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舞台の幕【ステージ・カーテン】について

舞台の幕についての解説記事音楽の学び
この記事は約8分で読めます。

岩崎将史まさふみです。

舞台には色々な幕があります。
幕について解説します。

幕の配置

今回、解説するのは日本国内の公共施設ホールで一般的な多目的ホールの幕で解説します。

多目的ホールは講演、演劇、音楽公演、歌舞伎、ミュージカルなど様々な舞台に幅広く対応できるように様々な幕のルーツが組み合わさっています。
多目的ホールは何でもできるぶん、全てが中途半端とも言えますが、幕について理解する上では良い方式のホールです。

それぞれの専用劇場、専用ホールではそれぞれの公演に必要な最低限度の幕だけが設置されています。

それぞれの幕の説明

それぞれの幕について解説します。

舞台全体の幕

緞帳

緞帳については長くなりますので、別記事にしてあります。

暗転幕

舞台の暗転のために使われる幕です。

暗転とは

暗転は観客に見えないように舞台セットを変更、転換することです。
通常は照明を落として暗くした状態で行います。

大掛かりな転換ではある程度の明かりが必要で、照明を落とした状態では難しい場合があります。
そのような時に暗転幕を使います。

暗転幕を使った転換の流れ
  1. 舞台の照明を落とし真っ暗にする
  2. 暗転幕を降ろす(一般的に暗転幕は黒で観衆からは見えにくい)
  3. 舞台上だけ明かりを付ける(観衆からは見えない)
  4. 舞台上の転換作業
  5. 舞台上の明かりを消す
  6. 暗転幕を上げる

緞帳を暗転に使う公演も見たことはありますが、緞帳の本来の意味は舞台の開始と終了ですので、本番中の舞台転換を見せたくない場合は暗転幕を使うのが一般的です。

反対語の明転

暗転の反対は明転隠さずに舞台転換を見せることです。
舞台が暗い状態から明るくする事ではありません。
が、知っていてわざと照明さんに「明転して」とオーダーを出す人もいます。

定式幕

歌舞伎座 緞帳披露のあとの定式幕を引く様子

暗転用に使われる幕を歌舞伎の世界では定式幕と呼ぶようです。
そのため多目的ホールでも定式幕と呼ぶ人がいます。

定式幕についても緞帳の記事でも解説しました。
黒、柿、萌色の3色が使用される片引幕方式です。

舞台上部の幕

一文字幕 (株式会社ナカヤマ)

舞台上部の幕の役割

舞台上部の幕には2つの役割があります。

  1. 舞台上の照明などやバトンなどの吊物機構を隠すため
  2. 上部の見切れ具合や、舞台開口部の高さを調整

学校の講堂や体育館などでは中央に校章が刺繍されているのが一般的です。

多目的ホールには上部に幕が設置されていますが、ライブハウスやコンサートホールにはまずありません。
ライブハウスでは照明や照明を吊るバトンが見えるのが格好良いとされています。
コンサートホールでは幕を使うことにより建築音響効果が損なわれてしまいます。
一部響き過ぎるホールなどでは幕で調整することもありますが、一般的なホールの幕の役割とは全く違う者となります。

複数の名称 (一文字幕・水引幕・霞幕・水引幕)

上部の幕の名称は3つあります。

  1. 上見切幕
  2. 一文字幕
  3. かすみ

困ったことに3つとも同じ幕を指します。
本来は意味合いが違ったとようですが、次のような理解が一般的です。

  • 機能的な意味で上見切幕
  • 関東地域では一文字幕
  • 関西地域では霞幕

上の見切れ具合を調節するので上見切幕です。
一の漢字のように横に長いので一文字幕
霞幕浄瑠璃歌舞伎から来ているうようです。

この3つだけなら良いのですが、困ったことに水引幕と呼ぶ人もいます。
水引幕というと一般的には大相撲や葬儀、暖簾などで使われています。

水引幕 (ティア)

人によって舞台上での言い方が違いますので、若い人は大変ですが臨機応変についていくことが重要です。

軸幕と記載する例も見られますが、袖幕を軸幕と記載する例も見られますのでここでは省きます。

機構

上部幕の機構については幕屋さんのサイトに詳しく書かれていますので、そちらのリンクを張りつつ、簡単に解説します。

複数の幕が吊られている

複数の一文字幕が吊られている
複数の一文字幕が吊られている

上の図はホールの舞台側面図です。
天井バトンに3枚の一文字幕が吊り下げられています。

各幕の後ろに照明やバトンが吊り下げられ客席から見えないようにします。
看板や幕などの大道具も隠すことができます。

複数の一文字幕の呼び方

見ると第1文字幕第2文字幕第3文字幕と記載されています。
舞台の現場ではこのように呼ばれる事があります。

そのため一文字幕文字幕だと理解している人もいますが間違いです
一文字幕の語源は「口を一文字にする」の一文字と同じです。
一の字のように横に1本なので一文字幕と言います。

というのを理解していた上で、センスよく2文字幕、3文字幕と呼ぶのがセンスです。

正しく表記されているホールでは、第1一文字幕第2一文字幕などとなっています。

舞台の横の幕

舞台側面には客席から舞台の袖中が見えないようにする幕があります。

複数の名称

舞台横の幕も複数の呼び方があります。

そでとは?

