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舞台での長さ・高さ・広さの単位【寸・尺・間】尺貫法

舞台での長さ・高さの単位【寸・尺・間】尺貫法 音楽の学び
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岩崎将史まさふみです。

舞台では物の長さや広さは尺貫法の長さの単位を扱うのが一般的です。
何故か?どんな単位なのか?どんな物に使うのか?
できるだけ分かりやすく書いてみます。

長さの話で重さは別

尺貫法と言うと厳密には、長さ=尺重さ=貫の両方の単位の事を指します。
舞台では長さの単位でこの方法を使います。
重さの単位としてはまず使いませんので無視してください。

舞台では尺貫法

日本の舞台では使う長さや高さ、広さや大きさなどの数量を表すのに一般の人が使い慣れているメートルではなく寸・尺・間という単位で表現します。

この表現方法を尺貫法と呼びます。

舞台機構、照明、音響などの舞台で使う道具は全て尺貫法で統一されています。

寸・尺・間の長さは?

尺貫法を同じ長さの別単位やメートル法に置き換えると下記表になります。

単位同じ長さmmミリメートル表記での長さ
1間6尺1,820 mm
1尺10寸303 mm
1寸30.3 mm

1寸の長さ

現在の1寸の正式な長さは、明治時代に定められました。
それ以前は詳細に定義はされていませんでした。

明治時代に1尺=33分の10メートルと定められました。
1寸は1尺の10分の1ですので1/33メートルが現在での正確な値となります。
1/33メートルである1寸約30.303 mmになります。

1寸3cm と覚えていれば、実際上はまず問題が無いです。

一寸法師いっすんぼうしの身長

どうても良い話ですが、一寸法師の身長は3cmちょっとということだっでのしょう。(推察)

舌先三寸は9cmちょい?

もう一つどうても良い話ですが、舌先三寸という言葉が気になってしまいました。
調べた所、舌先が9cmと長い言葉巧みにという意味でのようですね。参考

1尺の長さ

寸と同じく現在はの正確な値は明治時代に定められました。
1尺=33分の10メートルですので、303mm (30.3cm)です。

身長は寸尺が一般的

昔の小説などでは、人の身長を表すのに寸尺で表現されています。今の単位で置き換えると170cmということになります。が、当時の作家がその単位で表記していたかは謎ですが。

  • 白い巨塔「財前、五尺六寸」→ 170cm くらい
  • 竜馬がゆく「坂本龍馬、5尺8寸」→ 176cm くらい

1間の長さ

1間は6尺です。
こちらも明治時代に定義されました。

1間は正確には1.818 181 818mです。
一般的には1820mmと表記されることが多いです。

明治時代より前は微妙に違う

安土桃山時代より以前は1間=6尺ではありませんでした。
織田信長の時代には1間を6尺5寸として領地を測っていました。
豊臣秀吉の太閤検地では1間=6尺3寸と定めて行っています。
その時に使用した竿を6尺3寸竿と呼びます。
その後、徳川家康の時代になると1間=6尺と定めるようになりました。
そのため今でも京間と江戸間と呼ばれ1間がそれぞれ1,909mmと1,757mmで違います。現在の1818mmは中京間と呼ばれます。

なぜ寸・尺・間なのか?

なぜ?納得できない

なぜメートル法ではなく尺貫法なのでしょうか?

  1. 舞台においてはメートル法よりも便利
  2. 舞台や大道具は大工さんが作るから
  3. 舞台や大道具に合わせて色々な物事が決まってるから

ずばりこの3つだと僕は考えています。

メートル法よりも舞台では便利

慣れるとメートル法よりも舞台を運用する上では便利です。
ドラムを置くのに1.8メートル4方でと言うよりも1間四方でと言ったほうが把握がしやすいです。
あと、人がいるスペースの事を、「寝て1畳、立って半畳」などと言いますが、3尺の910mmが人が無理なく立ったり座ったりできるスペースになっています。
1畳=3×6尺と覚えて頂いて問題なく、一般の廊下やドアなども大体この広さを基準に設計されています。

1畳の単位

1畳も尺貫法を踏まえて定義されていますが、畳は歴史があるので先程書いた1間の基準と同様に歴史上の流れから基準がいくつあります。

  • 京間(西日本エリア):191.0cm × 95.5cm
  • 中京間(東海エリア):182.0cm × 91.0cm
  • 江戸間(東日本エリア):176.0cm × 88.0cm
  • 団地間(エリアに関係なく多くの団地で採用):170.0cm× 横 85.0cm=1.44m2

などがありますが、面倒くさいので中京間で理解しています。
それならボードの大きさと同じ現在の3×6サブロクになります。

詳細→SUUMO:1畳(イチジョウ)の意味・解説

舞台や大道具は大工さんが作るから


2つめの理由は舞台≒建築との関わりが強いからです。

例えば飲食店にパフォーマンスができるように舞台を作ろうとします。
造作は大工さんが建築部材を使うことになります。

大工さん
大工さん

舞台ぐらい朝飯前よ!
広さは何間何尺にする?

