こんにちは、岩崎まさふみです。
こんな問い合わせを頂きました。
調律の狂ったピアノを録りたいですが、そんなピアノはないでしょうか?
お問い合わせを頂いたのは先日、録音や撮影などを担当させて頂いたスーパーピアニスト加藤あやさんです。
こちらの動画については僕の会社「フルハウス」のホームページで詳しく紹介しています。
加藤あやさんが求めているのは、おそらくホンキートンクピアノのことだと思われます。
ホンキートンクピアノでの作品化のポイント
ホンキートンクピアノを記録して作品化するためには次の3点を気をつければ良いと思います。
- アップライトピアノ
- 録音できる環境
- ピッチをホンキートンクに調律
アップライトピアノ
ホンキートンクピアノの音色やラグタイム系の音楽はアップライトピアノが似合います。
アップライトピアノのメーカー名からきた名前
そのスタイルが確立した19世紀末から20世紀初頭ですのアメリカです。
当日はホンキートンクと呼ばれるカントリー・ミュージックを演奏するバーが流行っていました。
ホンキートンクという名前の由来は不明ですが、アメリカの大手アップライトピアノメーカーで「ウイリアム・トンク&ブラザーズ」というのがあり、そのピアノには「アーネスト・A・トンク」とネームが入れられていました。
このピアノは1989年まで製造されなくなっていますが、ここからきた名前だと考えられています。
グランドピアノの場合はできるだけ小型で
もしグランドピアノでホンキートンク調の音色を作るのであれば、アップライトピアノの様な出来るだけ弦の短いピアノが良いでしょう。
YAMAHAであればC3までのサイズが良いと思います。
僕のスタジオフルハウスのピアノはC7サイズということで、少し大きすぎます。
そのために、こういった場合は最適なピアノがある場所をご提案して録音しています。
録音できる環境
良きピアノがあったとしても録音できる環境でなければ作品化できません。
録音するためにはある程度の静な場所や部屋の広さなどが必要です。
一見して静かそうでも空調や換気扇を止められない場所などもあります。
また部屋が狭いとピアノの直接音ではなく、余分な残響は不快な濁った響きが入ったりします。
そうした問題をできるだけ解決できる場所を選び提案して進めています。
もちろんどうしてもココで録音したいという要望があれば対応もしています。
ピッチをホンキートンク調に調整
上記2つのロケーションが確保できたら、あとは調律です。
ホンキートンクピアノは本物の生ピアノの調律をホンキートンク調に仕上げることで再現できます。
ホンキートンク調の調律
ピアノには1のキーに複数の弦が張られています。
通常のピアノは同じピッチになるように調整します。
ホンキートンクピアノはこれをワザとずらして実現します。
どのように変わるかはサンプル動画をご視聴ください。
普通の調律の場合
少しピッチをずらす
さらにずらす
こんな感じで欲しい音色、ずらし具合を調整できます。
生楽器ならではの臨場感を作品に
キーボードやソフトシンセなどにもホンキートンクピアノの音色は入っています。
でもやはり生で録音した臨場感、他の弦やボディの共振などの一体感などは得られません。
もっとも良き方法を提案し機材を持ってどこへでも参りますので、こういった質問や要望もどんどんください。
このブログの問い合わせフォームか、僕のスタジオ「フルハウス」までお問い合わせください。
ではまた。
サンプルの動画はフルハウスの指定調律師、岡圭吾さんが撮影してくれました。