岩崎将史です。
EギターやEベースをレコーディングするときは、必ずアンプありと無しの2つのサウンドを同時にレコーディングしておきましょう。
それだけでミックスの完成度を大幅にあげることができます。
その理由や方法について解説します。
アンプありと無しの両方が欲しい理由
EギターやEベースではアンプありの音と無しのダイレクト音と、両方レコーディングされているのが望ましいです。
なぜ両方のあると良いのでしょうか?
アンプありの音が欲しい理由
アンプありの音が欲しい理由は主に2つです。
1. 使える音ならそのままミックスできる
頂いたアンプありのサウンドに何の問題もなければ、そのトラックのままミックスします。
最も手間のかからない理想の方法です。
2. 制作者のイメージが伝わる
もしアンプサウンドに問題がありアンプ無しのダイレクト音を使う場合に、アンプ有りのサウンドがあると楽曲制作者のイメージを的確に掴み取ることができます。
アンプなしの音が欲しい理由
アンプ無しの音がほしい理由を説明します。
ダイレクト音からミックスをした方がミックスのサウンドクオリティを上げられる場合が多いからです。
どのような時にダイレクトサウンドからミックスしたほうが良いのか?
2つの場合があります。
1.アンプのサウンドクォリティに問題があった場合
宅録などのレコーディング環境の場合、ハイエンドの業務用スタジオ機器と比べてどうしても音が丸かったり籠もったり抜けが悪かったりします。
電源の環境で機器の性能を100%引き出せていなかったり、マイクのスペックや使い方がベストでなかったりなど。
2.ミックスの段階で少し音を変更したくなった場合
アンプ録音のサウンドクォリティに問題がなかったとしても、ミックスを進めていくうちに、もう少し違う音のほうが合うという場合がよくあります。
レコーディング時ではベストと思っていても、全体のサウンドが仕上がってくると、少し違う音像のう方がよりマッチすると感じるようになることも珍しくないです。
ベストなサウンドを作れる理由
ダイレクトサウンドからミックスすることによって何故より良いサウンドになる可能性が高いのか?
次の3つの手段をとれるからです。
- もっと良いアンプシミュレーターを使える
- ベストなパラメータに調整できる
- 本物のアンプでリアンプしなおせる
もっと良いアンプシミュレーターを使える
もしかしたら僕らが持っているアンプシミュレーターの方が良いサウンドになる、かもしれません。
一緒かも知れませんが…。
ベストなパラメータに調整できる
同じアンプシミュレーターを使ったとしても、全体のミックスにマッチした、より適切なパラメーターに調整できます。
例えば録音時にはアンプのEQ設定でローがブーストされていたとします。
ギターのローがベースと団子になってるので少しだけカットしたいも〜
と気になったとします。
その場合にはミキサーのEQでカットすることになるわけですが、アンプのEQでローを持ち上げているのに、それをカットとなるとオーディオクォリティ的にはどんどん不利になります。
この場合には、
アンプシミュレーターのローEQを少し戻せば解決〜
です。
この方がサウンドクォリティは高くなります。
本物のアンプでリアンプする
場合よっては本物のアンプでリアンプもします。
レコーディング・スタジオでの作業が必須ですが、そこは僕がフルハウスというレコーディングスタジオを持っている強みです。
ミックス料金で必要があればリアンプも行っています。
リアンプにはリアンプという機器を使ってレベルマッチングさせます。
ミックス時に本物のアンプでサウンドを調整したいという人には必須の機器です。
両方を同時にレコーディング方法
アンプありと無しの両方のオーディオトラックのデータを用意するにあったって、アンプありと無しでレコーディングを2回する必要はありません。
1つの録音テイクからダイレクト音とアンプ有りの2種類のサウンドを同時に録音できます。
次の3つの方法について説明します。
- プラグインの場合
- ハードの場合
- 本物の場合
プラグインの場合
プラグインの場合は、ダイレクト音をそのままトラックにレコーディングします。
ギターアンプシミュレーターのプラグインはモニターのみに掛かるようにします。
僕が使っているおすすめのアンプシミュレーターについて書きました。
ハード型の場合
ほとんどのハード型アンプシミュレーターには、素のギターの音を出す出力端子が付いています。
その出力部分には次のような名称が付いていることが多いです。
- DIRECT OUT
- THRU
それに対してアンプシミュレーターが掛かった音はMAIN OUTなどの名称が一般的です。
この2つのアウトをそれぞれ別々のトラックに同時にレコーディングしてください。
アンプ録音の場合
ギターとアンプとの接続との間に、DIボックスをつなげます。
DIRECT OUTやTHRUなどと表記されたフォーンプラグはギターアンプへ接続します。
通常どおりにマイクを通してレコーディングします。
MAIN OUTなどと書かれたXLR端子のアウトプットは直接オーディオインのマイクインプットなどへ接続します。
それぞれを別のオーディオトラックで同時にレコーディングします。
アンプ有りと無しのデータを作成するときのポイント
それぞれのデータを作成するときのポイントについてです。
アンプありのデータを作成するとき
- ボリューム情報を含める
- パン情報は含めない
- その他のインサートプラグインなどの情報も全て含める
アンプなしのデータを作成するとき
- ボリューム情報は含めない
- パン情報は含めない
- その他のインサートプラグインなどの情報も全て含めない(=Bypass)
この辺りは「ミックスをオーダーする際のデータ作りのポイント【マルチ・パラ】」で解説していることと同じです。
エフェクトありとエフェクトなしの両方を準備。その理由も解説しています。
まとめ:最高のサウンドの音楽作品を残すために
これで搬入してもらえればほぼ常に限りなく、最高のサウンドを目指せます。
ただし、レコーディング環境はあまりにも良くないと、それなりにしかならないかも。
基本的なレコーディングスペックを上げていくことはとても大切です。
ただし、究極的に追い込むのは自宅だと非効率。よければスタジオにきてください。
では、また。