岩崎将史です。
音楽の制作や配信では様々な機器を使います。
それらの接続を正しく理解できていないとせっかく作った作品も音が悪くなり、期待した評価が得られないということになりがちです。
オーディオ機器には大きく分けて4つのオーディオ信号レベルがあります。
理解を深めてみましょう。
今回の技術レベル
初心者向けレベル1として全体像の理解にとどめています。
細かい部分はレベル2として別の機会に掘り下げます。
主に使われるオーディオ機器たち
音楽制作では様々な機器を使います。
代表的な物を入れましたが、
- オーディオインターフェース
- PCやDAW
などはオーディオミキサーの仲間だと思ってください。
4つのグループに分けられるオーディオ機器たち
これらはオーディオ信号レベルで分けると4つのグループに分けることができます。
厳密には複数にまたがる機器もありますが、初心者の方は細かいことは無視して大まかにこういった括りでOKです。
今回は一般的な音声信号のアナログ伝送の話です。
デジタルや特殊な伝送は省きます。
電気信号の出力レベルが違う
これらのグループ毎で音声として出力される電気信号のレベルが違います。
こちらも正確にいうと同じグループ内でも色々あるのですが、細かいことは次のレベルでOKです。
信号レベルとは?
信号レベルとは電圧のことです。
音声信号は音の強弱や空気の粗密を電気信号に変換し電圧で表現します。
オーディオ信号の4つの名称
図のように4つの名称で呼ばれています。
- マイクレベル
- 楽器レベル
- ラインレベル
- アンプ/スピーカーレベル
正確にはマイク信号レベル、楽器信号レベルなどと呼ぶべきですが、スタジオやコンサートの現場では、そんな丁寧な呼び方をする人を見たことはありません。
現場はスピードが命ですからね。
人間はだだくさですし。
最短最速での呼び方が多いです。
4つの信号レベルの詳細
一般的には上図の様に接続します。
ただし、接続方法は目的によって機器の組み合わせも多彩に変わります。
まずは基本として大まかに捉えてください。
この場合の音声信号の流れは、
- マイク / 楽器 / 再生機器から音声信号を出す
- ミキサーやオーディオインターフェースで音声信号を受ける
- ミキサーやオーディオインターフェースから音声信号を出す
- アンプで音声信号を受けて電気的に増幅しスピーカーへ出す
- スピーカーが音声信号を受けて音が鳴る
文字だとよく分からなくなるかもですが、その場合はこのくだりは無視して良いです。
図の矢印の流れがなんとなく捕まえられていれば問題ないです。
まずはラインレベルを基準として理解する
まずはラインレベルを基準として理解するのがお薦めです。
- CDやBlu-rayなどの音声出力のレベル
- ミキサーやオーディオインターフェースの入力レベルと出力レベル
- オーディオアンプの入力レベル
これらはラインレベルと呼ばれる信号レベルです。
ラインレベルはざっくりと1Vちょとの電圧で信号を送ります。
さらに超絶ざっくりですが、これは乾電池1つ分と同じくらいと考えると理解しやすいです。
単1〜単5乾電池は1.5Vです。四角い9Vとかボタン電池は違います。
ただしライン・レベルと呼ばれる物には-10dBVと+4dBuなど複数の基準がレベルがあります。
これについてはLevel 2として別の機会に解説します。
アンプ・スピーカーレベルは大出力
アンプは正式にはアンプ、Amplifier と呼びます。
直訳すると増幅器です。
スピーカーユニットは重いので、高速で動かして空気の粗密を作るためには強力な力が必要です。
そのためにアンプで電圧を増幅しラインレベルの乾電池程度の電気を大きくします。
大きくする加減で音量を調整する機能も果たします。
ラインレベルと違い大きな電気を扱いますので、基本は触らないようにしましょう。
触ると絶対に感電するというものではありませんが。
マイクレベルは激弱
マイクレベルはマイクロホンレベル信号のことで激弱です。
ラインレベルの数千分の1ということもあります。
細かい単位や詳細はまた別の機会に解説したいと思いますが、
- 弱い電圧なのでプリアンプでラインレベルに増幅してあげないと使い物にならない
と理解していれば、まずは問題ないです。
楽器レベルは弱いがそれ以外の要素も
楽器レベルも出力は弱いです。
がそれ以外の要素もあって、楽器の音声ケーブルはミキサーやオーディオインターフェースのプリアンプ部分に直接接続するのではなく、DIボックスを間に繋ぎます。
DIボックスは正確にはDirect Injection Boxと呼びます。
楽器レベルにはDIを使う
ライブハウスやスタジオなどでこの様な機器を見たことがある人は多いと思います。
Eギター、Eベース、キーボードとミキサーなどとの間に繋ぎます。
最近のオーディオインターフェースやプリアンプではこのDI機能を持たせて、楽器を直接繋げく事ができるようになっている物も珍しくなくなってきました。
DI機能を持ったプリアンプをミュージシャンがライブ現場に持ち込む場合は、
自分のDIを持っていきます。
と伝えてしまうと、
ではこちらのプリアンプで受けれるようにしておこう
となります。
ですが持ち込んだのはラインレベルだったりするとシステムによっては突然だとラインレベルを受けれずに困る場合があります。
必ず
- プリアンプを持っていく旨
- 持っていくDI / プリアンプの型番
を伝える様にしましょう。
よくあるのがコレ、プリアンプなんです。
お勧めのDIボックスについてはこちら
サウンドにこだわる場合は専用プリアンプを使う
オーディオインターフェースやオーディオミキサーなどの入力部分には、マイクレベルやラインレベルの入力音声信号レベルを調整するアンプがついています。
プリアンプやHAと呼ばれる機能です。
ミキサーやインターフェースによってはGAINなどと表記されている物もあります。
プロ用のオーディオインターフェースにはプリアンプはない
ただし、プロ用のオーディオインターフェースはプリアンプ機能は持っていないことが通常ですし、ミキサーに付属のプリアンプを使わない事もよくあります。
理由はプリアンプ専用機を使うほうが音が良いからです。
何しろマイクの電気信号を1,000倍に増幅する訳ですから、増幅の方法や精度で大きくサウンドは変化します。
プリアンプはマイクと共にサウンド作りの重要なファクターです。
僕のスタジオでも様々なブランドの専用機を用意しています。
プリアンプでラインレベルに増幅したあとに、ミキサーやオーディオインターフェースに送ります。
また、ボーカルやナレーションなどではコンプレッサーという機器を使うことが多いですが、この場合はプリアンプとミキサーやインターフェースの間にラインレベルで挟みます。
まとめ :信号レベルの最適化でサウンドクォリティが格段にアップ
適切なサウンドレベルで作業を行うことが機材の性能を引き出し音楽作品のクォリティアップには何よりも重要です。
ぜひ、この辺のポイントを理解して皆さんのシステムを検討してみてください。
では、また。
マイクレベル、ラインレベルには2種類の伝送方法があります。