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郵便から考える録音プラットフォーム

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こんにちは、岩崎将史です。

数日前にこんなニュースが朝ありましたので、それで雑感。

「人手不足により土曜日の郵便配達の廃止」

僕は全然、良いと思うんです。

サービスだけにフォーカスを当てたら、クォリティ・ダウンですので「え〜」と思う人がいるかもですが。が、僕はマクロ視点で「何が合理的か?」というのを考えてしまう性格なので、そうすると「当然でしょ」という思いが強いです。

マクロ視点での郵便の意義

郵便は19世紀の終わり。国策としてきちんと制度化されたサービス。

20世紀も後半になるとリアルタイム性が求められる情報の中心は電話になり、ビジュアルで伝える必要があるものは郵便でしか対応できなかった。

Eメールの出始めは通信速度とデータ容量的にテキスト(文字)のみでしたので、郵便に置き換わることはありませんでしたが、光回線や3G、4GになるとPDFなどの静止画は愚か、動画も送れる(正確にはクラウド・ストリーミングなので送れるとは言わないかもですが)ので、それこそ郵便のメリットっがどんどんなくなってく。(手紙・ハガキにフォーカスを絞った話ですが)

僕が今、郵便を利用しているのは「大手企業宛の請求書。銀行や税務関係で送られてくる書類」くらい。請求書も弊社とベンチャー系だとまずPDFをメールでなので、郵便で送るのが無くなることはあっても増えてくことはないだろうなと。大企業は現状の経理システムとフローがあるので変えにくいのだと思いますが。

そうすると残りは銀行とかお役所関係とか、あとは年配向けのDM配送業者とか受け取る物系ばかりです。

「じゃあ無くしたら良いのか?」

というと、そうとも言い切れなくて、新しいテクノロジーによるインフラは、電気や同レベルのサービスが絡み合って成立しているので、震災などで停電、あるいは国際情勢とかで燃料調達に異変が起こると、使えなくなるリスクも孕んでいる。

ただ、もし、そういう情勢になりネット環境が使えなくなって全てが便に一斉に戻ってきたら、どのみち運営リソースが足りなくなるので、ある程度時間をかけて再整備していかないと郵便も機能できない。各種震災でもTWやFBのメッセージのやりとりは、かなり有効でしたので、現地まで運送配達しないといけないプラットフォームがそう言う時に有効とは思えない。実際、この度の北海道での震災で僕の大学での受講生が旅行中で被災しまして。FaceBookとメッセンジャーでの連絡が、物凄く役にたって無事に船便で本州に脱出できたという事例が生まれました。

となると「縮小するマーケットに合わせて、如何にミニマム化しながら最低限のサービスとノウハウは維持」とするしかない。

新たなプラットフォームが出ると古いものは維持できない

現状が維持できて皆んながハッピーになれるなら、それに越したことはないのですが、事業には損益分岐点があって、損が出るということは、誰かが不利益を被っている。儲からないまでも利益を出さないことには事業継続はできなく、そのためにはある一定以上のマーケットが必要。郵便の損益分岐点は僕には知る由がありませんが、普通に考えて、日本国民全員が郵便か電話しかなかった時代から、少なくともプライベートなやりとりにおいては、ほとんどが郵便を使わない時代になって、経営が成り立たないのは容易に想像ができる。

僕の周りでは「音楽メディアの趨勢」が事業継続性の例として、良く話題になります。

僕が子供の頃はCDというのはまだなく、カセット・テープかレコード・プレイヤーで音楽を聴いていた時代。曲を作ったり演奏して録音するにあたり、テープにひたすら録音していました。業務ベースはカセットテープではなく、オープンリールという、でかいテープでしたが。

現在だと、大学では「カセットテープ」は使ったことはおろか、聞いたことも見たこともない、という学生が沢山おります。というか知っている方が少ない(カセットテープが分からない学生は是非ググってちょ)

テープは基本的にノイズが多い。録音するとどうしても機構的に「サーッ!」って音が常に入ってします。さらに録音すればするほど、再生して聴けば聴くほど、テープが消耗してどんどん音が悪くなるというオマケ付き。さらに温度変化や湿度管理などそこそこ気にしないと、すぐに状態が悪くなって使えなくなると。

されらの問題点を解決すべく、デジタル化されたテープ「DAT」(ダット:まんま”Digital Audio Tape”の略です)という物が80年代に出現し、制作の現場はあっという間にそれに置き換わった。

テープのようなノイズがなく、かつ小さく、便利。何回、録音しても再生しても音が一緒。さらに、業務用の場合はオープンリールのテープと比べて、安いくてメインテンスが楽。

もちろんいいことだらけではなく、「テープの方が音が良い」という意見も多数あり、近年までこだわってオープンリールを勧めていたエンジニアもいます。が、「どちらが良いのか?」論争の前に、テープは使用頻度の低下と比例してコストが上昇し事実上消滅。(あえてそこを売りにしているスタジオや録音家の方もいるかもですが)

その後はCD-Rになり、今はWAVファイルでのデータ納品が主流。ここ2~3年はCD-Rをプリントする機会も数える程になってきました。

どんなビジネスもそうですが、代替プラットフォームが出てくると、マーケットを少しでも取られますので、オールドプラットフォームは簡単に損益分岐点を割り込みがちです。例えば「5%の営業利益が出ているビジネスモデル」があったとして、売り上げシェア2~3%でも取られたら、もうそれで終了。生き残るためには、新プラットフォームと同値で販売しても成立するように運営コストを下げるか、減少した利用数でも維持できるように付加価値を付けてでもサービス単価を上げるか。

「デジタルならハードディスクで1曲分¥200だけど、テープは音良いから1曲¥10,000頂戴。メンテ代なども掛かるからスタジオ料金は5割増し。あと、録音は1曲3テイクまでね。編集もデジタルのようにはできないけどいいよね?」

みたいなところに音楽家やクライアントが魅力を感じてくれれば実現できるかなぁ。

我がスタジオ「フルハウス」にも棚にたくさんのオープンリールのテープが並んでいます。すでに無くなった業界の大先輩から引き継いだもので、世界的に著名なアーティストの録音が並んでいてビビります。数十本のテープでかなりの容積を占有していますので、そこのエリアだけで毎月家賃にして¥5,000分くらいでしょうか。そのテープを保管しておくだけで年間¥60,000で、すでに20年近く預かったまま、、、、。

残念ですが、今、これを書いていて真剣にどうするか決めんかければいけないと感じました。

デッキは保管場所が勿体無く、先月、とあるオーディオ好きな著名ミュージシャンに丁度、引き取って頂いたところでした。

なんか、強引に音楽に結びつけた感もありますが、会社としては常に時代に合わせて求められるサービスを提供できるようにしていかなければな、と改めて思ったところで、今日はここまで。

では、また。

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