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【収録から仕上げまで1.5時間で】フルートとピアノの演奏動画。コンクールやオーディションなどに。

スタジオ・レコーディングの仕事
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こんにちは、岩崎将史まさふみです。

先日、フルート奏者・満丸彬人さんの新たな収録を行いました。

満丸さんについては以前にフルートソロのコンクール用の収録動画制作を記事にしています。

この神戸国際コンクールはその後の3回の動画審査を突破していくことができました。

今回は別の新たな演奏動画が必要との事でのご依頼。
前回はフルートのみの演奏動画でしたが今回はピアノ伴奏付き。

ならばと言うことでピアノ伴奏付きの動画審査用の収録や動画制作方法を記事にしてみようと思いました。

今回の記事や僕のスタジオである「フルハウス」のやり方を紹介するだけです。
そのため余り汎用性はなく参考にならない部分もあるかもしれませんが、基本的な考え方は方法はコンクールやオーディションで演奏動画を作らなければならない人の参考になると思います。

フルートとピアノの演奏動画VLOG

フルートのピアノ伴奏パターンはまだ動画にもしたことがなかったので、収録中に別カメラでのVLOG撮影もしてみました。

それを編集した物がコチラ。

YouTube
作成した動画を友だち、家族、世界中の人たちと共有

見て頂いた上で記事を読んで頂いた方がより伝わるかと思います。

映像の撮影方法

今回はアーティスティックな映像作品づくりではなく、動画審査提出用を前提としています。

コンクールやオーディションのよくある規定

コンクールやオーディションの場合は様々な規定があります。

  • 固定カメラ1台のみ。
  • 正面からで最低でも上半身が収まっていること。
  • 顔や指が隠れたり見えなくなったりしないこと。
  • 通しテイクのみで編集などは一切不可。

というようなよくある一般的な規定です。

以前に書いた『カメラ1台でドラムの演奏動画を撮る』記事も同様のシチュエーションを想定した実験でした。

そのためカメラは正面からのみ。
演奏と伴奏者を収める画角にしました。

SONY α7SIII を2台

カメラはSONY『α7SIII』を2台で撮影というのを、今の所デフォルトにしています。

常に2台のカメラで収録

2台目で収録するのは、どちらか1台が何かしらのトラブルで止まったとしても収録漏れを起こさないためです。

フルハウスが所有するカメラの中では動画はα7SIIIが今の所は最強です。

α7IVは使わない。

α7IVというより新しいカメラも所有していますが、コンクールやオーディション、コンサートなどの収録では使わないようにしています。

理由は熱に弱いから。

4Kで撮影していると10数分くらいで高熱アラートが液晶に表示され、そこから数分すると録画が停止ししてしまいます。

1080PのフルHDなら長い時間収録できるかもしれません。

ただし音楽演奏という二度と同じことはできない素材を収録するようなシチュエーションで、もしかしたらどこかで止まるかもしれない、というカメラを使う気にはなれません。

その意味でもα7SIIIは2時間ほどのコンサートでの4K収録を散々行ってきた実績があり安心感が違います。

ちなみに、数分程度づつの撮影ではα7IVでも全く問題ないですし、映像は素晴らしいクォリティで記録できます。

提出は基本フルHDだが4Kも

提出用の動画は基本的にはフルHDにしています。

これは受け取った側が余りにデータが大きすぎても取り回しに苦労するだろうからです。

近年ではYouTubeに限定公開でアップロードし、そのURLを送るという場合も増えています。

その様な時はクライアントが許せば4Kで納品する場合もあります。

フルHDでの提出なのにで4Kで撮影する理由

4Kで提出する場合もある最後にトリミング調整できる幅を残しておくためです。

トリミング調整をする事はほとんどありませんが、万が一被写体である演奏者を少し大きく見せたいというときに調整できるようにするためです。

フレームレート

フレームレートは30fpsで収録する事が多いです。

4K 60fps 4:2:2 10Bit はメディア容量が厳しい

60fpsで撮る場合もありますが60fpsで4:2:2の10Bit撮影だと、メディア容量的に長尺が撮れないという問題があります。

現在、SONYのαシリーズで4Kで4:2:2 10Bit撮影をする場合には、記録媒体はSDカードではなくCF-Express Type Aが必須です。

一番容量多いSONY純正 160GBのCF-Expressカードを使っていますが、これでも1時間ちょっとしか収録することができません。

テイクを重ねることになった場合にカード容量が足りなくなるというのも30fpsに留める理由の1つです。

納品までのスピードもとても重要

それ以上に4K 60fps 4:2:2 10Bitだと、納品までの作業がめちゃくちゃスムーズにならないというのも理由にあります。

撮影から納品までを2時間以内でサクッと終わらすというのも、売りの一つにしているので60fpsによるメリットとデメリットを考えると、あまり意味は無いかなと考えています。

作業時間が増えると、その分のコストはどうしても価格に反映させなければならなくなるので「最高品質できるだけリーズナブルに」という塩梅が重要だと考えています。

24fpsだと粗すぎる

映画などは30fpsよりも荒い24fps。

24fpsであれば露光時間をより長く設定しやすくなりますし、モーションブラーなども発生してよりシネマティックな雰囲気のある映像になります。

ただし演奏動画にはあまり向かないと考えていてサウンドの合わせが少し大雑把すぎになります。
タイミングを合わせるだけであれば60fpsがベストですが、総合的に考えて30fpsを選択しています。

