こんにちは、岩崎将史です。
音楽家が自主で楽曲音源やCDを作った際に、どの様な販売方法があるのか?
簡単にまとめて解説します。
音楽コンテンツの販売メディアは2種類
現在の音楽コンテンツの購入方法=販売方法を先ずは整理してみます。
音楽コンテンツを購入するためのメディアはここ20年で大きく様変わりしました。
主に次の2種類のメディアに分けて考えることができます。
- 音楽ファイルなどのデータ
- CDやレコードなどの物理メディア
この2つのメディアについて、それぞれの販売方法を見ていきます。
音楽ファイル(データ)でのビジネスモデルは2種類
音楽ファイル(データ)での販売を行っているプラットフォーム・サービスを「音楽配信ストア」と呼びます。
著名な音楽配信ストアは「Apple Music」や「Spotify」でしょう。
少し前までは「iTunes Store」というサービスもありました。
これら音楽配信ストアは次の2種類の販売方法があります。
- ストリーミング再生
- ダウンロード販売
どちらも「音楽配信ストア」と呼ばれるサービス・プラットフォームで販売できます。
先ずはそれぞれの違いを理解しましょう。
ストリーミング再生サービス
ストリーミング再生サービスは音源データをダウンロードするのではなく、YouTubeなどの様にインターネット回線を通じてリアルタイムで通信をしながら音楽を聴くサービスです。
音源データはサービス・プラットフォームのサーバー上にある、ユーザーは手に入れることはできません。
費用としてはサブスクリプションで月額1,000円前後というのが一般的です。
ダウンロード販売サービス
それに対してダウンロードサービスは、iTune Storeが先駆けとなり2001年から始まったサービスです。
1曲100円~200円程度で圧縮音源ファイルをダウンロードして購入するというサービスでした。
これまでのCDという物理メディアから音源ファイルに置き換わったことで、入手のしやすさ、携帯性が格段に向上しました。
その代わりまだインターネット・インフラの通信速度などが遅い時代。
データ容量を削減するためにマスター音源を同じ品質の物をそのままダウンロード購入するのは現実的ではありませんでした。
そこでmp3や後にaacとなる不可逆的圧縮音源が採用されました。
2010年代になると、マスター音源をそのまま視聴できるいわゆるハイレゾのサービスがでてきました。
などのサービスがこれに当たります。
僕もこの2つのサービスは多く利用しまして数百曲は購入してきました。
時代はストリーミング再生サービスへ?
「iTunes Store」から始まった音楽ダウンロード販売ですが、2010年代になると月額サブスクで聴き放題の「Spotify」が急激にシェアを伸ばしました。
Appleもそれに対応して「Apple Music」という月額サブスクリプションによる聴き放題ストリーミングサービスを開始。
その後、音楽ダウンロード販売の先駆けであった「iTunes Store」は2019年にサービスを終了し「Apple Music」に統合されています。
これらの音楽ストリーミング再生サービスは月額サブスクによる1曲あたりの費用の安さが売りでしたが、その代わり再生される音源ファイルはaacなどの不可逆圧縮音源。
僕はこれがどうしても楽しめず、先のハイレゾ・ダウンロード販売を多様していました。
ただし現在はApple LosResなどの、ハイレゾ音源の音質を悪化させずにストリーミング再生を実現する方法も登場していますので、これからはストリーミングサービスに1本化されていく時代になるかもしれません。
音楽配信ストアで販売する
ストリーミング配信とダウンロード配信の違いができたら、次はいよいよ音楽配信ストアで販売するための方法を解説します。
現在は「Apple Music」や「Spotify」を始め多くの音楽配信ストアがあります。
これらの音楽配信ストアで販売することは個人の自主作品でも可能なのでしょうか?
