【音楽基礎】グレゴリオ聖歌って何?【知らない人向け超ざっくり】

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こんにちは、岩崎将史まさふみです。

  • メジャースケールマイナースケール平均律
  • 3和音以上からなるハーモニー機能和声

上は現代の音楽ではもっとも基本的なことです。
これらが確立する前のヨーロッパ中世の音楽の話。

中世の音楽の代表といえばグレゴリオ聖歌

中世の音楽が語られるときに、最初に出てくるのがグレゴリオ聖歌です。

400年代から歌われはじめ中世ヨーロッパで発展しながら広まっていきました。

グレゴリオ聖歌ってどんな曲?

百聞は一見にしかず、まずは聴いてみましょう。

ぐっすり眠れる癒しのグレゴリオ聖歌メドレー ~主はわが光~
ぐっすり眠れるグレゴリオ聖歌メドレー〜主はわが光〜
良さげな動画を検索したら、こちらが出てきました。

「ぐっすり眠れる癒しの〜」とありますが、タイトルで分かるとおり神に捧げるための聖歌です。

グレゴリオ聖歌の発祥

ローマ・カトリック教会で誕生した単旋律の音楽です。
グレゴリウス1世が編纂した…

wikipedia より

グレゴリウスI世 とは?

ローマ教皇。在位590年〜604年。
世界史の教科書に登場する人物。
キリスト教カトリック教会をヨーロッパ各地に広めた

  • ブリテン島(イングランド)まで広めた。
  • ゲルマン人にまで広めた。

と長く信じられていましたが、最近の研究では違う説が濃厚

  • 口伝えで広まっていた。
  • ローマガリア聖歌が統合されたもの。
  • 9~10世紀にフランク人の居住地域でさらに発展

と考えられています。

ガリアって何?

ガリアとは

ヨーロッパの古代〜中世での地域の名前。

  • ローマからみてアルプス山脈の向こう側。
  • 今のフランスの地域。
  • カエサルのガリア戦記が有名
岩崎
岩崎

古代から中世においては文化の中心は地中海沿岸。ガリアは辺境的なイメージだも〜

フランク人とは?

世界史で絶対やってるはずだけどね😂

超絶ざっくりですが…、

  1. ゲルマン人の南下

300年代。
東からフン人がやってきて、ゲルマン人がどんどん南下。375年 フン人の東ゴート族全滅から加速

2. 西ローマ帝国を滅ぼす

ゲルマン民族の大移動1

400年代。
西ローマ帝国を滅ぼしゲルマン人の7つの部族がそれぞれの国を作ります。
そのうちの1つがフランク王国。400~800年代

3. カール大帝で最大版図

frank_max

800年代。
カール大帝の時に最大版図を築きます。

岩崎
岩崎

中世ヨーロッパで大きな影響力があったとだけ知っておけばOKだも〜本当にすごいザックリすぎて自分でもビビるも〜

簡単にまとめると、詳細は色々わからないことも多いけど、

中世ヨーロッパにおいて教会を中心に歌われてきた、西洋音楽史的に重要な音楽の1つ

です。
中世初期の発祥ということで歌詞はラテン語です。

ローマ帝国の公用語でイタリック語派の1つ。カトリック教会の公用語として使われ、ヨーロッパ各地へ広がる。中世ラテン語として発展していく。ルネサンスになると学術用語として使われる。現在もバチカンの公用語。

おすすめ

中世音楽の精神史:
グレゴリオ聖歌からルネサンス音楽へ

  • 金澤 正剛 (著)
  • 河出文庫(文庫) – 2015/2/6

グレゴリオ聖歌の代表曲

グレゴリオ聖歌の代表的な曲を聴いてみます。

グレゴリオ聖歌 Dies Irae(怒りの日)

