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緞帳とは?【意味・使われ方・歴史】分かりやすく解説

緞帳とは【音楽ビジネス基礎】【舞台の知識】 音楽の学び
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岩崎将史まさふみです。

緞帳どんちょうは伝統的な舞台において最も重要な幕です。
公共ホールなどで、こんな感じの幕を見たことがある人は多いと思います。

緞帳 (wiki)

緞帳とは?

緞帳は舞台正面にあり客席とステージの境を作っています。

緞帳の役割

緞帳役割は公演の開始終了を示すことです。

そのため幕が開いてからは、その演目が終了するまでは緞帳は下ろさないというのが原則です。
本番進行中に緞帳を下ろすというのは、想定外の事故や事件などで公演を中断するという合図になります。

近年は気軽に使われることも

というのが古来からの慣習です。が、最近はどうもそうでも無い様子です。
民謡などの準古典的な舞台でも演目の間に緞帳の上げ下ろしをしている場面もあります。歴史的には緞帳は終演を意味しますので、舞台転換では別の幕が使われるのが本来です。

スポーツのシーズン開幕とは?

Jリーグやプロ野球のシーズンが始まることを開幕すると言います。この幕は舞台の幕が開くこと指します。

緞帳はホールの顔

明治座の緞帳 (明治座)

緞帳は伝統的にホールの顔として扱われています。
多くのホールでこだわりと相当な費用を掛けて緞帳を作成しています。

ホールごとにオリジナルの絵や刺繍を施し、世界に1つだけの緞帳というのが一般的です。

お店で言う所の暖簾や看板みたいな位置づけです。

緞帳 (博電社)

緞帳 (博電社)

緞帳のあるホールとないホール

全てのホールにあるわけではなく、こんな感じです。

ホールの種類緞帳の有無名称
多目的ホール緞帳
能楽堂
歌舞伎小屋緞帳
オペラハウスオペラカーテン
ミュージカル劇場ステージカーテン
コンサートホール
ライブハウス✗ (一部○)緞帳
ジャズクラブ

演劇的要素の強い演目で必要

緞帳はオペラやミュージカル、歌舞伎などの演劇的要素の強い演目で使われます。
これは演出上、舞台セットなどを開始前に見せたくないという場合がほとんどだからです。
幕が開いた時に豪華なステージセットも含めて、一瞬で聴衆オーディエンスを非日常の空間に引き込むためです。

逆に緞帳がなく照明も落としている状態で舞台セットを見せてしまうと、作り物感が伝わり演出効果に著しくマイナスな影響を与えてしまいます。

音楽のコンサートやライブでは使わない

クラシックやポピュラーミュージックの音楽コンサートでは、緞帳を使うことはまずありません

緞帳の設置にはプロセニアム・アーチが必要というのもコンサートホールやライブハウスに緞帳がない理由の1つです。

プロセニアムがあることでオーディエンスとの一体感を残ってしまい、ダサいという感じです。

むしろ開場時から舞台セットをみせることによって、オーディエンスの心理を高揚させることができます。

一部ライブハウスでは

対バンと呼ばれる複数のバンドが常に出演するライブハウスでは、たまに緞帳と呼ばれる幕がある場合があります。セットチェンジで使うので実は緞帳というのは適切でないと僕は考えています。プロセニアム・アーチもなく引幕が主流ですが、ライブハウスでは緞帳と呼んでいる所も多いです。

緞帳の種類

緞帳にはいくつかの種類があります。

  • 緞帳
  • 絞り緞帳
  • 割り緞
  • 引き割り緞帳
  • オペラカーテン

種類によって開幕時や閉幕時の動きが変わってきますので、演出やステージセットに影響を及ぼす場合があります。

緞帳

単に緞帳という場合には、上下に昇降するタイプの事です。
多目的ホールなどで1種類しか設置していない場合は、まずこのタイプです。

絞り緞帳

絞り緞帳しぼりどんちょうはと呼ばれる種類の緞帳です。
絞り上げ緞帳とも言います。
緞帳の裏面にワイヤーがいくつか取り付けて昇降させます。
そのため全面に細かいひだのあるデザインが特徴です。
主にバレエ公演で使われます。

絞り緞帳 (博電社)
絞り緞帳 (博電社)
未設置の多目的ホールも多い

バレエは他の公演と比べて公演数が少ないです。
そして絞り緞帳はメンテナンスが難しく不具合があると交換というケースが多いそうです。
そのため設置をしていない多目的ホールも多くあります。

可変型の変形絞り

絞り緞帳 (博電社)

変形絞りは巻上装置でワイヤーの上がり方に変化をつけます。

割り緞

割り緞わりどんは、中央から上下かみしもに分かれる緞帳の総称です。

引き割り緞帳ひきわりどんちょうとして上手、下手のどちらか一方向だけに開くタイプの物もあります。

引き割り緞帳 (七宝公民館)

七宝町は確か上手側に引かれる緞帳、だったはず…。

引き割り / 引幕

歌舞伎などでは引き割り幕、定式幕じょうしきまくと呼ばれる幕があります。
緞帳の役割として使われるものや緞帳とは別にあるものがあります。

オペラカーテン

オペラカーテンは引き割り式で、幕が中央から割れて両サイド上方に向かって開くタイプが主流です。

日本の緞帳とは成り立ちが違うものですが、舞台の現場では緞帳と言われる場合が多いです。

緞帳の操作

緞帳の操作は一般的な公共ホールでは電動式です。
舞台袖などの操作盤にある開閉ボタン操作します。
この操作は安全な操作や自己操作の防止などのでため、ホールの管理者が行います

操作盤 (舞台設備部より)

上記は安全のために鍵を刺していないと操作できない操作盤です。

小さなホールの場合は手動式もあります。

緞帳とは?役割と歴史を知れば理解は簡単

色々な種類の緞帳があります。あるので分かりにくいですが、現在の緞帳が成立した歴史を知ると理解しやすくなります。

大まかな流れを図にしてみました。

舞台芸術の成立の過程が日本とヨーロッパで違います。

ヨーロッパではオペラが原点

ヨーロッパではオペラとプロセニアム・アーチの成立と共にオペラ・カーテンが誕生し、演劇やミュージカルにも応用されて発展しました。

日本では歌舞伎が原点

日本では同時期に歌舞伎を中心に引幕(定式幕)が主に使われはじめました。
幕府公認の猿若、森田、市村の三座と言われています。

多目的ホールでの発展・定型化

昭和に入り、現在のような豪華な緞帳が作られるようになりました。

公共施設としてホールを建設するにあたり、講演や日本の芸能、ヨーロッパの舞台芸術もある程度は行えるように多目手ホールと呼ばれるホールが建設されていきます。
公会堂と呼ばれるホールがその先駆けでした。

そのような中で歌舞伎小屋だけでなく、日本のホールでは緞帳が設置されることが一般的になっていきました。

ということで、今回は緞帳について解説してみました。
では、また。

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