岩崎将史です。
とあるボーカリストから相談のメッセージを頂きました。
オススメのコンデンサーマイクは何かありますか?
予算はいくら位まで良いですかモ〜?
う〜ん、良く分からないけど、10万円くらいまで?
とかでありますか?
OK、色々オススメあるから
ブログに書いてみるモ〜
プロ・スタジオが使う定番マイクは、もう少し高価な物が中心です。
が、低価格帯で高級マイクに迫るマイクもありますので、マトメてみます。
なお金額は「サウンドハウス」の執筆時での金額で判断しています。
3つのカテゴリーに分けて解説
3つのカテゴリーに分けて解説しようと思います。
- ド定番メーカーのド定番マイク
- 最近良く見るメーカー
- 僕が今、気になっているマイク
最初の2つは僕も普段から使っている、もしくは使ったことがあるマイクです。
3番は使ったことないけど、気になる面白そうなマイクです。
安心の定番マイクメーカー
次の条件を備えるメーカーとマイクを洗い出してみます
- 僕も普段から使っていること
- 録音スタジオ業界で定番でこと
- 5~10万円で手に入る価格たいであること
- ボーカル用のラージダイアフラム・コンデンサーマイクであること
この条件で絞ると、
- NEUMANN
- AKG
- AUDIO-TECHNICA
という王道メーカーのラインナップが出てきます。
順番に見ていきましょう。
NEUMANN
ボーカル用マイクといえば、まずはなんと言っても「NEUMANN」です。
そして、U87Aiというのがまずは大定番ですが、こちらのマイクは30万円ほど。
今回は予算オーバーですが、「NEUMANN」は10万円まででも良いマイクを出しています。
2つ紹介します。
TLM103
「NEUMANN」のTLM103です。
オススメです。
ボーカル用に特化した「単一指向性」のみのマイクです。
指向性の切り替えができないということは、不便に感じるかもしれませんがそれだけしっかりとボーカル用に調整されているということです。
ボーカル用ですが、ナレーションにももちろん合います。
欠点は、サスペンションフォルダーが別売りです。
そのため1番価格の安いサウンドハウスで購入してもサスペンションフォルダーを含めると実は10万円を少し超えてしまいます。
ですが、10万円で購入できるマイクとしては絶対に入れておきたいマイクです。
指向性 | 単一指向性 |
周波数特性 | 20Hz~20kHz |
最大入力音圧レベル | 138dB |
SN比 | 87dB |
出力インピーダンス | 50Ω |
電源 | ファンタム48V±4V |
本体寸法・重量 | 外形60mm×全長132mm、500g |
オプション | サスペンション |
TLM102
TLM103だとサスペンション・フォルダーを含めると10万円を飛び越えてしまいます。
「それは少しきつい」という人にオススメの「NEUMANN」のマイクです
TLM103に比べると少しだけ太さ、ふくよかさに欠ける部分はあるかも知れませんが、十分に良いマイクです。
何のエフェクトも無しでクリアに前に出ます。
僕がたまに行く他社スタジオにも常設してあるので良く使っています。
指向性 | 単一指向性 |
周波数特性 | 20Hz~20kHz |
最大入力音圧レベル | 144dB(歪率0.5%以下) |
SN比 | 82dB |
感度 | 11mV/Pa (1kHz into 1kΩ) |
出力インピーダンス | 50Ω |
電源 | ファンタム48V±4V |
本体寸法・重量 | 116×52mm、260g |
付属品 | マイクホルダー |
カラー | ニッケル |
AKG
AKGは選択肢は一つです。
5万円以下のモデルもありますが、5万円〜10万円を捻出できる、ということであればオススメは1つです。
C414XLII
C414XLIIです。
僕はC414シリーズの古いモデルである「C414TLII」というのを2個持っています。
1980年代から定番のシリーズのマイクです。
「NEUMANN」とどっちが良いの?