動画

Dies Irae

のちの古典時代から現代まで、多くメロディーがモチーフとして引用されている曲です。
それらの曲は、現代も様々なところで使われています。

近年ではベルイマンの映画『第七の封印』において、グレゴリオ聖歌の「怒りの日」の旋律が中世の壁画をもとに再現された死の行進のシーンで使われている。また映画『シャイニング』冒頭にはグレゴリオ聖歌の「怒りの日」の旋律が主題に使われているベルリオーズの幻想交響曲の第5楽章が、『バトル・ロワイアル』のCM、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』の予告編等ではヴェルディのレクイエムのそれが使われた。ブライアン・デ・パルマの『愛のメモリー』では、主人公のマイケル・コートランドがサンドラ・ポルティナーリと、彼女の母マリアの墓参りをする時にひっそりと使われている。

wikipedia より引用

  • グレゴリウス大教皇(故604)
  • バーナードオブクレアヴォー(1090〜1153)
  • フランシスコ会のセラノのトーマス(1200–1265)
  • ボナベンチャー(1221–1274)
  • ラテン系のMalabranca Orsini(故1294)

という名前が出てきますが、作曲、編曲、編纂、楽譜化などどういった関わりでなのかは正確にはよくわかりません。

メロディが多くの曲で使われている

その後のクラシックで使われている有名曲を聴いてみましょう。

ベルリオーズ 幻想交響曲 第5楽章

ベルリオーズの幻想交響曲、第5楽章でこのメロディは使われています。

メロディの登場する7:38から始まるようにセットしてあります。

Wikipedia より

ルイLouisエクトルHectorベルリオーズBerlioz

  • 1803 ~ 1869
  • 幻想交響曲』で有名
  • フランスのロマン派の作曲家
  • 楽器編成の大規模な拡張
    • 『死者のための大ミサ曲」(1837)など
  • 色彩的な管弦楽法
  • フランス10フラン紙幣に肖像が描かれていた

リスト 死の舞踏
メロディの登場する位置から始まるようにセットしてあります。

Wikipedia より

フランツFranzリストLiszt

1811 ~ 1886

  • 王政ハンガリー出身
  • ピアニスト、作曲家。
  • 現在のドイツオーストリアなどヨーロッパ各地で活動
  • ドイツロマン

楽譜

「怒りの日」の楽譜

wikipedia より引用
中世の楽譜はネウマ譜

中世の楽譜はネウマ譜と呼ばれています。
上段の楽譜がネウマ譜です。
音程の上下はわかりますが、リズムが謎です。
リズムは口伝での歌唱にて伝えられてきました。

拍子がない

下は口伝されている歌唱を、現代の楽譜のスタイルで採譜したものです。
小節線がないのがわかります。
明確な拍子がないのが特徴です。

タイトルの怒りの日Dies iraeディエス・イレ)は、審判の日のことです。

審判の日:キリスト教の終末思想の一つで、世界終末の日に過去の全ての人間を地上に復活させ、天国に行けるか地獄に落とされるか、生前の行いを元に審判が下される日のこと。

歌詞は審判の日のことを歌っています。

訳詞は色々探しましたが、このサイトが一番分かりやすかったです。

岩崎
岩崎

詳しく知りたい、分析したい人はこの人のサイトの方が良いも〜

グレゴリオ聖歌 Kyrie(キリエ:主よ)

もう1曲、動画です。

Messa a San Marco, KYRIE IV, Schola Gregoriana Mediolanensis, Giovanni Vianini, Milano, Italia

こちらも単旋律
グレゴリオ聖歌で使われている音階は教会旋法といいいます。

wikipedia より引用

グレゴリオ聖歌の特徴まとめ

グレゴリオ聖歌の特徴として、一般的に以下のように語られています。

グレゴリオ聖歌の特徴
  • 旋律は8つないし12の教会旋法チャーチモードが基本。
  • 無伴奏のユニゾンでの歌唱。(プレーンソング
  • 拍子感がない。
  • 母音で歌う部分が多い(メリスマ)。シラビックな部分と交替で歌われる。
  • 機能性がまだ不十分で終止感が弱い。
  • 歌詞はラテン語。

