岩崎将史です。
佐藤竹善さんの「Your Christmas Night」、昨年に続いてライブ・レコーディングのオファーを頂きました。
12月17日(火)に名古屋ブルーノート、とても良いライブでした。
ジャズの一流メンバーを集め、ジャズもあればポップスもあり。
今回のライブレコーディングについて、少し解説します。
Pro Tools HDX と Logic Pro X の2システム
今回もメインとバックアップの2つのレコーディングシステムで挑みます。
どちらかが万が一に止まっても大丈夫なように。
メインレコーダーはPro Tools HDX 32チャンネル
メインレコーダーは昨年と同様にProTools HDXシステムを持ち込んでレコーディングしました。
I/OはApogeeのシンフォニーで32チャンネルのインプットです。
マイクスプリッターを持ち込んでPAの回線と分けています。
通称「頭わけ」と呼ばれる方法です。
PA回線はダイレクトで繋がりますので、PAは普段どおりに作業できます。
録音側はトランスを通ってマイクプリアンプへ繋がっています。
トランスにより絶縁されまていますので、PAへの影響を考えずに以降の接続やレベル調整を触ることができます。
レコーディングにおいてマイクプリアンプはとても重要です。
PAで必要な音質とレコーディングでは異なるのかもしれません。
聴き比べると大きな差があることがほとんどです。
僕がライブレコーディングで主に使っているマイクプリアンプの記事
良いサウンドのためにはマイクプリアンプの種類もさることながら、適切なレコーディングレベルを確保することが最優先です。
近年はPA回線をデジタルで簡単に分岐できるため、安価に済ませてしまうケースも多いようです。
が、PAのダイナミクスレベルと、レコーディングのそれとではかなり変わってくるので、頭わけをするだけでも最終完成品の音質は大きく変わってきます。
バックアップはDante回線をLogic Pro Xで
バックアップのレコーディングシステムは、Danteでモニターミキサーの回線を分岐しました。
もしもの時の保険能力とトータルコストを考えての今回のチョイスです。
DAWは昨年のCubaseからLogic Pro Xに変更しました。
理由は社内的な事情です。
僕のDAWマシンが、Mac Book Pro 15インチ フルスペックへの以降を完全に終了したので、社内で以前のMac Book Pro が余ることになりました。
13インチ、16GB RAM、1.5TB SSD を載せているということで、レコーディング用途にはバッチリのスペック。
フルハウスのライブレコーディング・システムの1台に組み込まれました。
Danteの接続でプチトラブル発生
Danteの接続時において少しプチトラブルが発生しました。
PC側からYamaha Rioが見えているのですが、適切にロックしません。
DVSコントローラー上でRioが赤く表示されています。
Macを再起動したところ症状はより悪化。
完全にRioを見失ってしまいました。
Macの設定を変更しても。モニターミキサーCL5上ではそれが反映されず過去の設定のMacがぶら下がっている状態。
PAにお願いしてRioとモニター卓CL5を再起動して貰ったところ現在の正しい設定のMacが出現しました。
が、ロックしないので、再びMacを再起動。
そしたら無事にロックし完全な状態になりました。
何が原因でそうなったのかは分かりませんが、デジタル機器は困ったら基本再起動(笑)
ただし、Dante録音の場合、こちらだけでは解決しないので、PA音響さんにも協力を頂かないといけないのが心苦しいところです。
レコーディング用の追加マイク
ピアノトリオとボーカルですので、ベースとピアノのレコーディングサウンドはとても重要です。
この2点はスタジオから持ち込ませて頂きました。
ピアノマイクはDPA4021
ピアニストは宮本貴奈さん。
素晴らしいピアニストです。
昨年はFender Rhodesもありましが、今年はピアノ1本。
その分、PA用のマイクが昨年よりも増えていて少し混雑状態。
先日の佐藤美絵子さんでも使ったDPA4021を設置しました。
DPA4021を持ち込んで演奏&録音した記事
過去記事でも書きましたが、既にDPA4021は既に廃盤なので今なら4099Pを使っている人が多いです。
ベースマイクはDPA4099
ベースは井上陽介さん。
2000年代の前半に、ドラマー森山威男さんがサックスGeorge Garzoneさんなどとやったライブのレコーディングをしたことがありますが、その時が初めましてでした。
ベースにはDPA4099Bを持ち込みました。
井上さんと協議して、マイクのポジションを写真の位置に決定。
アタック感とロー感の程よいバランスの位置に決めました。
ドラムはPAマイクの頭わけのみで
ドラムは昨年に続いて江藤良人さん。
以前から他の案件でも度々レコーディングさせて頂いています。
ドラムに関しては追加マイクは止めました。
PA用に沢山のマイクが立ちますので、録音も別で立てるとかなり見苦しくなります。
昨年も良い感じでしたので、そのままPAマイクの回線を頭わけで頂きました。
オーディエンス・マイク
ライブ録音に重要なオーディエンス・マイク。
会場の響きやお客さんの拍手や歓声などを拾います。
ライブ盤CDなどには絶対に必要なマイクです。
ブルーノートの天井にぶら下げて吊るしました。
使用マイクは勿論いつものB&K4006。
B&K4006の魅力について語った過去記事
余談
少し余談ですが…。
会場での昼食タイム
セッティングを終えての昼食。
会場で持ち込みお弁当。
レアな写真が録れました(笑)
最新照明ミキサーの液晶画面
そして照明ミキサーのこの画面。
直接タッチパネルに系統やシーンを書き込めるんですね。
なんか可愛い感じです。
そのうちミキサー卓もこの様になっていくのでしょうか?
終演後は多数の知り合いにも遭遇
終演後、知り合いにも遭遇しました。
皆さんお客さんとして来られていました。
流石、著名アーティストはファン層が広いです。
スタジオでHDDにミックスとマルチのデータをコピー
昨年は、クライアントにお持ち頂いたHDDに終演後にコピーを取っていましたが、今年はそれほど急がないとのことで、こちらでHDDを手配して後日にお送りすることにしました。
そこで発送しやすいようにモバイルのハードディスクにしてみました。
こちらの東芝のHDDです。
USB 3.2を謳っているので、それなりの速度を期待したのですが…。
いやぁ、とても遅いです。
これに限らずですが、モバイル用のHDDは基本的にダメですね。
モバイルが持ち込まれると大抵遅いです。
どれくらい遅いかって、コピーを取るのに、
20GBちょいで1時間弱。
スタジオのThunderbolt環境なら数分です。
山田くん、お疲れ様。
HDDは先程、ヤマトのお兄さんに引き取られていきました。
と同時に、ヤマトのお兄さんが持ってきたのがコレ!
何かは、また書きます。
これでクリエイティブな作業がグ〜ンと捗る!はずです。
では、また。