岩崎将史です。
私の場合、どのようなオーディオ・インターフェースを買うべきでしょうか?
これまで多くの読者から、このような質問を頂き記事を書いてきました。
適切な記事を見つけやすいように、
- やりたいこと
- 価格帯
に合わせて少し整理します。
この記事を読めば、最短距離で「あなた」に最も適切なオーディオ・インターフェースが見つかります。
「ライブ配信」か「作品づくり」か
オーディオ・インターフェースには、現在2つの方向性があります。
- ライブ配信をしたい人向け
- 動画や音楽などの作品を作りたい人向け
この記事では2つを分けて、それぞれに適切なオーディオ・インターフェースを紹介します。
なぜ分けるかというと、
- 同時に扱う音声の数
- 音質優先か操作スピード優先か
これらの求められるバランスが変わってくるからです。
「ライブ配信」をやりたい人
「ライブ配信」をする場合のオーディオ・インターフェース選びのポイントは2つです。
- 必要な回線数をカバーしていること
- ミキサー機能があること。
必要な回線数をカバーしていること
回線数と書くと難しそうですが、簡単です。
- 何本のマイクを使いたいか?
- マイク以外に使いたいBGMや楽器はあるか?
予定している配信内容に合わせて、同時に扱いたいマイクやBGM、楽器の数量などを洗い出しましょう。
その上で、必要な回線数を決めます。
同時に必要なマイクの数
出演者が1人かつ「動かない」のであれば、マイクは1本あればOKです。
2名以上の出演者が登場したり、場所を移動したり向きを頻繁に変える場合は、2チャンネル以上の入力数が必要です。
チャンネルとは?
取り扱う音声回線をチャンネルと呼びます。
- マイク1本を扱うなら1チャンネル。
- マイク2本を扱うなら2チャンネル
の入力数が必要です。
BGMは2チャンネル
配信中にトークなどとは別にBGMを流したい場合は、さらに2チャンネルの入力数が余分に必要です。
音楽はステレオですので、左右あわせて2本分の音声回線を使用します。
近年はCDプレイヤーではなく、スマホやタブレットでBGMを出す人が増えていると思います。
1台で2本分のマイクに相当すると理解しておけば良いです。
次のBGMを別の再生機器を使ってクロスフェードさせたい人は、2台分の計4チャンネルの入力数が必要です。
楽器演奏のライブ配信なら、膨大なチャンネル数も
トークやBGMに加えて、演奏も配信するなら楽器の数に合わせてマイクの入力数が必要になります。
楽器によっては1つの楽器で2つ以上のマイクが必要な物もあります。
少し余裕をもった入力数を選ぶようにしましょう。
全ての入力数の合計数+αがオススメ
入力数は予定ピッタリの数ではなく、少し余裕を持たせておいたほう良いです。
最低でも1ステレオ(モノラル2系統分)は、余らせておきましょう。
実際に運用を始めると、追加で必要なことというのが出てきます。
ミキサー機能が必須
ライブ配信を行うには「ミキサー」が必須です。
ミキサーがなくても出来なくはないですが、結構やりにくくて困ることが多いと思います。
ミキサーは各マイク音声などの、
- 音量
- ON・OFF
- 左右の位置
- 音質
などを調整して視聴者が聴きやすいサウンドを作る道具です。
感覚的かつ瞬間的に対応や操作できること機器を選ぶことが重要です。
ミキサー機能を得るための2つの選択肢
ミキサー機能を持つためには2つの選択肢があります。
- ミキサー+オーディオ・インターフェース
- ミキサー機能付いたオーディオ・インターフェース
元々はミキサーとオーディオ・インターフェースは別の商品でしたので、2つ分けて購入するという方法も無しではないです。
ですが、配線が複雑になり場所も取ります。
何よりもミキサーとオーディオ・インターフェースとの間の「レベルマッチング」という概念や調整が必要になりますので、音響のプロでない人にオススメできる方法ではありません。
一般の方には、ミキサー機能付きのオーディオ・インターフェースがおすすめです。
USBミキサーがオススメ
ミキサー機能の付いたオーディオ・インターフェースの中でも、どんな方でも扱いやすく便利なのがUSBケーブル1本でPCと接続して音声を遅れる「USBミキサー」と呼ばれるカテゴリーの製品です。