コラールが作られていく

時代が進むにつれて、単旋律monophonyから複旋律polyphonyへと少しづつ発展していきます。

グレゴリオ聖歌からバロックまで

オルガヌムやモテットなど呼ばれる単旋律だけではないポリフォニーの試みが行われるようになりました。
そして、やがてコラールと呼ばれるルター派教会の賛美歌が登場してきます。

wikipedia より

マルティン・ルター
1483-1546

ドイツの神学者、教授、作家、聖職者。
宗教改革の中心人物で、ローマ・カトリック教会から分離したプロテスタントを誕生させた。

歴史の教科書にも出てたね

ラテン語ではなくドイツ語

マルティン・ルターはラテン語ではなくドイツ語を使うべきと主張。
新しく作曲もしましたが、グレゴリオ聖歌に新しいドイツ語の歌詞をあてたりもしました。

Thomanerchor Leipzig "Ein feste Burg ist unser Gott" (EG 362) Trauerfeier für Kurt Masur (MDR 2016)

ハーモニーが入っている

動画を聴くとわかりますが、オルガン伴奏でがっつりハーモニーが入ってます。
大きく音楽のスタイルが変わっています。

色々な解釈、意見がありますが…

コラールの動画には伴奏ハーモニーもあります。

当時のルター自筆の楽譜と言われているものが、こちら

“Ein feste Burg ist unser Gott”のルター自筆譜
wikipedia より引用

上の楽譜は単旋律ですが、1524年に出版されたコラール集では、4声や5声に編曲されています。

プロテスタント初の賛美歌集としてヨハン・ワルーターが出版

J.S.バッハらがさらに発展させる

後にJ.S.バッハがコラールを用いてカンタータ「ヨハン・ゼバスティアン・バッハの4声コラール集」を発刊しました。

1765年〜1787年 全4巻
250. Ein' feste Burg ist unser Gott, BWV 303
J.S.バッハ コーラル BWV302-303 Ein Feste Burg ist unser Gott 神はわがやぐら

J.S.バッハの時代には、現在の音楽理論や作曲理論の基本がかなり確立していきます。

  • メジャースケールとマイナースケール → 平均律
  • 2声(以上)の副旋律 → 対位法
  • 3声、4声以上からなるハーモニー → 機能和声

これらが作られていく際に、ヨーロッパ各地に普及した教会のパイプオルガンが1つの助けになったことは以前にも書きました。

この流れを理解すると、作曲理論が理解しやすくなる

グレゴリウス聖歌の単旋律Monophonyから、バロックや古典にかけての対位法Counterpoint和声Harmonyが成立していく過程を知ると音楽理論、なかでも作曲理論が理解しやすくなります。

僕が10代の時に対位法や和声を学び始めた頃は、この歴史を知らなかったので、

岩崎
岩崎

う〜ん、なんでいこんな制約バリバリの作曲方法なんだろう…

ポピュラー音楽理論はもっと自由度が高かったので不思議で仕方がありませんでした。

岩崎
岩崎

知るとめっちゃ利にかなっているんだも〜

グレゴリオ聖歌 を使ったリミックス楽曲|エグニマ

最後に軽く余談。
グレゴリオ聖歌を知るきっかになったのはこの曲というひ人は、僕の世代の日本人では多いと思います。

Enigma – Sadeness – Part i (Official Video)

グレゴリオ聖歌を利用した、今で言うところのリミックスです。
FMラジオが音楽シーンを牽引していた時代に、各局でヘビーローテーションされていました。
1990年なので、僕が高校2年生です。

賛美歌の仕事も実はやってます

さらに余談になってしまいますが、賛美歌の作曲や編曲などの依頼が割とあります。
今も数曲ほど依頼が溜まっていて順番に作業を進めています。
バッハやメンデルスゾーンをはじめ偉大な音楽家も通った歴史的ながれを踏まえて、仕事ができるというのもとても光栄です。

岩崎
岩崎

キリスト教徒ではなく、今年は仏教系の音楽の仕事もありましたけども〜

音楽には様々な色があります。
どの色も好きですで、歴史とか文化が分かるともっと面白いですね。

ちょっと、余談になりましたが、今回はこの辺で。

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