こんにちは、岩崎将史です。
年度末の多忙な時期も少しづつですが、脱出をむかえつつあります。
まだまだ、忙しい業界もあるとは思いますが、一緒に頑張って乗り越えましょう。
さて、今日は機材ネタです。
先日、仲間と3人でステレオ・コンプレッサーの比較試聴会を行いました。
主にマスタリングやミックスバスなどの仕上げに使用するコンプレッサーです。
6台のステレオコンプレッサーを聴き比べ
試したのは、以下の6台。
軽く解説したあと、聴き比べの結果を書きます。
Portico II MASTER BUSS COMPRESSORE
RUPERT NEVE DESIGNS (ルパート ニーヴ デザイン) のポルティコ II マスターバスコンプレッサーです。
デモ機をお借りしてのテストです。
Valiable-mu STEREO COMPRESSORE -Mastering Version-
MANLEY LABS (マンレイ) のバリアブルミューコンプレッサー。
今回はマスタリングバージョンで試しています。
ディーラーよりデモ機をお借りしました。
SLAM STEREO COMPRESSORE & LIMITTER – Mastering Version-
同じくマンレイの「SLAM」のマスタリングバージョンです。
これは僕のスタジオ、フルハウスの物です。
スタジオから持ち込みました。
MLA-2 Mastering Compressor Limiter
Maselec の MLA-2 です。
90年代のマスタリングスタジオでは定番のコンプレッサーでした。
今回は、デモ機をお借りしてのテストです。
STEREO BUS COMPRESSORE for AIP500 SERIES
Solid State Logic。
通称SSLのコンプレッサー。
4000シリーズと呼ばれる80年代〜90年代に大活躍した大型コンソールに入っていたコンプレッサーをAPI500シリーズラックにマウントできるようにした物です。
この事態の特にポピュラー音楽作品は、まずこのコンプレッサーを通っていた、と言えると思います。
Dual Vandergraph
Shadow Hills (シャドウヒル) の Dual Vandergraph (デュアル・ヴァンダーグラフ) です。
これも僕のスタジオ、フルハウスから比較用に持ち込みました。
JOYSOUND 601 スタジオ でテスト
今回は堀田のJOYSOUND 601スタジオでテストしました。
フルハウスが業務提携しておりますので、お問い合わせ頂ければこちらのスタジオも選べます。
録音内容に合わせて使い分けています。
音源ソースはドラムバスのミックスと全楽器のミックスの2種類で視聴、評価をしていきました。
評価
テスト終えての印象、評価を書いていきます。
正直、微妙だったProtico II マスター・バス・コンプレッサー
若干厳しめの評価だったのが、NEVEのPortico II MASTER BUSS COMPRESSOREです。
まず通しただけで音が変わる。
変わるのはどの機種もそれぞれ変わるのですが、全員が「う〜ん」
マスタリングには厳しいと感じました。
ただし、ミックスのバスコンプレッサーであれば、こういう色付けをしたい時などにロック、ポップスでは使えると思います。
クラシックにはないなと言う印象。
他は全てマスタリングでも使いたいクォリティー
ポルティコ以外は、僕が石油王並みの資産持ちでしたら全部購入したいと思うくらい、魅力的でした。
それぞれサウンドキャラクターが異なり、ミックスのシチュエーションに合わせて使い分けたい感じです。
で、その中でも1~2台のみ、という条件だったら、どれ買うか。
SLAM と Dual Vandergrapg 最高。 買ってよかった
結論は、
「SLAMとDual Vandergraph買っておいて良かった」
でした。
SLAMは一番高価でダントツ。
ELOPとFETのコンプリミッター、また細かく設定できる。
だけでなく、電源BOXが外付けで完璧に左右対称に回路設計されてまして、ローエンドまでの位相感が完璧。
通して軽くコンプレッションするだけで、自然にミックスがまとまります。
SLAMの音はフルハウスの無料マスタリングで試せるよ
フルハウスに、マスタリングの問い合わせ頂ければ、マンレイのSLAMを試せます。
「どんな風に音が変わるの?よくなるの?」
と興味ある人は、下にスタジオのリンクを貼っておくので、ぜひ問い合わせください。
1曲の一部分は、無料でマスタリングします。
「こんな風に、音がよくなるならぜひ試したい」
と納得頂いてから、正式にオーダーして頂ければ大丈夫です。
Dual Vandergraph も最高
Dual Vandergraph は、とてもクリーンでスームズなコンプレッションで、ドラムのミックスを損なうことなく、まとまりながらリリースや余韻が聴こえるようになります。
ドラムバスにはプラグインを使うこともありますが、どうしても平面的になりがちです。
苦労なく、整えてくれます。
Dual Vandergraph の音は フルハウスのミックスでも試せます。
1曲、1番分くらいですが、「プロにミックスしてもらうとどうなるの?」と言うのを試せますので、興味ある方はお問い合わせください。
他のも欲しいぞ
そして、もし儲かっちゃったら、
「Valiable-mu」と「MLA-2」は買いたいなと思いました。
さっぱり買えるイメージを持てないけど(笑)
JOYSOUND601スタジオの阿部さんは、「Valiable-mu」がEQだとしたら「MLA-2」は空間系EFXのようなサウンド、と例えておりました。
「Valiable-mu」は定番なのと、「MLA-2」はとってもクリア。リリースで残響、余韻感が持ち上がって、確かに空間が広がる感じ。
ただし、すこしロー抜けした感じがあり、EQとセットで使いたいな、という僕の印象ではありました。
プラグイン
そして最後に、プラグインが、実機にどれくらい迫っているサウンドなのか、もチョロッと聴き比べ。
過去20年にわたり、毎回、新しいプラグインが出るたびに期待を込めて頻繁にテストもしてきてます。
が、ダイナミクス系はなかなか難しい。
Universal Audioの、
Shadow hills Mastering Compressor
などなど聴いて見ましたが、サウンドは実機コンプレッサーとは別方向。
レベル自体は揃うのですが、コンプレッサーに求めるサウンド変化の要素がかなり違うので、だったら使わない方がよいな、という事になりがちです。レベル管理なら別の方法が良かったりしますし。
アナログ実機を通す「時間がない時」、クライアントから何度も修正や変更オーダーがあり、頻繁に設定の「リコール」を求められる時は使います。便利です。
その辺りは実機は、オフラインバウンスもできませんし、毎回ノブを写メ撮って設定戻すのも手間がかかります。僕は大抵スタッフに「写メ撮っておいて〜」「戻しておいて〜」になっちゃいますが ^^;
ただ実機は「高価」です。そして定期的なメンテナンス費用もかなり必要です。
ですので、
レコーディング系の機器ではありますが、正直なところ社内的にレコーディング系の売上げからの経費としては購入できていません。
ここ10数年、レコード業界は予算削減につぐ削減。そのため、真っ当な資産計上で、スタジオ料金を設定して高価な機器を揃えるということは不可能です。
だからといって「自分の作品作りのクォリティーは落としたくない」ので、
僕の作曲や編曲などの売上を色々やりくりして高価な機器に回しておりまして、そういう意味ではほぼ「趣味」の領域のスタジオでしょうか。
格安のスタジオと作業代だけで、本来は使えない高価なレコーディング機器で皆さんはレコーディングできますよ!
って事ですので、是非是非、あなたの作品作りにも使ってあげてください。
名古屋の音楽制作・録音スタジオ|フルハウス
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