こんにちは、岩崎将史です。
音楽アーティストが「アルバム制作をしたい!」と思っても、初めは何をどうしてよいのか分からない事ばかりだと思います。
相談を受けた際に、いつも最初に説明している事柄をまとめてみました。
「録音原盤」と「アートワーク」と「製造」の3つの工程がある
アルバム制作では3つの大きな工程があります。
凄い簡単にいうと、
- 音
- 絵
- 物
の3工程です。
3つの工程の流れ
こんな図の流れですすみます。
音録音原盤といいます。
そして録音原盤を作ることを録音原盤制作といいます。
絵アートワークといいます。
CDでいう印刷物、いわゆるジャケットを印刷する前のデザインデータのことです。
印刷自体は次の物になります。
物CDそのものです。
音楽配信をする場合は物ではなくデータになります。
CDの場合はプレス製造といいます。
盤を量産して、印刷物を大量に作って組み込んで包装します。
音楽配信の場合は、特にこの工程はありません。
3つの工程の期間
3つの工程の期間はこんな感じです。
音:録音原盤制作の制作期間
期間は内容によります。
1曲だけであれば、1日で完成できる場合もありますし、じっくりと時間をかけて1~2年かけて制作するアルバムもあります。
一般的には1週間〜数ヶ月以内で仕上げることが多いです。
絵:アートワークの制作期間
期間は内容によります。
一般的には2週間〜数ヶ月ということが多いです。
物:CDプレス製造の期間
国内工場か海外工場かよります。
国内工場で2週間程度で、海外工場で3週間程度が目安です。
次に3つの工程の詳細を説明します。
録音原盤制作とは
録音原盤制作は主に4つの工程があります。
- 録音(レコーディング)
- 編集(エディット)
- ミックス
- マスタリング
この4つの工程を経て、完成した録音作品を最初に記録した音源をマスター音源(=録音原盤)といいます。
昔は巨大なテープでしたが、現在はDDPという形式のPCファイルになっています。
録音(レコーディング)
演奏をレコーディングします。
スタジオで録音したり、コンサートホールで録音したり、ライブのレコーディングだったり色々なスタイルがあります。
詳しくは、「レコーディング4つの場所と方法【スタジオ・ホール・ライブ・自宅】」で書いています。
編集(エディット)
レコーディングされた各テイクの良い部分を組み合わせて繋いだり、必要ない部分をカットしたりします。
繋いで「これで良いね」となったテイクをOKテイクといいます。
ミックス
マイクや楽器ごとに個別に録音されている各トラックの位置や音量、音質などを調整して聴きやすくします。
1曲づつ仕上げていきます。
マスタリング
ミックス完了した各曲を、アルバムに収録したい曲順にならべます。
- 曲と曲の間を何秒くらい開けるのかを決まる
- 曲ごとにバラバラな音量や音質に統一感を持たせる
- ミックスで気づかなかったノイズなどを除去する
などの作業をします。
その後、
- CDの場合は、プレス用DDPマスターファイル
- 音楽配信の場合は、音楽配信用マスターファイル
を作成します。
DDPはCDプレス工場へ、配信用マスターファイルは配信ストアへ搬入されます。
アートワークデザイン制作とは
アートワークは主に2つ。
- 写真やイラスト、原稿などの素材作成
- 素材をまとめるレイアウトデザイン
素材作成
写真
カメラマンやスタジオなどを手配してスチール撮影を行います。
野外ロケの場合もありますし、風景写真の場合もあります。
イラスト
オリジナルの絵などが必要な場合には、イラストレーターに発注します。
原稿
タイトル、アーティスト名、曲名。
歌詞を載せたい場合は歌詞。
文章を載せたい場合はその文章を作成します。
レイアウトデザイン
各素材を組み合わせてレイアウトデザインを施し、印刷工場へ搬入する入稿データを作成します。
Adobe社のイラストレーターというアプリケーションでデザインと入稿データを作成します。
CDプレス製造とは
プレス用DDPマスターを元にCDプレス工場でCDを大量に製造します。
同時に印刷工場でCDジャケットなどの印刷物を大量に印刷して製本します。
その後に組立工場で、ケースに組込んだあと包装をします。
これでCDは完成です。
完成したCDは運送会社に渡され納品されます。
音楽配信とは
アグリゲーターと呼ばれる配信ストア事業者を通して、各音楽配信ストアに登録されます。
今はレーベルなどを通さなくても個人で直接アグリゲーターに依頼することができます。
僕の会社フルハウスでも対応していますので、面倒な人は希望いただければ配信手続きします。
ただし手数量がかかってしまいますが。
まとめ:CDが売れない時代のCD作り
音楽を聴くプラットフォームがラジカセやカーステレオなどから、スマホの時代になりました。
既にCDプレイヤーを持っていない学生世代も珍しくなくなってきています。
そんな中でも、まだまだライブでの物販などでのCDの需要も根強く、常にプレスのオーダーもあります。
ご自身のCD制作や音楽配信に少しでも役に立てば嬉しいと、全体の流れをまとめてみました。
それでは、この辺で。
では、また。