僕なら「NEUMANN」ですモ〜
サウンド的に少しカチッとした固めな傾向。
「NEUMANN」に比べるとボーカルは軽い感じになります。
そして遠い音のニュアンスがぼやける感じはあります。
立体感が弱い。
ただしこの価格帯では十分に良いマイクの部類です。
TLM103やTLM102と違って指向性の切り替えが可能ですので、楽器や様々なシチュエーションで幅広く取りたい人にはこの選択肢もありです。
指向特性 | ・無指向性 ・ワイド単一指向性 ・単一指向性 ・極単一指向性 ・双指向 と各々の間の9段階 |
周波数特性 | 20Hz ~ 20kHz |
開回路感度 | -34dB ( ± 0.5dB) re 1V/Pa |
最大音圧レベル | 140dB SPL (パッドOFF、THD 0.5%) |
等価雑音レベル | 6dB SPL (Aウェイト) |
パッド | 0/-6/-12/-18dB 切り替えスイッチ |
ローカットフィルター | Flat 40Hz (12dB/oct) 80Hz (12dB/oct) 160Hz (6dB/oct) |
インピーダンス | 200Ω以下 |
電源 | ファンタム DC48V/ 約4.5mA |
コネクター | XLR 3 ピン |
寸法・質量 | 幅50 ×高160 ×奥行38mm / 300g |
付属品 | サスペンション付ホルダー(H85、3/8-5/8インチ) ポップ・スクリーン(PF 80) ウインドスクリーン(W 414 X) 特性データシート 布製ポーチ キャリングハードケース |
AUDIO-TECHNICA
「AUDIO-TECHNICA」は国産メーカーです。
安価で良いマイクを数多く発売していて海外のスタジオやコンサート現場でも見かけます。
今回の条件では、次の2つの選択肢があります。
- AT4050
- AT4047MP
AT4050
僕は初代のAT4050/CM5というモデルを2個持っています。
AKGのC414とは十分にタメを貼るマイクです。
「NEUMANN」 U87Aiを2個しか持っていないので、ラージダイアフラムのコンデンサーの数が必要な時に使っています。
これでボーカルも数多く録ってきました。
C414同様に指向性が切り替えられますのでコストパフォーマンスの高いマイクです。
型式 | DCバイアス・コンデンサー型 (ツインダイアフラム) |
指向特性 | 可変 (全指向性、単一指向性、双指向性) |
周波数特性 | 20~18,000Hz (ローカットスイッチ付) |
感度 (0dB=1V/1Pa、1kHz) | -36dB |
最大入力音圧レベル (1kHz、THD1%) | 149dB・S.P.L. (パッドOFF) |
ローカット | 80Hz、12dB/oct. |
SN比 (1kHz、1Pa,A-Weighted) | 77dB以上 |
出力インピーダンス | 100Ω平衡 トランスレス |
電源 | ファントムDC48V |
消費電流 | 3.2mA |
仕上げ | 黒つや消し焼付塗装 |
φ53.4×188 mm | |
質量 | 510g |
付属品 | AT8449ショックマウント キャリングケース ダストカバー |
AT4047MP 【評価不明】
こちらは「AUDIO-TECHNICA」の新し目のマイク。
新たに新開発した「ダブル・ウェーブ・ダイアフラム(PAT.P.)」という方式のマイクです。
このマイクは実は僕は使ったことがありません。
気になるマイクとして取り上げてみます。
型番からして4050の1つ下のグレードAT4040と同じグレードと推察しますが、新方式「ダブル・ウェーブ・ダイアフラム(PAT.P.)」により高域の周波数特性を確保しやすい特徴があるとのこと。
ちょっと聴いてみたいですね。
新興メーカー
スタジオ定番メーカーではないですが、値段の安さなどもあって最近、話題のメーカーを2つ取り上げます。
AUDIX
「AUDIX」は良いダイナミック・マイクを数多くリリースしていて、ライブステージ音響などの現場で最近は良く見かけるようになりました。
SCX25-A
僕はこれのステレオ・ペア(2個入り)をライブ時のピアノ用に購入しました。
