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【仕事】レコーディングや映像データ管理について【考え方】

ビジネスの学び
この記事は約9分で読めます。

岩崎将史まさふみです。

こういった相談を仲間の音響エンジニアから割と良く聞きます。

ケース1

〇ヶ月前にライブ・レコーディングをし、ミックス納品も終わっている案件。
追加のオーダーが発生したが、データの入った自分のHDDが読めなくなっている。

ケース2

レコーディングしたデータがどんどん溜まってHDDが凄い量になってきた。
自宅の棚がHDDでいっぱいで置く場所がもうない。

レコーディングや動画撮影はとにかく膨大なデータ量が必要です。
僕は特段に困ったことになったことは無いので、そのあたりを少し解説します。

データ管理の大前提

レコーディングや撮影などの業務に負いては、データの管理について次の2点を踏まえておくことが超重要です。

  • どれだけベストを尽くしても100%事故が防げるということはない
  • 管理の考え方と責任の所在を明確にしておく

100%の安全はない

どれだけ注意を払っていても、何事も100%の安全はありません
データのバックアップを取っていても2つとも壊れる事は0%ではありません。
補完してある場所に車が突っ込んできたり、家事になったらすればまとめて失います。

仮にクラウドサーバーで分散させたとしても、その2箇所が同時に何かしらの被害にあうというこ可能性もゼロにはできません。

まずその前提にたって、クライアントと認識を共有しておくことが重要です。

管理の考え方と責任の所在

データを管理する責任が自分にあるのか?それともクライアントにあるのか?これは結構重要です。
本来は責任がクライアントにあるべきなのに受注の仕方をミスってしまって、クライアントの責任ではない(≒自分の責任に)という状況になってしまった話は良く聞きます。

データ管理の考え方

そういった自体になると発注者も受注者も共に不幸になってしまいます。
そうならないためにも、データ管理についてお互いに正しい認識を共有しておくことが重要です。

業務のポジションを明確にする

まずは業務のポジションを明確にすることがとても大切です。
管理を伴う製作的な業務なのか、制作作業のみを行う技術的なポジションなのか。

製作と制作がわからない人は、過去記事を読んでみてください。

この辺りは業種や業界によっても言葉の範囲は少しづつ違うので、大まかな業務の意味合いでとらえてください。

動画製作の仕事で一例をあげると、

  • ディレクター → 全体の統括管理の責任を負う。カメラマンや編集マンに発注したり納品されたデータをクライアントに納品するまで管理する
  • カメラマン → 撮影するのが仕事→撮影データを渡したら終わり
  • 動画編集マン → 貰った素材を編集して納品したら終わり

という感じが一般的です。

例えば、

とある映像製作
とある映像製作

去年のあの動画だけど、ここをちょっとこう変えたバージョン作って〜

動画編集マン
動画編集マン

良いですよ〜。
昨年納品した素材一式送ってください

で、30分くらいでちょこっと直して納品完了です。
30分の作業代を貰えればそれでOK。

動画編集マン
動画編集マン

え?!1年前のいつだ。
年間200件くらい請けてるから、HDD探さなきゃ

となります。
編集作業だけであれば机1個とPCで出来ますが、年間200日分もの依頼仕事のデータを10年以上保管管理しようとすると、ちゃんと倉庫や棚を用意しなければいかませんし、時間も労力も取られます。

つまり作業だけに必要な費用管理に必要な費用は別なので、特に予算の厳しい案件であれば管理は製作サイドやクライアント自身で行う必要があります。

プロジェクトごとにストレージメディアを用意する

僕は必ずクライアントごとにHDDやSSDなどのストレージメディアを用意して頂くことにしています。
レコード会社などのディレクターであれば何も言わなくても毎回持参して頂けます。
そうでない場合、ストレージメディア自体の注文はこちらでやることも多いです。
が、あくまでもクライアントの物として別項目として請求を立てています。

フルハウスだけでなく、僕が普段お付き合いするする映像屋なども必ずそうしています。
そして撮影が終わったら、都度、コピーを取ってクライアントに納品して、都度業務を完了させています。

こうすることで忘れた頃に、新たな作業の依頼が来てもストレージメディアを持ってきて貰えれば対応できますし、さまざまなリスクを回避することができます。

できれば2台用意する

とは言え、1台のストレージメディアを毎日のように受け渡ししていては効率も悪いです。
ですので、中期的に続く案件に関しては2台のメディアを用意してもらい、1台はお預かりしているという体裁で日々の作業を進めていき、定期的コピーを取って納品をしています。

忘れた頃にやってくる仕事は意外に多い
先日も15年前くらいに制作した曲を「少し録り直してCDにしたい」という話がありました。結構それくらいのスパンも珍しくはないので、クライアント本人でデータを持っていることを勧めています。

管理業務を行わない場合

現場の技術サイドは、コンテンツをデータ化して納品する仕事です。
ですので、納品以後のデータの管理責任は発注者側になります。

クライアントのプロデューサー
クライアントのプロデューサー

HDD持ってきました。
これに録音データを入れる作業を発注します。

岩崎
岩崎

あいあいモ〜!