大道具なども同じく建築部材を使います。

建築の世界では寸・尺・間が基本

全国的に値を統一したのは明治時代です。
が、それ以前の古来から日本だけではなく東アジア全般で尺貫法は使われていました。
長さの詳細な定義は各国で違いますが、建築の世界では今でもこの基準で各部材が作られています。

プラスターボードや木板など

家の内装材で使われるプラスターボードや木板、合板などは全て3×6サブロクと呼ばれるサイズで販売されています。
ホームセンターなどにいくとそのサイズで並んでいます。

3尺 x 6尺 のサイズになりますので、910mm x 1820mm というサイズになります。
長い方は6尺ですので1間となります。

柱用の角材なども3尺や1間の単位で販売されています。

大抵の家やオフィスはボードの上にクロスを貼ってしまっているので見えませんが、学校の教室や音楽室などだとサブロクのパネルが貼られているのが分かることもあります。

壁クロスの中身は3×6のPBプラスターボード

家のリフォーム中や建築中などだと分かりますが、壁材として貼られているボードは全て3×6となっています。

床に貼るタイルカーペットなども 30cm x 30cm というものが主流で、これは1尺を基本としています。

尺貫法の起源

尺貫法の起源については色々な説があります。
東アジア全域で使われていますが、時代や地域で少しづつ違いがあります。

人体の前腕を尺骨しゃっこつと言いますが、その長さを尺としていたという説が有力です。

尺骨 (wiki)

このような人体を基準にするという計測方法は身体尺と呼ばれ、東アジアだけでなく世界各地でありました。
古代ローマでも肘から中指の先までをキュビットと呼び、長さの単位になっていました。

身体尺は個人差があります。
そのため多くの国ではその時代ごとに、有力者の身体、大抵は王やそれに類する人物を基準にして決められ運用されていました。

寸・尺・間の使われ方

舞台では様々なもので尺貫法が使われています。

舞台平面図

コンサートやライブの制作で絶対に扱うものが平面図です。

一般的にはホールの平面図は上記画像のように尺貫法を基準としています。
舞台上の1マスが通常は1間四方となり右下に「1マス=6尺」と記載されています。
3×6のボードの大きさがイメージできていると、1間は3×6を2枚並べた正方形の大きさですので舞台上の広さ感覚を理解しやすくなります。

ホールによっては1マスを3尺で表現している平面図もあります。

近年はメートル表記も

最近では一般の方にも分かりやすいようにメートル表記の平面図を用意するホールも増えてきました。ただしメートル表記だと不都合も多いので、舞台に携わる人であれば尺貫法にも慣れておきましょう。

平台

平台などで組んだひな壇 (e-koya.com)

ホールには必ず置いてある平台
よく使われるものは3×6サブロク4×6ヨンロクなどで、尺貫法です。

箱馬

箱馬 (イベント21)

こちらもホールには必ず置いてある物です。
平台などの高さを調節するのに使います。

サイズは1尺x1尺1寸x6寸などと尺貫法です。

平台や箱馬以外にも色々なもので尺貫法は登場します。

寸・尺・間の覚え方

人によってオススメの覚え方があるとは思いますが、気の利いた方法は僕はあまりしらないです。
筋を理解すれば勝手に頭に入るし、それが一番近道だと何事も考えていますので、正攻法で。
だと思いますが…。

1間=1820mmを覚える

3×6サブロク = 910mm x 1820mm

というのをとにかく覚えてしまうのが一番楽だと思います。
覚えられない人はホームセンターのボード売り場にいってプラスターボードや合板などの木材の表示がひたすら

〇〇:サイズ 910mm x 1820mm

と書いてありますので、ひたすら眺めて覚えましょう。
正確には909mmだとか、1818mmだとかの誤差はどうでも良いです。

そして、これは1畳であり3×6尺だと理解してください。
普段から僕らは板1枚を使う時に、

1800mm x 910mmのボードを〜

などと長々言わずに、

岩崎
岩崎

3×6尺サブロクでいくも〜

と言います。

3×6尺サブロクを2枚並べば1間四方になります。
それなら6尺=1間というのは自然に頭に入ると思います。
これだけ理解しておけば後は、全て暗算で導き出されます。

910mmを3つに分ければ303mmになるので、1尺も直ぐに暗算で導き出せます
それを10分の1にすれば一寸が導き出せます。

覚えるのは、

3×6サブロク = 910mm x 1820mm

だけです。

まとめ:理解してライブやコンサートを成功させよう

以上、舞台での尺貫法についてかざっくりと解説してきました。

僕も最初は全然分からずに、楽器のセット図面など大体の位置で書いていました。
当日、舞台現場にて詳細な位置を決めていたりしました。

それくらいは良いのですが、思ったより会場の大きさの見立てが違うと、大幅に位置を変更しなければならなくなったりします。

楽器は良いんですよね、動かせば。
ただしそれに合わせて、吊物照明の位置やPAモニターの位置などもベストなポジションが変わってきたりもします。
そうすると仕込み時間にかなり取られて、リハーサルの時間が短くなるか、雑なまま本番を迎えることにもなったりします。

良いライブやコンサートを実現するためには、尺貫法を多くの人が知っておいて損はないと思います。

では、また。

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