岩崎将史です。
アレンジはどうやって勉強したら良いですか?
前回の話の続きにあたりますして、今回はポップス系の場合。
クラシカルな基本スキルの上に積み上げる
クラシカルな基礎は絶対必要ですよと前回は書きました。
上記記事では古典的なオーケストレーションを学ぶための教材について書いています。
その上で、ポピュラーアレンジの学ぶのが良いです。
クラシカルな基本を見につけつつ、重要なのはアナライズとそれをひたすら自分の作品に取り入れていくことです。
アナライズとは?
直訳すると分析です。
その曲がどのようなアレンジになっているかを徹底的に解析していきます。
最終的には自分でアナライズできるようになるべきですが、最初は教材で学ぶのが手っ取り早いです。
オーケストレーションと同じく解説してくれているような書籍があります。
サミー・ネスティコ先生「コンプリートアレンジャー」
色々あると思いますが、僕が某専門学校で指導していたときに資料として選んで使っていたのがこの本です。
サミー・ネスティコ先生のコンプリートアレンジャーという本です。
サミー・ネスティコ先生については書くまでもないですが、一応Wikiよりプロフィール。
CDも付いていて手書きの楽譜を見ながらセクション毎に各曲のアレンジの実例が解説されています。
この本は既に絶版らしく上記に貼ったアマゾンのリンクは中古のみのようです。
金額見てビックリの何と6万円!!
仲間ミュージシャンでも探している人がいましたが、こういう事になっているのですね…。
僕が買った1990年代は1万円ちょい位だったような。
他にも良い本はあると思います
おそらく他にも良い本はたくさんあると思います。
僕は今は指導をメインにはしていないので、あまり詳しくないです。
スタッフへの勉強会も手持ちの物で事足りたりしていますして…
楽譜通りにコピー&シミュレート
解説を読んで「ふむふむ、なるほど」も大事ですが、1番大切なのは、載っている楽譜に通りにMIDIシーケンスを入力します。
音楽は体に身につけるべきという観点から、実際に演奏してリアルタイム入力をするのが絶対に良いです。
MIDIキーボードを演奏し入力。
音域、ハーモニー、アーティキュレーションなどあらゆる要素を実際にアンサンブルを組立なら学んでいきます。
生演奏のCDが付いているので、聴きながらそっくりにしていくとかなり勉強になります。
基本は耳コピでの完コピ
書籍で学びつつ、なんだかんだ言って1番勉強になるのは耳コピによる完コピです。
めっちゃ勉強になった耳コピカラオケ制作
僕が凄く良い経験をさせてもらったのが1990年代にめちゃくちゃ沢山の数の仕事があった通信カラオケのデータ作成です。
同世代の音楽クリエイターの皆さんが通った道だと思います。
- 送られてきたDAT(デジタルテープ)を聴いて全てをフルスコアに書く
- それを元にMIDIシーケンスデータを入力し演奏を完全に再現
- ミキシングを行い音量や定位などを同じ様に再現する
これを学生時代は週1曲ペースで作業していました。
大御所のアレンジャーやヒット作がどのようなアレンジになっているかを、お金を頂きながら学べるので良い仕事でした。
普段から勉強も兼ねた趣味として
そういった仕事の前から耳コピ完コピ作品はノルマを決めて作っていました。
オリジナル2曲作ったら必ずコピー作品は1曲作るみたいな感じで決めていました。
週イチくらいでは制作していたと思います。
今でも自分にとってあまり接点の無いジャンルの仕事が来たときには、まずはいくつかコピーしてその音楽のエッセンスを体にインプットするようにしています。
耳コピが難しい人は完全スコアを手に入れて
耳コピが良いですが、難しい人は完全スコアを手に入れて完全に再現するというのも勉強になります。
ただし気をつけなければいけないのは、
巷で売っているポップス系のフルスコアは嘘が多い
です。
それも含めてコピーしながら新たな発見や気づきを見つけるのが良いです。
今でも仕事の基本は耳コピ
今でも仕事の基本は耳コピです。
耳コピ作業自体が求められる事もありますが、あらゆる工程において脳の中で鳴らした音を形にするという意味でひたすら耳コピの連続ともいえます。
特にアレンジのオーダーでは、まず何かしらの耳コピ作業は必須。
お金貰ってついでに勉強できるので、こんな美味しい仕事は無いです。
既に今年も完コピ作品を作りました。
某友人から「〇〇さんに聴かせてもらったんだけど、めっちゃ凄すぎて〜」的なメッセージを頂いたり。
今の若い世代は僕らの頃より耳コピ習慣がないのか、仕事をお願いしてもそのあたりで難しい事が多いです。そうした訓練がなくても自分のオリジナル作品を簡単に制作できてアウトプットできる時代ともいえます。
そうした環境がある事自体はとても良いことだと思います。が、耳コピできてない部分は自分の作品でもやっぱり聴こえてないんですよね。
もったいないなぁと思うことが多いです。
ということで、参考になったか分かりませんがこの辺で。
ついでに、当時は1曲あたりの単価が良く機材投資が進み今の会社の数パーセンと原資となっていきました。