

と呼びます。


そしてこのタイプのプラグの名称は、頭文字を取って

  • TRSプラグ
  • TRSフォーンプラグ
  • TRS標準フォーンプラグ

とも呼ばれると同時に

  • 3Pプラグ
  • 3Pフォーンプラグ
  • 3Pフォーン標準プラグ

などと色々な呼ばれています。
全て同じものですので、頭を柔らかく本質を理解してください。

各オーディオ機器メーカーの記載もそれぞれです。
TRSと表記するのが正確ですが、対一般ユーザー向けに3P、標準フォーンなどと記載している場合があります。

3Pでもアンバランスはありえる

TRS 3P フォーンのモノラルとステレオでの役割の違い
TRS 3P フォーンのモノラルとステレオでの役割の違い

モノラルの音声なら1つの音声は2つの接点があれば送れます。
それぞれがケーブルの中で別の線に繋がっています。
1つは音声信号線でもう1つはシールドなのです。

実はこのタイプのプラグの場合、3つの接点のそれぞれの名称が違います。
が、今はそれは気にしなくて良いです。仕組みだけ理解してください。
また、別な機会に解説します。

ステレオケーブルなら3つの線で音声を送れます。
1つ目が左のチャンネルで、2目が右のチャンネル。
3つめがシールドです。

2Pはアンバランス。3Pはモノラルならバランス

初心者の方は、次のように理解するのが簡単です。

  • 2つの接点でモノラルならアンバランス伝送
  • 3つの接点でモノラルならバランス伝送
  • 3つの接点でステレオならアンバランス伝送

まずはこれだけでOKです。
要するに、2Pはアンバランス3Pはモノラルならバランス ということです。

4P以上のコネクターやケーブルもある

世の中には5極や5ピンといって、5つの接点があるコネクタとそれに対応したケーブルもあります。
そういったタイプはそれほど使用頻度は多くないので、まずは頭から外して基本的なことだけに集中して頂いて大丈夫です。

5ピン・タイプのケーブル用コネクタ例

一般的に良く見るコネクタの見分け方

そして、一般的に良く見るコネクタの見分け方です。

バランス接続とアンバランスの接続のコネクタ一覧
バランス接続によく使われるコネクタ

XLR

TRS

D-sub 25 pin

アンバランス接続によく使われるコネクタ

TS

ステレオ・ミニ

RCA ピン

TRSタイプのプラグでもヘッドホンはステレオ伝送ですのでアンバランスです。

ステレオ・ミニはTRS3.5mm という方が正確です。
が、実際の商品説明ではステレオ・ミニとなってしまっていることが一般的です。

線の数で見分ける

プラグの接点の数で判断する方法が1番簡単ですが、たまに騙す作りになっているケーブルもあります。

プラグは3極だけれども実は1つは何もつながっていなくて、線は2本しか通っていないというパターンです。

このタイプのケーブルも必要な場合があります。
ですが、あまり使用頻度は多くないので、スタジオや音響の現場でも特殊なケーブルとして通常のケーブルとは別に管理されていることが一般的です。

こういったケーブルも中にはありますので、プラグだけを見て判断すると間違えることがある、という事は知っておいてください。

XLRだけどアンバランス伝送のケーブルの例

こんなケーブルもあります。

こうしたケーブルを見分ける必要はいくつかあります。

上記の場合は片方が2Pですので、この時点でアンバランス確定です。

テスターを使って調べる

ですが、3Pでも1つの線が繋がっていなくて、アンバランスになっているという場合があります。

そういう場合に最も理解しやすいのはコネクタを分解するです事です。
ただし、いちいち分解していると戻すのも大変ですし、接点が取れてしまう場合もあります。

そのため、こうした場合には一般的にはテスターというのを使います。

デスター

テスターは電気回線が接続しているかやどの程度の電気が流れているのかを測る機会です。

テスターでHot同士、Cold同士をそれぞれ結合させて接続されていることを確認した、伝送元のHotと伝送先のColdが繋がっていないことを確認できればOKです。

間違いなくバランスケーブルということになります。
ステレオ伝送として使わない限り。

テスターをamazonで探す

オーディオケーブル専用のテースターもある

テスターは自宅のコンセントなどオーディオ用ケーブルやコネクター以外もチェックできるので便利です。

ですが、もっと簡単にオーディオ・ケーブルのチェックができるオーディオケーブル専用のテスターもあります。

コネクタの両端を差し込むだけで、導通しているのかなどが直ぐに確認できます。

便利なケーブルテスター
サウンドハウス

BEHRINGERベリンガー / CT100 Cable Tester ケーブルチェッカー

サウンドハウス

MACKIEマッキー / MTest-1

サウンドハウス

dbx / CT3 ケーブルテスター

バランス接続の機器にしておけば永く使える

オーディオ機器を購入する際に、入力、出力のコネクタや規格が何か?というのを確認するのはとても重要です。

僕の意見としては「バランスの入出力を必ずチョイスしよう!」です。

バランス接続で機材を揃えていけば、かなり末永く使えます。
プロの機材は基本的にバランス接続ですので、自宅やプライベートスタジオだけでなく、ライブやコンサートの現場など何処へ行っても対応できます。

大体、こういう物はやりだすと少しずつこだわりが出てきます。
アンバランスの機材は遅かれ早かれ、レベルアップと共に不都合がでてきます。
という経験を僕自身、20~30年前に経験してきました。

オーディオ・マニアではアンバランスの方が良い意見もあり実際に僕もアンバランスの機器もポイントポイントで使っています。
が、ひとまずそんなマニアな話は無視して頂いて大丈夫です。

ということで、バランス接続とアンバランス接続についてでした。

ではまた。

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