ライブ配信やYouTubeなどの動画制作、動画チャンネルなどの運営をメインに考えている人は、絶対に「USBミキサー」がオススメです。
僕も音楽制作用とは別に、サクッとライブ配信や動画制作をするためのUSBミキサーを最近購入しました。
オススメのUSBミキサー
ということで、オススメのUSBミキサーを紹介します。
紹介するにあたって2つの方向性に分けます。
- 安く簡単にできるUSBミキサー
- プロも使う高機能なUSBミキサー
安く簡単に
超低価格、激安価格帯のライブ配信に使えるUSBミキサーについては、別の記事で解説しています。
激安といっても僕も購入して普段から使用しているものですので「悪いもの」ではありません。
プロも使うミキサーに比べれば、できることはとても少ないですが、初心者はそれでも全ての機能を使うことはないと思います。
1万円から4万円くらいまでで手に入るものばかりですので、最初の挑戦としては良いと思います。
プロも使う高機能『YAMAHA 01V96i』
プロも使うしっかりとしたUSBミキサーが欲しいという人にも、少し高額な価格帯になりますが、YAMAHAのデジタル・ミキサー「01V96i」をオススメします。
少し高価でも、機能は全て入っている
価格は20万円ちょいですが、
- 配信ミキサーに欲しい機能の全てが入っている
- プロが使っている
というミキサーで、これを購入しておけば機能的な不足を感じることはまず無いはずです。
本体だけで12個ものマイク入力がありますし、マルチトラックでの録音にも対応します。
僕は大学生の時に、このミキサーの前身である「ProMix01」を2台購入して音楽制作の仕事を始めていました。その後、01V、O2R96などと乗り換えていきました。
2000年前後に登場した『01V』はSRが48Kまで。その後96Kに対応した『01V96』が登場し、USBでPCと直接に繋いでの録音や配信が可能になった『01V96i』へとモデルチェンジしています。『i』はINTERFACEとかINPUTとかのiだと思います。
あらゆる面で、他のメーカーの選択肢はない
同価格帯で近い性能の商品は他のメーカーでもあります。
ですが、
- 安定性
- 機能の豊富さ
- コストパフォーマンス
- プロのユーザー数が多いのでノウハウが直ぐに見つかる
などの観点から、しっかりした配信ミキサーをそれなりに金額を投下して揃えたいという人には、01V96i以外の選択肢はないです。
プロのPA音響家も小規模なコンサートなどで使っているモデルです。
まずは1台で1通りの機能が全て揃います。
YAMAHAのプリアンプやADコンバーターの音が個人的には好きではないで、今は僕はYAMAHAのデジタルミキサーは所有していません。もっと高額な専用プリアンプやADコンバーターを持っていますので。
ただし特にそういったコレクションがないという人には、最低限十分な音質です。
少なくともMACKIEやBEHRINGERなどの低価格ミキサーに比べればS/Nが良くノイズが少ないですし、それ以上に安定性や故障の少なさ、昨日の豊富差のメリットがあります。
ミキサー機能付きのデメリット
ミキサー機能付きのオーディオ・インターフェースにはデメリットもあります。
豊富な操作・機能がついているので、1つ1つの音質は同じ金額を投資した時に、ミキサー無しには負けます。
音量ゲインを上げていくと「シーッ」というノイズ成分はどうしても多くなる傾向になります。
また、複数の音声チャンネルを個別のオーディオ・ファイルとして録音したというのにも制約のあるものが多いです。
本格的な「作品づくり」をしたい人は、ミキサー機能は捨てて配信よりもサウンドクォリティ優先で選択したほうが良いです。
「作品づくり」をしたい人
音楽作品をしっかりと作りたい人は、USBミキサーではない方が良いです。
理由は「コストの何に重きを置くか?」が違うからです。
使わないミキサー機能より音質優先で
USBミキサーは音質よりもミキサー機能にコストの重点をおいています。
「作品づくり」が用途の場合はミキシングなどは、ミキサーを使わずにDAWと呼ばれるアプリケーションで行うことが通常です。
DAWとは?