ピアノの響板に取り付けられるマイクホルダーアタッチメントが付属しているからです。
音の印象は「AKG C414」です。
同じとは言いませんが僕の中では、ほぼ同じキャラクターのマイクです。
ですのでボーカルはもちろん、アコースティックギターにも合います。
AKG的なカチッとしたサウンドですので、「NEUMANN」的な奥行き、ふくよかさはありません。
■コンデンサーマイク
■指向性:単一指向
■周波数特性:20Hz~20kHz
■出力インピーダンス:200Ω
■S/N比:80dB
■最大SPL:135dB
■ダイナミックレンジ:121dB
■電源:ファンタム48-52V
■重量:170g(ケーブル除く)
RODE
「RODE」はとにかく安いので、自宅録音や自宅配信をする人にめちゃくちゃ売れているマイクです。
正直に書きます。
僕が視聴させてきた中でオススメできるマイクはありません。
- NT1
- NT2
といった、「NEUMANN」のU87Aiもどきのマイクも過去には購入しましたが、
全然、使えないモ〜
というのが正直な感想です。
U87Aiが一眼ミラーレスで撮影した写真だとしたら、RODEのNT1やNT2はガラケーのカメラで撮った写真、というイメージのサウンドでした。
解像度が荒くて平面的。
値段が激安なので仕方ないですけどね。
ですので「オススメなし!」となるところですが、1つだけ気になるマイクがありました。
RODE K2 【評価不明】
「RODE」のK2というマイクです。
最初に断っておくと、これまで紹介したマイクと違って、
使ったことは無いモ〜
ですので、オススメではなく「岩崎が気になったマイク」としてご理解ください。
明らかに「NEUMANN」の伝説のチューブ式ビンテージマイク「U47」を意識しています。
ビンテージU-47は僕も昔、たくさん使ってきました。
とても太い存在感のあるサウンドのマイクです。
本家「U47」同様に電源ボックスも別。
そして何よりもRODEにしては、そこそこの値段設定。
現行「NEUMANN」「U47」はFETモデルで50万円程ですので、RODEはそれでも激安ですが…。
どんな音がするのか気になります。
■コンデンサーマイク、真空管タイプ
■真空管:6922
■指向性:マルチパターン(全指向~双指向~単一指向)
■周波数特性:20 Hz~20 kHz
■出力インピーダンス:200 Ω
■感度: -36 dB re 1Volt/Pascal (16 mV @ 94dB SPL) +/- 2 dB
■等価ノイズ: 10 dBA SPL (per IEC651, IEC268-15)
■最大出力: > +30 dBu (@ 1% THD into 1kΩ)
■ダイナミックレンジ: 150 dB (per IEC651, IEC268-15)
■最大SPL: 162 dB (@ 1% THD into 1kΩ)
■S/N比: > 81 dB (1kHz rel 1 Pa; per IEC651, IEC268-15)
■電源:専用電源サプライ (90~110V,50/60Hz)
■付属品:ハードケース・サスペンションホルダー(SM2)
実は他にも気になるマイクが
ついでにですが、もう一つとても気になっているメーカーがあります。
WARM AUDIO
「WARM AUDIO」というメーカーでスタジオ用定番アウトボード(≒エフェクター)のモノマネ激安版をリリースしている会社です。
オリジナル・メーカーの物とは、サウンドの差はもちろんあります。
ただそれほどサウンドクォリティーにこだわらないようなナレーションスタジオやプリプロダクションスタジオでは割と見かけるようになってきました。
近年はマイクもリリスし始めたということで、3つ紹介。
いずれも僕は使ったことがありません。
あまりにもオリジナルにそっくり過ぎて(見た目の話)、これは為しに使ってみたいと思わせてくれるマイクです。
WA-251 真空管コンデンサーマイク 【評価不明】
見た目、型番からして「TELEFUNKEN」のEla-M251です。
世界一のボーカル用マイクの1つだと思っています。
オリジナのM251めっちゃ欲しいです。
今は130万円くらいかな?