結論は可能です。
現在は「TuneCore」の1択
音楽配信ストアに自分の作品を出品するためにはアグリゲーターと呼ばれる仲介業者を通す必要があります。
現在、音楽配信ストアに自身の作品を出したいのであれば「TuneCore Japan」というアグリゲートのプラットフォーム・サービスを使うのが最もオススメです。
「TuneCore Japan」はほぼ全ての音楽配信ストアに配信可能で、販売売上は100%還元されます。
その代わり1タイトルごとに初期費用が1年ごとに¥2,000~¥6,000程度必要です。
「JAPAN」という名称がサービス名に付いていますが、国内外関係なく世界中の配信ストアにならびます。(一部法律的な観点で制約のある国や地域はあります)
もちろん個人の方でも簡単にアカウントを作成して運用できますので、直接アーティストご自身が運営するのがオススメです。
ところが僕の会社フルハウスでは何故だか「TuneCore Japan」での運用代行も頻繁に依頼され行っています。
主に小さな事務所や個人事務所が多いです。
デジタル系にそれほど強くなく、スタッフは常に多忙なので、諸々の手続きをお願いしたいと。
売上から20%ほど手数料を頂いてまして80%を自動でクライアントに還元する仕組みです。
少しデジタル・マーケティング的なアドバイスなどもしています。
が、できるなら自分でやった方がもちろんお得です。
音楽配信ストアで配信するときはお知らせください
僕やフルハウスでレコーディングなどした作品を音楽配信ストアで配信する際は、是非おしらせください。
というのも音楽配信ストアは今や、CDよりも高音質のハイレゾ配信に対応している所が多いです。
CD用のマスターデータではなく、それ用のハイレゾデータを納品します。
費用はほとんど掛かりませんのでご心配なく。
是非ハイレゾ音源で良い音でリスナーに届けましょう。
そしてフルハウスのWEBサイトでも全力で宣伝しますので、是非お知らせください。
CDなどの物理メディアの販売方法
CDなどの物理メディアの販売方法は主に3つです。
- ライブ会場、イベント会場などでの販売
- レコード店で販売
- インターネットで販売
物理メディアでの販売は、インターネットや店舗などを問わず、卸しや小売などの「流通」と商品生産者である「メーカー」との費用の按分が発生します。
それはコチラの過去記事で解説していますので、合わせて読んで理解しておいてください。
ライブ会場、イベント会場などでの購入
「ライブ会場、イベント会場などでの販売」は説明する必要はないと思います。
この記事を読んでくださっている皆さんの多くは既に実践済みでしょう。
インターネットでCDを販売する方法
現在の主流はなんといってもインターネットでの購入や販売です。
インターネットでの販売方法は2つの方法が考えられます。
自らネットショップを立ち上げる
自身で物販の販売ページ、いわゆるネットショップを立ち上げる方法です。
個人でも簡単にネットショップが始められるプラットフォームがいくつかあります。
最大手3つが
です。
今回の記事ではそれぞれのストア・プラットフォームの詳細には触れませんが、どれも超有名な大手プラットフォームですので安心して使えます。
ちなみに僕はお付き合いのあるタレント事務所からタレントグッズを販売したいということで、ネットショップの管理を依頼されており、その案件では「STORES」を使っています。
大手ECサイトを利用する
大手ECサイトで販売する方法もあります。
最大手としては「Amazon」や「楽天」が有名でしょう。
個人でも大手ECサイト内で販売することができます。
この事は知っている人には当たり前ですが、知らない人も割といらっしゃします。
僕の会社であるフルハウスも「Amazon」で出品しています。
ところが近年は「Amazon」でのCD新譜の取り扱いはできなくなってしまいました。
商品の動く数量が極端に少なくなって来たからだとお思われます。
新譜CDを販売しようとすると「現時点でAmazonは新規CDの取り扱いを中止しています」と表示されて取り扱いができなくなっています。
ただしCD以外の商品は扱う事ができます。
フルハウスでは関わるクライアントやアーティスト関連の商品を「Amazon」で販売しています。
「Amazon」はショップの維持に月額4,000ほどの費用が必要です。
個人や零細事務所で「Amazon」に出品したいけど、
「どれくらい売れるか分からないし、月額固定費の負担が心配…
という人はご相談ください。
楽天については僕は全く触ったことがないので分かりません。
フルハウスWEBショップを利用する
自分で販売サイトを作るほどじゃないけどCDをネット販売したいのですが…
こういう人の為にフルハウスは独自のECサイト「フルハウスWEBショップ」を立ち上げています。
フルハウスでレコーディングなどのご依頼を頂いた人に、ストアでの販売サービスを提供しています。
初期費用などは必要なく、販売に応じて流通分をいただくシステムですのでアーティストサイドの負担はありません。
フルハウスにCDを必要数量分を預けていただければ、注文から出荷までスタッフが全て自動で対応しますので、手も掛かりません。
こちらも利用したい人がいれば是非お問い合わせください。
レコード店などで販売する
レコード店の数は少なくなったとはいえ、まだ存在します。
僕自身は10年以上レコード店には足を運んだことがありませんが…。
レコード店でもインディーズや自主制作の作品作品を販売する方法があるのでしょうか?