舞台横の客席からは見えない(ようにする)スペースです。

  • 袖幕
  • サイド幕
  • 見切幕
  • 脇幕

元来は詳細な使い分けがあったのかも知れませんが、現在では全て同じ意味で使われています。
大変ですが現場に合わせてついていきましょう。

袖幕→舞台袖に吊ってある幕
サイド幕→舞台サイドに吊ってある幕
見切れ幕→舞台袖が見切れるように吊ってある幕
脇幕→舞台脇に吊ってある幕

という様に名前の由来を類推しています。

一文字幕と同様に、一部では軸幕という表記もみられますが、ここでは省きます。

また観衆から見える一番前の幕を袖幕と呼び、2枚目以降の億の幕をサイド幕や脇幕などと呼ぶ物もあり、この方が正確なのかも知れません。
が、ホール平面図の表記はホールごとにバラバラです。

源氏幕という言い方も

一番前の部分を一文字幕と合わせて源氏幕と呼ぶ場合もあります。学校の体育館などでは裾に刺繍がしてあります。

紅白幕の由来は源平合戦から来ているという説がありますので、その流れ?とも想像しますがよく分かりません。
知っている人いたらご教授ください。

源氏幕

舞台横の幕の配置

会場ごとに配置や枚数は異なります。

大きな舞台では複数の袖幕があります。
舞台前から、

  • 第1袖幕(1袖)
  • 第2袖幕(2袖)
  • 第3袖幕(3袖)

などと呼びます。

3~5列目の袖幕は?

上図の3~5列目の袖幕は袖幕として扱っても問題ないです。が、中割幕バック幕を袖幕として機能させているホールもあります。そのあたりはホールによって違うので会場ごとに臨機応変に対応しましょう。

上図の様に後ろに行くほど長くしていき客席から袖中が見えないようにしています。
特にかぶりつき上下かみしもからは中が見えやすいので確認が欠かせません。

かぶりつきとは?

客席最前列をかぶりつきと呼びます。一番前でかぶりいて見えるという意味と歌舞伎の水掛けから水よけの被り付きが生まれたという説があります。

袖中は舞台に明かりが漏れないように暗くなっています。
舞台への出履ではけでは袖を通るのが見にくく危険な場合もありますので注意が必要です。

脇幕で追いつかないときは

脇幕で舞台袖中を隠しきれなかったり、明かりが漏れてしまう場合は駄目幕というの使います。

駄目幕は東西幕という場合もあります。

昔は舞台は南に向かって作られており、舞台の東と西にある幕なので東西幕と推察しています。

ただし歌舞伎の世界では、定式幕東西幕とも呼ぶそうでこれは混乱しますね。
舞台の東と西をまたぐ幕だからだと思われます。

このことからも東西幕はあまり使わないほうが良い気がします。

舞台中の幕

中引幕

舞台後方だけど転換させたい場合に使います。
第2の暗転幕とも言えます。
舞台中央から上下かみしもに開く引き割り式のため引割ひきわりとも呼ばれます。

複数の引割幕がある場合は、場所によって前引幕中引幕後引幕などと呼び分けます。

舞台の後方を隠す幕

舞台後方の幕には多目的ホールでは後引幕ホリゾント幕があります。

後引幕・大黒幕

後引幕は先程の中引幕と同じ構造、舞台の最背面のホリゾント幕の前にあります。

学校の後引幕 (Living SANAI)

学校などではこの写真のように他の幕に揃えた色がついています。
多くの多目的ホールでは真っ黒な生地が使われ大黒幕おおぐろまく、通常はおおぐろと呼ばれます。

大黒を閉じた状態で準部中の舞台

後述するホリゾント幕を隠す幕で、真っ暗な暗闇を演出する際などに使われます。

ホリゾント幕

ホリゾント幕は舞台の最後方に位置する幕です。
照明のライティングによる様々な演出効果に使われます。

幕の最下段に鉄の棒を仕込みシワにならないように吊り下げています。
上部で青空や夕焼けを表現し、下部を緑や地面などを表現することが多いためホリゾント幕と呼びます。

ホリゾントとは?
サンタモニカ / SANTA MONIKA 1984 教科書表紙 (鈴木秀人)

ドイツ語のHorizont (地平線) から来ています。英語はHorizon。僕ら世代でHorizonと言えばコレですよね。

舞台専門家でなくても知っておくと役に立つ幕の知識

今回は舞台の幕について解説してきました。

僕も舞台の専門家というわけではありません。
が、音楽プロデューサーでもある観点から、色々とコンサートやライブを企画したり、クライアントのイベントの舞台監督やディレクションなどを依頼される場合もあり、幕について指示をすることがあります。

音楽の場合、演劇やミュージカルなどと違ってそれほど幕の重要性は高くないです。
が、知っておくと色々と役に立つシチュエーションがあります。

読んで頂いた人にも何かの役に立てば幸いです。

では、また。

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