こんにちは、岩崎まさふみです。
最近は個人的なVLOG動画撮影にはGoProなども併用していましたが、色々とHDRのノウハウも溜まってきたので、もう少し「SONYのミラーレスを日常でも使いやすくしたい」と考えるようになってきました。
GoProでHDR撮影はできないですからね。
SONYのミラーレスカメラの欠点は何といっても手ブレ補正。
立ち止まってカメラを動かすだけならカメラ内臓の手ブレ補正機能で十分。
ですが、歩きながらとなるとやはりジンバルが欲しくなります。
そうなると荷物が増えますし、カバン一つで気軽にお出かけ先で撮影、とはならない。
カメラだけで撮影した歩き映像でも何とか実用範囲にならないのか?
それに対応するために「Catalyst Browse」というアプリがあります。
今までも何回か使っては来ましたが、改めて真面目に検証してみたのでブログにマトメます。
Catalyst Browse とは?
「Catalyst Browse」はSONYが無料で提供している動画ファイルの編集アプリケーションです。
編集アプリといってもいわゆる動画編集アプリではなく、SONYのカメラで撮影した動画データに様々な処理を加えるアプリです。
「手ブレ補正」を後で掛けられる
この「Catalyst Browse」の目玉機能の1つが「手ぶれ補正」です。
目玉機能の1つと書きましたが、僕はこのためにしか使っていません。
そしてそういうユーザーは多いと思います。
手ブレ補正対応のジャイロセンサー搭載カメラに対応
この後がけ「手ブレ補正」ですが、ソニーの全てのカメラに対応はしていません。
カメラがジャイロセンサーを持っている必要があります。
動画ファイルにジャイロ情報が書き込まれるので、その情報を後で動画ファイルに当てはめて処理をしています。
対応しているソニーカメラ
この記事を書いている時点では、下記の4モデルです。
- α7S III
- α7C
- α1
- FX3
- ZV-E10
※発売日順に記載
僕が全てのカメラを把握しているわけではないので、漏れがあるかもしれません。
2020年10月以降にリリースされているカメラには対応しています。
後がけ「手ブレ補正」を試してみた
「Catalyst Browse」での手ブレ補正の効果は文字で読むよりも動画を見たほうが早いです。
検証動画を作成してみました。
撮影は自宅近所を30分ほど歩いただけです。
カメラは「α7S III」を手持ち。
レンズは「SIGMAの28-70mm F2.8 DG DN」です。
良いところ
「Catalyst Browse」の良いところは次の2点です。
ジンバルがなくても気軽に撮影できる
利点はなんといってもジンバルを持っていないシチュエーションでも、歩きながらの撮影を行えることです。
ジンバルがないと、手ブレを恐れてどうしても立ち止まっての撮影ばかりになってしまいます。
歩き撮影をしてもブレブレで結局使わなかったという事が僕も多くあります。
そうしたテイクでも「Catalyst Browse」を使えば、見るに耐えうる映像になる可能性があります。
アクティブ手ブレ補正を調整できる
「Catalyst Browse」はジャイロ情報に基づいて、映像に処理を加えていきます。
処理の内容はいわゆる、
- 電子手ブレ補正
- デジタル手ブレ補正
- アクティブ手ブレ補正
などと呼ばれる手ブレ補正と同じ物だと考えられます。
「α7S III」の場合は「アクティブ手ブレ補正」をONにすると10%画角がクロップされます。
その分の余白を使って上下左右などの揺れをデジタル的に画像処理で手ブレを軽減してくれます。
これと同じことを、収録後にPCで行うのが「Catalyst Browse」です。
「Catalyst Browse」はこのクロップされる率を自由に調整できます。
僕は経験上、80%〜90%前後のクロップ率で処理することが多いです。
悪いところ
とても便利そうに見える「Catalyst Browse」ですが、残念ながら悪いところも多々あります。
クロップされる
映像の揺れをデジタル画像処理で軽減しますので、上下左右の余白が必要です。
余白分がクロップされますので画角が狭くなります。
そうすると、ある程度広い画角のレンズを用意しておく必要があります。
仮に20%での処理 (画角が80%) になるとすると、20mmレンズの画角であれば24mm相当になってしまうことになります。
より広角のレンズが必要になります。
僕が最もよく使うレンズは「16-35mm f2.8 GM」です。
16mmあれば20%クロップでも20mm程度ですので、画角で困ることはありません。
上の動画は「28-70mm」でしたので、少し狭さを感じる時もありました。
広角レンズといえば今年発売された「SONY 14mm f1.8 GM」が気になります。
これだけあればクロップで困ることはないでしょう。
ただし14mm単焦点は、映像の中で時々でてくるのは良いのですが、ずっと見ていると疲れてきます。
日常での気軽な撮影と考えると超広角の単焦点は使いづらい…。
画質が荒くなる
もう1つネガティブな要素が「画質の劣化」です。
これは「クロップ」よりも頭の痛い重大な問題です。
これがなければ、
もうジンバルなんていらないモ〜
と割り切っても良いのですが…
今の所、僕にとっては「Catalyst Browse」の使用はできれば避けたいと考えてしまう要素です。
4Kの「3,840×2,160」を映像を20%クロップして、同じ4Kの動画ファイルを作成する訳ですから当然です。
4K→フルHDなら実用に耐えうる?