「Digital Audio Workstation」の略で、複数のオーディオ音声を録音、調整、ミックスするアプリケーションです。
- ProTools
- Cubase
- LOGIC
- Studio One
などが有名です。
同じ金額コストを投下するのであれば、ミキサー機能のない「音声を録り込む事に特化したインターフェース」を購入したほうが、サウンド面で有利になりやすいです。
ライブ配信に比べて音声の同時入力数も減らす事ができます。
その分の金額コストを音質方向に振った方が、作品のクォリティを上げやすいです。
「作品づくり」にオススメのオーディオインターフェース
「作品づくり」に使うインターフェースは、同時に録音できる入力チャンネル数で決めましょう。
例えば8本のマイクを用意して、それぞれ8本のマイクの音を同時に個別の音として録音したい場合は、8チャンネル以上の入力数が必要になります。
入力チャンネル数の例としては、次を1つの目安にしてください。
- 歌を1名づつ録音したい → 1〜2個の入力チャンネル
- 楽器を1つづつ録音した → 2〜4個の入力チャンネル
- バンドやアンサンブルを全員同時に録音したい→ 6以上の入力チャンネル
- ドラムセットを録音した → 12以上のの入力チャンネル
良い音で録りたいが入力チャンネルは少なめで良い人
- 歌を録音するだけ
- 同時には1つの楽器を録音するだけ
ということであれば、オーディオインターフェースは2チャンネルの入力があれば、十分です。
チャンネル数が少なければ価格を押さえられますので、その分で少しでも上位の高音質なオーディオインターフェースを購入するというのも1つの手です。
僕らのような「プロでも音質的に不満のない十分に使えるオーディオインターフェス」をこちらの記事で紹介しています。
歌や声をプロと同じ機器で録音したいという人には、コチラの記事も参考にしてください。
スマホでも使いたいという人はコチラ。
最近はスマホで作品を作りたいという人も増えてきていると思います。
スマホ向けのオーディオ・インターフェースは基本的に機能や音質よりもコンパクトさと販売価格を抑える方向に振られています。
そのためクォリティの高い作品を作りたい人には向きませんが、
- どこでも手軽に収録したい
- できるだけ安く手に入れたい
という人には良いです。
また、PCでも使えるタイプもあるので、PCで本格的な編集をする際にも使えます。
ただし、どこまで行っても音質面にはPC用オーディオ・インターフェースには勝てませんので、そこはご注意ください。
「バンド」や「アンサンブル」をしっかりと録音したい人
「バンド」や「アンサンブル」で本格的に音楽作品を作りたいという人には、8チャンネル以上、できれば12チャンネル以上のオーディオ・インターフェースをオススメします。
コチラの記事で紹介した機器は、実際にプロが使っているもので音質は全て素晴らしい物ばかりです。
8チャンネル入力程度のモデルを選べば、個人ユーザーでも十分に手の届く金額です。
僕のスタジオ「フルハウス」では、同時入力48チャンネル、同時出力も48チャンネルのインターフェースを用意しています。
流石にプロクォリティは高価だと考える人は、サウンドクォリティは1ランク落ちますが、次のモデルあたりが良いです。
用途に合わせて最適なインターフェースを
今回はオーディオ・インターフェースを選ぶ際のポイントを解説しました。
- 「ライブ配信」をするなら操作性を優先してミキサー1体型を
- 「作品づくり」なら、音質を優先してミキサー機能の無いものを
と考えるのがオススメです。
参考にしてみてください。
僕のスタジオ「フルハウス」では、様々な音楽制作やレコーディングなどを行っています。
プロの技術やスピードが必要な時には、お役に立てると思います。
よかったら覗いてみてください。
では、また。