その物真似マイクが何と10万円以下!
サウンドがどうなのか?はさっぱり分かりません。
ただ見た目があのEla-M251!!
それだけで使ってみたくなります。
■真空管マイク
■指向性: マルチパターン(全指向~双指向~単一指向)
■周波数特性: 20Hz-20KHz
■アウトプットインピーダンス: 200Ohms
■ダイナミックレンジ: 125dBa
■最大SPL: 132dB (<0.5% THD)
■SN比: 80dBA
■等価ノイズ: 12dBA
■重量: 約5.4kg
■マイク寸法: 247×46mm
■付属品: ウッドケース、ショックマウント、電源モジュール、電源供給用ケーブル
WA-47 真空管コンデンサーマイク 【評価不明】
WA-251同様の物真似マイクです。
オリジナルはもちろん「NEUMANN」のU47Tube。
音が一緒かは知りません。
というか一緒ではないと思いますが、見た目の雰囲気はそっくり。
女性ジャズ・ボーカルなどはとてもファットに録音できそうな「気がします」
実際のところは知りません。
■真空管:JJ Slovak 5751 vacuum tube
■ ケーブル:Gotham 3 meter GAC-7, 7-pin tube microphone cable
■指向性: 9 パターン 指向性: 単一指向性、双指向性、無指向性、+6ミックスパターン。
■ セルフノイズ: 11dBA
■最大SPL: 140dB (<0.5% THD)
■周波数特性: 20 Hz~20 kHz
■アウトプットインピーダンス: 200 ohms
■ Rated Load Impedance: ?2kOhms
■ SN比: 82dBA
■等価ノイズ: 10dBA (IEC651)
■電源:115V
WA-87 コンデンサーマイク 【評価不明】
もう言うまでもないですよね。
「NEUMANN」 U87Aiの物真似マイクです。
もう使った人の声を僕が聞きたいくらいです。
そしてもし名古屋近郊の方であれば、是非スタジオへ持ってきてください。
オリジナルと聴き比べてみたいです。
これで良かったら…。
即買いするモ〜!
ちなみにこんな比較動画があります。
どうですか?
残念ながら僕は目をつぶって聴いていても「WA-87」はプレゼンスの濁り、それによる空間感、立体感が無くなってしまうのが直ぐに分かってしまいました。
ラージダイアフラムコンデンサーマイク classic “87-style” circuit.
■ショックマウント、専用木製ケース付属
■指向性:単一指向性、双指向性、無指向性
■Capsule: Lens Kondensator LK-87-B-50V reproduction of classic dual backplate (four wire termination) K87 capsule.
■ダイアフラム: 6 micron thickness, 1 inch diameter, gold sputtered membrane.
■周波数特性: 20hz – 20khz.
■SPL: 5% THD @ 125db (without pad),132db (with pad).
■Pad: -10db.
■インピーダンス: 150Ω
■出力端子:XLR3ピン
■ハイパスフィルター:80Hz
■ノイズ: -117db
■カラー:ニッケル
僕が今10万円で何かマイクを買えと言われたら?
ここまで10万円以下で買えるボーカル用の「オススメのマイク」と「気になるマイク」を紹介してきました。
最後に僕がもし素敵になパトロン神様から(もし居たらの話ね)
この10万円で何かボーカル用マイクを今すぐ買いなさい
と言われたら何を買うのか?
迷わず「WA-251 真空管コンデンサーマイク」を購入してみます。
使えるかどうかは知りません。
理由は「あの憧れのマイクの偽物だから」です(笑)
使えない音だったとしても十分ネタになりますし、もし使えるマイクであればラッキーです。
だれか人柱よろしくおねがいします。
ということで以上、岩崎将史がオススメできる5万円〜10万円のボーカル用コンデンサーマイクを紹介してみました。
最後ちょっとコンセプトがづれた気がしなくも無いですが…
僕は名古屋で株式会社フルハウスとして音楽制作会社やスタジオを経営しています。
良かったらホームページもチェックしてみてください。
では、また。