作業完了後…

岩崎
岩崎

録音完了モ〜
HDDに収録データ全部入ってるから、
何かあったら持ってきてモ〜

クライアントのプロデューサー
クライアントのプロデューサー

了解しました。
ありがとうございました〜

と言った流れです。
レコーディングでも撮影でも一緒です。

頻繁にある仕事で前項で書いたように2台用意してもらいます。
1台を常にこちらが持っていることで直ぐに作業が始めれます。
その分のストレージメディア代は掛かりますが、数千円の話です。
作業の効率化により直ぐにスタジオ代の差額で取り戻せます。

なぜ管理をしてはいけないのか?

なぜ技術側が管理をしないのかというと、最初の相談のように「ずっとデータを保管するコストと責任が発生する」からです。

例えば録音エンジニアとしてだけで生計を立てる場合、年間200日が全て別のアーティストやプロジェクトということも普通にあり得ます。

実際にこういう相談されたことがあります。

とあるフリーランス音響エンジニア
とあるフリーランス音響エンジニア

自宅の棚が録音済みのハードディスクで埋まってしまって、これ以上どうしたらよいのか…、岩崎さんはどうしてますか?

プロジェクト毎にHDDを用意したとして、1年間で200台のHDDをエンジニアが管理するのは現実てきではありません。
皆さん最初はそれらの管理もサービスで請けて、仕事が増えればそのコストもペイできると考えちゃうんです。

実際は逆です。
仕事が増えれば場所も時間も足りなくなって管理ができなくなります
きちんと管理し続けるためには場所代、管理する時間や場合によっては人を用意しなければならなくなります。

僕は経営では常にエネルギー保存の法則ならぬコスト保存の法則という言葉を勝手に作って昔から言っています。

コスト保存の法則

経営の教科書的な感じでこういう話があります。
何の本で読んだか忘れちゃったのですが、とある有名な経営者の経営の教科書てきな本の中で、

電球を売るのに普通の訪問営業マンは「この電球を買ってください」という。
私は同じ金額で「この電球を取付けてあげます」と言った。
この方針で業績を大きく伸ばした。
ビジネスとは良いサービスを考えることだ。

みたいな。

これはそもそも取付サービスを行ってもお釣りがくるだけの粗利益があるから出来る話です。
本体の技術サービスが自分に必要な金額よりも少し多めに設定しているなら、売上トータルの中から管理費をみることもできます。

どちらのスタンスでサービスを提供しているかによります。
一般的には、ストレージメディアを半永久的に預かって管理維持し続けるようなコストを盛込むことは僕は難しいと考えています。

管理業務を行う場合

僕は製作としてプロデューサーやディレクターの立場としてデータ管理に責任を追うポジションの仕事をすることも多いです。

その場合は必ず制作費中に必ず管理費をみます。

例えば半年間のプロジェクトとして、その間に発生するコストとしては、

  1. 新品ストレージメディアの購入
  2. それを保管するコスト
  3. 万が一、火災などにあった時の保険

などなどがあります。

HDDなどの物理ストレージメディアの購入金額

プロジェクト毎にストレージメディアは必ず新品を用意します。

たまに古いHDDを使用して壊れたなどの話を聞きますが、自業自得としか言いようがないです。
新品でも壊れる可能性はゼロではないですが、何度も上書きを繰り返し断片化したハードディスクなどとは危険性は比べ物になりません。

保管するコスト

保管するには場所が必要です。
名古屋の街なかであれば、坪単価が月に1万円前後以上の物件というのは殆どです。
そこに棚をおいて管理できる数は限られています。
数ヶ月とか数年間おいておいてらかなりのコストになってきます。

制作費にはこうした管理費も正しく見積もりに盛り込んで置かないと、毎月固定費を圧迫する負の資産になってしまいます。

また、厳密に管理責任を負うということは定期的なメンテナンスも本来は必要です。
ここ10数年でもステレージの規格は、IDEだったりファイヤーワイヤー、サンダーボルトなど様々に変わり続けています。

10年ぶりに「以前録音したやつのをやり直したくて」というオーダーが来た時に、もうデータを読める機械が無いので、というのは管理者としては問題です。

実際にはどうしようもないので、しっかりきちんと期限を区切って管理の責任を負い、時代に合わせた変化が必要であれば、都度クライアントにその費用を出して頂かなければ不可能です。
それ故に「何をする仕事なのか」を明確にして置くことが重要です。

火災保険など

進行中に災害にあう可能性もあります。
クライアントの逸失利益までの責任はとても負えるものではないですが、進行中だった作業分を速やかにやり直す必要はあります。
そのためにフルハウスも毎年、掛け捨ての火災保険に入っています。

当然このようなコストも製作管理費の中から充てていく必要があります。

まとめ

ということで、作業よりも管理の方が僕はノウハウが必要で大変だと考えています。
大工さんよりも監督の方が大変ですし、平社員よりも中間管理職の方が大変。
まあ会社や業種によるとは思いますが。

管理業務も含めて請け負う時はそのコストをみると共に期限を切ることも大切です。
そして最終的な納品の要件などゴールを明確にしておくことです。

中途半端に請け負ってしまうと大変ですしリスクも高いです。
と同時にクライアントサイドにまわる時は管理も含めての丸投げはせずに、適切に管理することで制作進行を速やかにしコストを抑えることもできます。

お互いに業務のポジションを明確にしてお互いの役割と責任の認識を全員で共有しましょう。それが最も全員がハッピーになれる方法です。

ということで、では、また。

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