僕は動画の解像度を基本4Kにしているので、解像度の劣化が顕著に気になります。
一度試してみたいと考えているのが「4Kで収録してフルHDの動画を作成する」という方法です。
フルHDは4Kの50%のクロップ率になります。
これであれば、4Kから20%クロップしても最終的なフルHDの画質はそれほど落ちないのではないか?という仮設です。
これはまだ試せていません。
フルHDの動画を作るときがあれば、ですがそういった動画の場合、そもそも歩きながら撮影していないという…。
時間が掛かる
動画に処理をするのに時間が掛かります。
何となくですが1~2分の映像に対して数分(3分~6分くらい?)の時間が処理に掛かっています。
- 4:2:2 10bit
- HLG2 (HDR) BT.2020
- 4K
という重たい動画データですので、もっと軽量な動画ファイルであれば処理も早いと思います。
流石に階段は無理
「Catalyst Browse」の手ブレ補正は限界がなります。
僕が試したみた限りでは「階段の昇降時」は流石に無理がありました。
大きすぎるギャップや反動などは処理をしたとしても違和感が出ました。
そしてかなり大きなクロップ率を指定しないと効果も弱いので、階段での実運用は厳しいなという印象を持ちました。
シャッタースピードの制約
最後はシャッタースピードの制約です。
先の動画をみて気になった人もいるかも知れません。
実はシャッタースピードを常に1/125以上に早くしています。
それにはもちろん理由があります。
モーションブラーが処理に悪影響を
画像処理による手ブレ補正の場合、いわゆる「動きによるブラー」は好ましくありません。
「Catalyst Browse」は半年前から何度も試しているのですが、シャッタースピードを通常の1/25~1/100程度だとあまり綺麗な処理映像にはなってきませんでした。
「モーションブラー」による滲みがある画像では、処理をしたとしても不自然な美しくない映像になってしまいます。
これを避けるために写真で言うこところの「動態振れの無いシャッタースピード」にしておく必要があります。
僕の経験値的には1/125以上にし、人間がそれなりに動く場合は1/250以上にする様にしています。
今回の動画は24fpsで編集しましたので、動きが滑らかな映像を得るには、シャッタースピードをもっと遅くしたい所です。
夜間や暗所ではノイズ対策に不利
シャッタースピードを早くする必要がありますので、当然ながら夜間や暗所での撮影には不利に働きます。
60fpsまでにしか対応していない
「Catalyst Browse」での手ブレ補正というよりか、僕が使っているカメラ「α7S III」では手ブレ補正のジャイロセンサー記録がフレームレート60fpsまでにしか対応していません。
後でスローモーションにする可能性を考えて120fpで回すことも良くあるのですが、その場合は手ブレ補正はできなくなります。
これは「Catalyst Browse」の問題ではなく、そもそも「α7S III」のアクティブ手ブレ補正は60fpsまでにしか対応していないので、カメラの問題です。
スローモーション動画は手ブレは気にならないので、120fpsでの4K録画などに悪影響はありません。
撮影時から等倍で使うのかスローにするのかを決めて収録しなければいけなくなるので、それが少し面倒くさいなと。
他の記事や動画で言われていること
「Catalyst Browse」での手ブレ補正については、僕が取り上げるまでもなく多くの人がブログ記事やYouTube動画をアップしています。
その中で僕が気になっている事が2つあります。
多くの記事や動画で、
- 10Bitが8Bitになってしまうよ
- アクティブ手ブレ補正をオフにしておかないと後がけ出来ないよ
と說明されています。
僕が使っている限りは、この2つは当てはまりませんでした。
10bit が 8bit に?
