岩崎将史です。
音楽のビジネスの世界では、次の3つのワードが良く出てきます。
- 事務所
- 音楽出版社
- レコード会社
音楽業界と言っても広いので、この3つ以外にも多々ありますが、この3者について説明しなければならない機会がそれなりにあります。
この「3者の役割の違い」について、誰もが理解できるように超絶ザックリとマトメて解説します。
初心者向け 難易度レベル
の記事です。扱う商品が違う
この3つはそれぞれ取り扱う「商品」が違います。
3者が扱う商品をシンプルに説明すると、こんな感じです。
- 事務所 → 人
- 音楽出版社 → 著作物
- レコード会社 → 録音原盤 及び 複製
「なんとなく分かるような、分からないような」という感じかと思います。
少し深堀りしていきます。
3者の役割の違い
3者の役割の違いをそれぞれ簡単に解説します。
事務所
一般的に「事務所」と呼ばれるものは、様々な呼ばれ方をします。
- マネジメント事務所
- タレント事務所
- アーティスト・プロダクション
- アーティスト・マネージメント
などなど。
他にもあるかも知れません。
所属アーティストやタレントの方向性や活動内容によっても色々な呼ばれ方をしますが、機能としては似たようなものです。
僕は音楽の専門家ですので、ここは「音楽アーティスト」に絞って説明します。
ですが、他の分野でも基本はそれほどは変わらないかと思います。
扱う商品は「人」
事務所の主な役割としては、
- アーティスト宣伝する
- 仕事を受注する
- スケジュール管理をする
などがあります。
アーティストと専属契約を交わし、肖像権なども管理しながら「人」を売っていくビジネスです。
事務所の主な収益
主な収益としては、
- ライブを行う
- イベントなどに出演する
- グッズを販売する
などの業務で上げていきます。
めちゃくちゃザックリとマトメています。
それぞれの業務を掘り下げていくと深くなるので、今回は解説しません。
事務所は「人を扱うビジネス」が中心ということが「なんとなく理解」できていればと思います。
音楽出版社
次に音楽出版社についてです。
音楽出版社が扱うものは「著作物」です。
音楽の著作物とは
著作物とは簡単に書くと、次の2点です。
- 歌詞
- メロディー(旋律)
この2点からなる「著作物」をビジネスとして運用していくのが「音楽出版社」です。
音楽著作物の営利運用の種類
「著作物」は様々に方法で営利運用が可能です。
- 楽譜化
- 録音化
- ライブ演奏化
- 放送化
- カラオケ化
- インターネットでの利用
他にもあるかもですが、パッと思いつくだけでも上記の様に実に多様な使われ方があります。
著作者より著作権を譲渡される
音楽出版社は著作者である「作詞家」「作曲家」から著作権を譲渡されます。
そししてそれらを営利運用していくのが「音楽出版社」です。
「譲渡される」といっても「著作者」に以後の運用分収入がなくなる訳ではありません。
契約内容に従って収益は分配されます。
レコード会社
レコード会社は主に「録音原盤」を取り扱うビジネスを行う会社です。
録音原盤とは?
録音原盤とは「録音されたマスター音源」のことです。
音楽は物として形のあるものではないので、そのままでは商品化できません。
著作物としては「歌詞カード」「メロディー譜」の2つが一般的には作られます。
この2つを一般の人に届けたところで、音楽として楽しむことはできません。
音楽の著作物は、もう1段階の手を加えることにより初めて一般の人たちが楽しめる状態になります。
商品化の1つの方法が「録音原盤の制作」です。
- 編曲
- 演奏
- 録音
などを行うことによって最終的に聴いて楽しめるようになります。
こうして出来た原盤を「複製」することにより、多くの人に音楽を「音」として届ける事ができるようになります。
録音原盤を使ったビジネスの種類
完成した「録音原盤」を「複製」してビジネスを行う方法は実に多彩です。
- 音楽ストリーミング
- 音楽ダウンロード
- CDなどの録音物パッケージ販売
などが主に行われています。
他にも様々な方法がありますが、今回の記事は、
- 事務所
- 音楽出版社
- レコード会社
の3者の役割の違いを知って頂くことがテーマですので、詳細はまた別の機会にしたいと思います。
まとめ
以上で、次の3社の役割の違いを理解して頂けましたでしょうか?
- 事務所
- 音楽出版社
- レコード会社
理解すると、
そもそも、何で3者に分けてるの?
まとめて1者が全部やれば良いのでは?
という考え方が湧いてきます。
それはその通りです。
近年では全てを行うような場合も出てきています。
なんで3者に分かれているのか?という理由は近代以降の音楽ビジネスの成り立ちの歴史にあります。
その当たりもブログにマトメていくつもりですが、まずは「3者の違いを理解した」ということで、今回は終わります。
ではまた。