結論として方法はあります。
ただし僕は過去数年レコード店での販売案件に全く関わっていないので、少し古い情報です。
やり方として3種類があります。
- 流通業者を利用する
- レーベルと一緒に作品を作る
- 小売に直接卸す
流通業者を利用する
以前はインディーズCDを中心に取り扱ってくれる、いわゆる卸売業の専門会社がいくつかありませいた。
ただし2010年代に入りレコード業界の大変革に伴い次々と撤退していきました。
今もまだあるのかは分かりませんが、そうしたCD流通業社を見つけて依頼する方法があります。
CDプレス会社などでは全国流通の取り扱いをサポートしてくれる会社もあります。
そういったサービスを利用する方法もあります。
ただし、あくまでも各レコード店のバイヤーさんが「注文ができる」という状態にするだけの話です。
実際に注文がくることは、余程話題になり末端顧客からの注文が複数入らないとオーダーは入らないと考えた方が良いです。
そういった観点から僕個人はオススメする方法ではありません。
レーベルと一緒に作品を作る
全国流通などのルートやノウハウをもっているレコード・レーベルと一緒に作品を作るという方法があります。
各レーベルの持っているプロモーションやセールスのノウハウを活用できます。
ただしレーベル毎にブランディングや独自の特徴などを強く押し出しています。
あくまでもそのレーベルの作品でもあり商品であるという事になりますので、選曲や発売時期などから一緒に相談しながら綿密に計画を立てて決めていく必要があります。
完全な自主制作とは意味合いが変わってきますが「レコード店にCDを置きたい」という観点だけでいえば、現在とり得る最も最善の方法です。
直接小売店に卸す
自身でレコードメーカー及び卸業者として直接に小売店に卸す方法もあります。
僕の会社フルハウスも過去に定期的に「ディスクユニオン」などに卸していました。
ただし僕が卸していたのは2018年ころまでの話でして、近年も自主制作やインディーズCDを扱っているかは分かりません。
レコード店での販売の注意点
今回お知らせした方法は、レコード店での取り扱いを可能にするという所までです。
実際に各店舗からオーダーが入るかは別です。
レコードショップから注文が入るためには末端の顧客がレコードショップにそれなりの人数がCDを予約する、注文するなどの動きが必要です。
こうした動きを作るには余程のプロモーション力が必要です。
そのレベルでのプロモーション力があるなら、レコード店よりも自身のWEBショップなどで販売した方が、
- 収益的にも有利
- 顧客リストも獲得できる
などの観点から圧倒的に良かったりします。
レコード店の活用は中々に難しい時代です。
販売・配信はできるけど、注文が入るかは別問題
一通り現在時点での音楽コンテンツの販売方法を紹介してきました。
とはいえ「買えるようになった」と「実際に買う」の間には大きな開きがあります。
音楽コンテンツは宣伝し認知され、感動されないと注文は入りませんしPVもつきません。
そのための方法は多くの人が日々、実践しながら模索を繰り返しています。
誰にとっても「これが正解」というのはありません。
僕のクライアントとなる音楽家や事務所が、作品を販売できてマネタイズできないと僕の仕事も回っていきません。
そのためできる限りのアドバイスはさせて頂いています。
セールス見込みに合わせた予算組でのレコーディングなども相談にのっています。
作品化、商品化を考えている人は是非お問い合わせください。
今回はこの辺で。
ではまた。