4:2:2 10bit の動画を「Catalyst Browse」で手ブレ補正処理をし、処理をした動画を「Catalyst Browse」でプレビューすると動画ファイルの情報はきちんと「10bit動画ファイル」として認識されていました。
上記画像は「手ブレ補正処理をして書き出した動画ファイル」を再び読み込み直して表示したメタ情報です。
カラーサンプリングが「4:2:2 10bit」になっているのが分かります。
アクティブ手ブレ補正をオフに?
もう一つ多くの記事や動画で見かけるのが、
「アクティブ手ブレ補正」をオフにしておく必要がある
です。
これも僕が試した限りでは出来ています。
僕は動画撮影時はジンバルに載せる時以外は基本的に「アクティブ手ブレ補正」をONにしていることが多いです。
ONにして撮影したデータもそうでないデータもどちらも「Catalyst Browse」にて「手ブレ補正処理」できています。
「アクティブ手ブレ補正」をONの動画は、「アクティブ手ブレ補正」だけでは弱かった処理しきれていないファイルをさらに補正するという感じで使っています。
もしかしたらソフトウェアのバージョン?
上記の2項目はもしかしたら「Catalyst Browse」のバージョンとかで違うのかも知れません。
僕は常に最新バージョンを使うようにしているので、もしかしたら古いバージョンだと制約があるとか?
まとめ
最後に改めて「Catalyst Browse」を真面目に検証してみた結果のマトメ。
- ジンバルを持っていけなかった撮影時の緊急避難対策としてはあり
- 最終的な画質はジンバル撮影とは雲泥の差
というのが僕の今回の結論です。
ただし「α7S III」での撮影の話です。
「α1」で8K撮影をして4K動画を作る場合には、画質は大きく改善する可能性もあると考えています。
原時点では「Catalyst Browse」はできれば避けたいので、小型のジンバルが欲しくなります。
僕は2個のジンバルを使っています。
- DJI – RSC2
- MOZA – Mini P
「RSC2」は性能は申し分なく「α7S III」と「16-35GM」が余裕で乗ります。
ただし大きくて重たい。
仕事での撮影では問題ありませんが、個人でのお出かけに持っていけるようなジンバルではありません。
「MOZA – Mini P」は軽く大きくはないのですが、パワーが足りません。
「ZV-E10」や「α6400」などのAPS-Cカメラでは問題ありませんが、「α7S III」となると相当に軽いレンズでないと乗せることができません。
そして「MOZA – Mini P」の最大の問題は「持ち運びがしにくい」です。
軽いのは良いのですが、持ち運ぶたびに調整位置をリセットしないと折り畳めないのです。
カバンから出す度にバランス調整からのスタートになるので、お出かけ時に使う気になりません。
そんな中で今月、新たなジンバルが発売されました。
ZHIYUNの「Crane M3」です。
700gという軽量にも関わらず「MOZA – Mini P」よりもパワーがあり「α7S III」とそれなりのレンズも乗せられるようです。
持ち運びもサイトや動画情報を見る限りは良さそうです。
その辺りは実際には使ってみないと分かりません。
物は試しということで早速注文しておきました。
中国からの発送だと思われるので、少し日にちが必要そうです。
到着したら使用結果をブログ記事にします。
最後は「Catalyst Browse」ではなくジンバルの話になってしまいましたね…。
今回はこの辺で。
ではまた。
皆さんは上記動画を見てどうでしたか?
「処理なし」に比べて「処理あり」の動画が少し粗くなっているのが気にならなかったでしょうか?