ただし今のところはということで、今後は色々と考え方も変わってくるかもしれません。

録音方法

そもそもフルハウスは音楽用のレコーディング・スタジオですので、録音はほぼ通常通りのレコーディングの設定でした。

クラシカルスタイルのレコーディング手法

いわゆる古典的な1ルームによるレコーディングと同じ考え方と手法。

クラシカルスタイルのレコーディングについては過去記事で解説してますので、興味のある人は読んでみてください。

動画審査用と通常の音楽レコーディング異なるのは演奏者の向き。
CDなど映像を必要としない音楽作品の場合は、僕は伴奏者とソリストが向かいあった配置にします。

その方がアイコンタクトやタイミングの合わせがしやすいですからね。

そう言えばまだブログ記事にしていませんでしたが、こちらの動画は向かいあって演奏している配置です。

気にするのはマイクやスタンドの写り込み

コンクールやオーディションの動画審査の場合、あまりマイクやスタンドが映像に映り込むのは望ましくないと考えています。

特に規定で禁止されていることではないですが、映っては駄目というわけではないです。
ただクラシック音楽の場合、そもそもPAを使わないで成立してきた音楽という分野だったりしますので、あまり目立つのは避けたいなと個人的に思っているだです。

メインマイクが95%~100%

サウンドはほぼメインマイクの音をそのまま使うことが多いです。

マイクは毎回同じ構成ですが、こんな感じ。

フルート&ピアノ収録時のメインマイク ROYER R-121とB&K4006

念の為にピアノにスポットマイクを置きますが使うことはまずないです。

DPA4021のケースの中身

本当に念の為。

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距離感で音像を調整

メインマイク1初(正確には1ペアですが)でサウンドを決める場外に最も重要なのは、楽器とマイクの距離感。

演奏のダイナミクスや粒立ちと直接音と間接音の塩梅が最も自然なポジションを見つけていきます。

およそのセオリーはありますが、それはまた別の機会にて。

同時に部屋の残響が調整されている事はとても重要です。

自宅や練習スタジオなどで録音する場合は、ホールや録音スタジオの用に考えて設計されていないので、何かしらの工夫が必要になります。

アコースティック楽器、特にクラシック音楽で使われる楽器は部屋の音質はとても重要です。
そこは機械や後処理ではどうすることも出来ない壁があります。

収録から納品まで1.5時間

収録開始から完成動画の納品までの作業時間はおよそ1.5時間ほどでした。

ただし奏者は入ったら直ぐに収録を始められるように、スタジオのセッティングなどは更に1時間ほど前から準備はしています。

3テイクを収録しOKテイクを選ぶ

今回は全3テイクを収録しました。

1テイクづつ録音を聴いての確認なども含めて1時間ほどだったかと思います。

その場の視聴では、

満丸彬人さん
満丸彬人さん

多分テイク2が良いとは思いますが…

との事でした、特に急ぎの提出ではなかったので、

岩崎
岩崎

全テイクをアップロードして聴けるようにしたので、ゆっくり聴いて
どれが良いか決めてもらっても良いですよ。

ということでゆっくり落ち着いて確認して頂けるよう、全テイクの音源をサーバーへアップロードしました。
PCやスマホで、ご自宅などででじっくり聴いて選んで頂けます。

後日メッセージを頂き、

満丸彬人さん
満丸彬人さん

やはりテイク2にしますね

岩崎
岩崎

承知しました。
直ぐに提出用の動画を作りますモ〜

動画の制作と書き出し

最終的な提出動画の制作を僕はFinal Cut Proで行っています。

動画編集ソフトですが、やることは簡単な作業で、映像と音声とはめ込んでタイミングをあわせるだけです。

演奏前後のトリミングは行いますが、今回の様な内容の場合は編集は一切しません。
というか禁止ですからね。

調整は、

  • 映像の明度など
  • 音量バランスやラウドネスなど

のみなので、それほど時間の掛かる作業ではありません。

もちろんコツやポイントはいくつもありますが。

YouTube様に最適化

完成した動画は、一度ProResマスターを作成した後に、今回はYouTube用に最適化しました。

YouTubeやInstagram、TwitterやFacebookなどのプラットフォームはそれぞれ最適な動画フォーマットが違います。

適切に合わせないと、見ることはできますが画質や音質が本来のクォリティではなくなってしまいます。

特に音については、劣化しない様々なノウハウというか注意点を貯めてきました。

その辺りもまた時間を見つけて記事化したいなと思いつつなのですがはてさて。

完成した動画ファイルをダウンロード納品

完成した動画ファイルを再びサーバーへアップロードして納品完了です。

ここまでで収録から納品までの延べ作業時間は1.5時間ほどだったかと思います。

厳密にはスタジオの撮影準備に小一時間ほど使っていますが、スタジオへお越しいただければサクッと収録し動画ファイルをお渡しできるようにしています。

もし「録ってもらったほうが良いや」と思う方がいらっしゃれば、いつでもお問い合わせください。
スタジオのお問合せフォームのページを貼っておきます。

今回はこの辺にしたいと思います。
ではまた。

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